富士ピー・エス(1848)2027年3月期 第1四半期決算分析――半分稼いで据え置いた理由が気になる

富士ピー・エス(1848)2027年3月期 第1四半期決算分析――半分稼いで据え置いた理由が気になる 日本株

橋の桁を工場で作って、現場へ運ぶ会社

富士ピー・エスは、プレストレスト・コンクリート、略してPCと呼ばれる工法で橋を作る会社です。鋼線で力をかけて重い荷重に耐えるようにした桁を工場で作り、現場へ運んで架けます。高速道路の高架、川をまたぐ橋、新幹線の構造物が主な仕事場です。

買うのは、国や自治体、高速道路会社、鉄道建設を担う独立行政法人といった官公庁側がほとんどです。橋のほかに、建築向けのPC部材と鉄道の枕木も手がけています。

九州の会社で、東京のほかに福岡の取引所にも上場しています。いまは関西や関東の現場も抱えています。

この決算で何が起きたか

売上はほとんど動いていないのに、利益が2倍を超えました。

項目今回前年同期増減率
売上高82億8,000万円81億4,600万円+1.6%
営業利益8億2,400万円3億5,100万円+134.9%
経常利益7億8,700万円3億3,100万円+138.0%
純利益5億3,600万円2億300万円+163.2%

8月7日の短信を、この差の出どころを探しながら最後まで読みました。

売上原価が減って、粗利が5億円あまり増えた

損益計算書は6ページ目にあります。売上原価が前年の69億5,300万円から65億6,500万円へ減りました。売上総利益は11億9,300万円から17億1,500万円へ増えました。増え幅は5億2,200万円です。販売費及び一般管理費は8億4,200万円から8億9,000万円へ少し増えただけです。営業利益の増え方はほぼ丸ごと、この粗利の増え方です。

粗利率に直すと、前年の14.6%から今回は20.7%です。売上総利益を売上高で割った、私の計算です。建設業で3か月で6ポイント動くのは、材料の値段より、工事の採算が変わったときです。

どの工事かは、セグメント情報に出ています。

セグメント売上高(今回)前年同期セグメント利益(今回)前年同期
土木事業59億6,100万円53億1,400万円13億5,100万円9億400万円
建築事業22億9,700万円28億700万円3億4,600万円2億7,500万円

土木は売上が1割強増えて利益が5割増、建築は売上が2割近く減ったのに利益が3割近く増えています。ここまでは短信の数字です。建築までが減った売上で利益を増やしているのですから、一つの大型工事の当たり外れではなく、採算の管理そのものが変わった、と私は受け取りました。

受注は前年の2倍、土木だけなら5倍以上

4ページ目に、受注高が79億5,800万円で前年の同じ3か月から98.7%増えた、とあります。中身は土木で、62億7,100万円。前年同期比452.5%増、5倍以上です。リニア中央新幹線の大型工事、西日本高速道路の椎田道路4車線化の上部工と四国支社の補修工事を取った、と会社側は書いています。

貸借対照表にも出ていました。未成工事受入金が、3月末の5億2,700万円から6月末には10億8,600万円へ増えました。3か月で2倍です。工事を始める前に発注者から受け取るお金で、受注が積み上がると先に膨らみます。売上に化けるのはこれからです。

工場は完成、現金は横ばい、借入で回している

もう一つ、貸借対照表で目に留まったのは工場です。4ページ目に、九州小竹工場のリニューアル工事が完了して全面稼働した、とあります。建設仮勘定が3億9,400万円から5,300万円へ減りました。建物及び構築物は29億6,000万円から34億1,700万円へ増えています。作りかけが建物の欄に移ったわけです。

一方で、現金預金は19億6,000万円から19億5,300万円へ、ほぼ横ばいです。5億3,600万円の利益を出し、3億9,600万円の配当を払い、工場を仕上げて、現金が動いていない。……どこから出したのか。

短期借入金は99億5,700万円から100億5,700万円へ増えました。増えた分は1億円です。受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産は9億6,300万円増えています。稼いだ分は工事代金の未回収として資産に積まれ、支払いは借入と、45億2,300万円まで増えた預り金で回している形です。

支払利息は2,600万円から3,900万円へ増えました。金額は小さいですが、短期借入は100億円あります。会社側も4ページ目で「金利上昇」を厳しい状況の筆頭に挙げています。

キャッシュ・フロー計算書は、第1四半期なので作られていません。8ページ目に、減価償却費が1億8,200万円だったと書いてあるだけです。現金の動きは、中間決算まで分かりません。

会社はどう説明しているか

利益が増えた理由は「土木事業における工事採算性の改善」だと、4ページ目にあります。土木では「工事採算性の改善施策」、建築では「利益改善プロジェクト」。どちらも去年から続けている取り組みの成果、という説明です。

どの工事の採算がどう変わったのかは、短信には書かれていません。補足説明資料は作っていない、と表紙にあります。

私はこの説明を、おおむねそのまま受け取っています。理由は、工事損失引当金が2,400万円から800万円へ減っているからです。赤字になりそうな工事に備える引当金が減るのは、採算の悪い工事が減ったと考えて矛盾がありません。

留保は建築です。売上が減った理由を、会社側は「プレキャストPC物件の発注者都合による進捗遅延」としています。自分の側の理由ではないぶん、いつ解消するかは自社では決められません。

半分稼いで、予想は動かさない

ここが、この短信でいちばん引っかかったところです。

営業利益の通期予想は16億6,000万円で、5月から動いていません。第1四半期で8億2,400万円、半分近くを3か月で稼いだことになります。通期予想から引くと、残り9か月に必要な営業利益は8億3,600万円です。

前年と並べると、この予想のおかしさがはっきりします。

営業利益第1四半期残り9か月通期
前年 実績3億5,100万円約12億3,800万円約15億8,900万円
今年 会社予想8億2,400万円8億3,600万円16億6,000万円

約の付いた数字は、通期予想の増減率+4.5%から私が割り戻したものです。前年の残り9か月で12億円あまり稼いだ会社が、今年の同じ9か月を8億3,600万円と置いています。3割以上減る置き方です。

会社側はこう書いています。「営業利益及び経常利益などは当該連結業績予想の作成時点における想定を上回っておりますが、当連結会計年度全体に与える影響としては将来予測を修正する程度のものではありません」。想定を上回ったことは認めたうえで、動かさない。

そして「第2四半期以降も土木事業、建築事業ともに現場施工・工場生産が概ね計画通りに進捗すると見込んでおり」と続きます。……計画どおりなら、残り9か月はなぜ前年より3割少ないのか。

配当予想は5月から据え置きの25円で、前年からは3円の増配です。純利益予想の4割強ですから、無理のある額ではありません。

予想が古いだけ、と私は考えています

読み方は2つあります。5月の予想が保守的で、まだ直していないだけ。もう一つは、下期に利益を削る材料を会社側が見込んでいる。

私は前者だと考えています。理由は、増えた利益が営業外でも特別利益でもなく、売上原価が減ったという本業の側から出ていて、土木と建築の両方で同じ向きだからです。工事の採算は、3か月で元に戻るものではありません。受注も2倍で、手持ち工事は積み上がっています。

工事の利益は、進み具合で四半期ごとに山と谷ができます。第1四半期に関西の大型工事が「順調に進捗」した分を、下期には織り込んでいないのかもしれません。それに建築の遅延と、借入の利息も、下期を削る側の材料です。心配性なので、頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807513949.pdf

今回わからなかったこと:土木の採算がどの工事でどれだけ改善したのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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