ゼンショーホールディングス(7550)2027年3月期 第1四半期決算分析――牛丼の会社ではないと読みました

ゼンショーホールディングス(7550)2027年3月期 第1四半期決算分析――牛丼の会社ではないと読みました 決算を読む

牛丼の看板の裏に、もう一つ別の商売がある

ゼンショーホールディングスは、牛丼の「すき家」を看板に持つ外食の会社です。回転寿司の「はま寿司」、ファミリーレストランの「ココス」、親子丼の「なか卯」、それに北関東のスーパーマーケットも持っています。

ただ、店の数でいちばん多いのは、日本の街にある店ではありません。欧米のスーパーマーケットの中に置かれた、パック入りの寿司を作って売る売り場です。これを「グローバル中食」と呼んでいて、大半は加盟店が運営しています。

牛丼の会社だと思って短信を開くと、この中食のところでいちばん引っかかります。8月7日に出た第1四半期の短信を、最後まで読みました。

売上が2割近く、営業利益が6割近く増えた四半期

まず表紙の業績表です。

今回前年同期増減率
売上高3,248億800万円2,781億5,100万円+16.8%
営業利益248億1,500万円157億5,400万円+57.5%
経常利益237億6,200万円155億7,000万円+52.6%
純利益151億7,200万円80億2,000万円+89.2%

営業利益率は前年同期の5.7%から7.6%へ上がりました。既存店の売上は、すき家が前年比112.9%、はま寿司が109.8%です。柱の2つが同時に二桁で伸びている決算は、そう多くありません。

営業利益の7割は、牛丼ではなく寿司から出ている

セグメントの表は添付資料の11ページにあります。

セグメント売上高営業利益前年同期の営業利益
グローバルすき家810億7,500万円23億7,200万円△7億6,800万円
グローバルはま寿司935億1,500万円88億800万円51億6,900万円
グローバル中食481億200万円85億6,700万円77億6,700万円
グローバルファストフード287億2,800万円6億400万円8億9,200万円
レストラン431億4,700万円27億9,900万円29億6,600万円
小売192億1,200万円△1億7,400万円△5億9,900万円
本社・サポート28億800万円17億1,900万円△300万円
その他82億1,700万円△8,400万円2,700万円

すき家は前年の赤字から黒字に戻りました。ただ、810億円を売って残った営業利益は23億7,200万円です。はま寿司の88億800万円に、中食の85億6,700万円を足します。合わせて173億7,500万円です。これを全体の248億1,500万円で割ると7割になります。

中食の売上はすき家の6割ほどしかありません。それでいて営業利益は3.6倍あります。85億6,700万円を23億7,200万円で割った数字です。家賃を払って自分の店を構えず、スーパーの中の売り場を加盟店に任せる形なので、売上のわりに利益が残ります。

前年の売上から122億7,000万円が消えて、比べる相手が変わった

添付資料の9ページに、会計方針の変更が載っています。中食の加盟店契約でスーパーに払う場所代を、これまでの売上と売上原価の両方に載せる方法から、売上から差し引く方法に変えました。前年の数字も同じ方法で直したので、前年同期の売上高と売上原価が122億7,000万円ずつ減りました。売上総利益から下は変わっていません。

だから表紙の+16.8%は、同じ物差し同士で比べた数字です。前年の中食の売上は434億4,400万円でした。ここに122億7,000万円を足し戻すと557億1,400万円で、消えた分はその2割強です。売上が2割減って利益が変わらないので、上に書いた3.6倍には、この変更が効いています。

引っかかったのは、変更の理由のほうです。「経営体制の再構築を契機として」「関連するFC契約の見直しに着手した」と書かれています。加盟店に対する会社の役割が「店舗スペースの確保と維持」から「店舗賃借の手配」に変わる、とも。何をどう変えているのかは、短信にはこれ以上書かれていません。

