テラスカイ(3915)2027年2月期 第1四半期決算分析――純利益だけ減る予想が腑に落ちない

テラスカイ(3915)2027年2月期 第1四半期決算分析――純利益だけ減る予想が腑に落ちない 日本株

はじめに

テラスカイは、企業の営業や顧客対応の仕組みをクラウドの上に作る会社です。米国のセールスフォース社の製品を、それぞれの会社の業務に合わせて設計し、導入し、動かし続ける。それが主力です。加えて、子会社が顧客の基幹システムを手元の設備からクラウドへ移す仕事や、社内の連絡やスケジュールをまとめる自社製品を扱っています。

買うのは、大企業の情報システム部門や営業企画の人たちです。営業担当が顧客の情報をひとつの画面で追えるようにしたい、その画面を毎年の組織変更に合わせて直し続けたい。そういう会社が、自分たちで作る代わりに、この会社の技術者に頼みます。売り物は製品そのものというより、それを使えるようにする人の時間です。

その会社の、7月15日に出た第1四半期の決算短信を読みました。

この決算で何が起きたか

今回前年同期増減率
売上高79億4,600万円66億500万円+20.3%
営業利益5億6,600万円3億1,600万円+79.0%
経常利益6億1,000万円3億5,000万円+74.2%
純利益3億5,000万円2億1,300万円+64.5%

売上が2割増えて、営業利益が8割増えています。営業利益率は前年同期の4.8%から7.1%へ上がりました。ここまでは表紙の数字で、増収以上に利益が伸びた四半期です。

前期の純利益に、営業利益の外から何かが入っていた

表紙には通期予想も載っています。売上は2割増、営業利益は6割増の置き方です。なのに純利益だけが、前期比で3%減となっています。営業利益が6割増えて純利益が減る。……いや、これは変だ。

私が引っかかったのはここです。表紙の増減率から前期の実績を割り戻してみました。営業利益25億4,100万円を1.629で割ると約15億6,000万円です。経常利益26億2,800万円を1.522で割ると約17億2,700万円です。純利益15億2,600万円を0.971で割ると約15億7,000万円になります。

営業利益経常利益純利益純利益÷経常利益
前期 実績約15億6,000万円約17億2,700万円約15億7,000万円約9割
今期 会社予想25億4,100万円26億2,800万円15億2,600