……いや、これは会計の話に見えて、商売の話だ。

80億9,400万円で工場を買い、うち69億7,400万円がのれんになった

同じ中食で、もう一つ動きがあります。添付資料の14ページ、企業結合の注記です。5月29日に、欧州の大手小売チェーンを顧客に持つパック寿司の製造工場を、全株取得しています。短信に国の名前は書かれていません。

払った現金は80億9,400万円で、のれんが69億7,400万円です。割ると86%になります。工場や設備ではなく、将来稼ぐ力に払った分が9割近いということです。のれんの額は「暫定」で、償却の年数も短信には書かれていません。みなし取得日が6月30日なので、今回の損益には工場の数字は入っていません。

契約の見直し、会計の変更、工場の買収。中食で3つが同じ四半期に起きています。

キャッシュ・フロー計算書が無いので、現金の動きは貸借対照表から追うしかない

添付資料の13ページに「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第1四半期で省く会社は多いです。ただ、正直に言うと読みたかった。

代わりに貸借対照表から、3か月で動いた科目を並べます。

3月末6月末
現金及び預金1,280億5,400万円1,232億8,500万円
有形固定資産3,421億3,400万円3,715億7,300万円
のれん100億9,600万円167億8,900万円
長期借入金2,285億1,800万円2,382億2,200万円

3か月で366店舗を出し、工場を買い、その支払いに稼いだ現金と借りた分を当てています。減価償却費も122億7,800万円から152億8,800万円へ増えていて、出店が続いていることと合います。

1年内に返す社債が50億円から150億円に増えています。ただ、社債全体は550億円で変わりません。期限が1年以内に入った分が100億円移っただけで、心配は要りません。

会社はどう説明しているか

会社の説明文の書き出しは、中東情勢と米国の通商政策と為替で先行きが見えにくい、というものです。国内は物価上昇で消費者マインドが弱く、原材料と人件費も上がった、と続きます。そのうえで既存店の数字を並べていて、小売以外はすべて前年を上回りました。

すき家が前年に赤字だった理由は、この短信には書かれていません。前年の特別損失に載っている事業撤退損29億1,000万円が何だったのかも同じです。純利益の伸びが営業利益の伸びより大きいのは、この撤退損が今年はゼロになった分です。

説明文はおおむね受け取っています。留保するのは、中食の契約見直しの中身です。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書かれているかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

同じ8月7日に業績予想の修正を発表していて、修正後の数字が表紙に載っています。修正の中身は短信には無く、別の発表を参照するよう書かれています。

通期予想第1四半期残り9か月残り9か月の前年比
売上高1兆4,020億円3,248億800万円約1兆771億9,200万円約+15.2%
営業利益1,020億円248億1,500万円約771億8,500万円約+17.5%
純利益540億円151億7,200万円約388億2,800万円約+2.8%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期を引いた私の引き算です。

進み具合は、売上が23.2%、営業利益が24.3%です。純利益は28.1%で、どれも4分の1の前後にいます。残り9か月の営業利益は前年より2割近く増える置き方なのに、純利益はほぼ横ばいです。第1四半期に前年の撤退損の反動が乗った分を差し引いても、営業利益より下の段階で何か悪い材料を見込んでいるはずですが、それが何かは短信には書かれていません。

第2四半期累計の営業利益は、予想で530億円です。第1四半期の248億1,500万円を引くと、7月から9月の3か月は281億8,500万円です。第1四半期より34億円ほど多く置いています。

私はどう読んだか

私は前向きに受け取っています。理由は、増えた利益が営業利益の段階から出ていて、営業外でも特別利益でもないからです。為替差益はむしろ9億7,800万円から1億1,300万円に減り、支払利息は増えました。それでも経常利益は5割増です。

ただ、私の目は牛丼にも寿司皿にもなくて、欧米のスーパーの寿司売り場にあります。契約と会計と工場の3つが同時に動いている場所で、営業利益の伸びは1割にとどまっています。良い方向へ向いているのかどうかは、短信だけでは分かりません。心配性なので、頭の片隅に置いておきます。

上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260805510591.pdf

グローバル中食の加盟店契約の見直しが、加盟店との取り分をどう変えるのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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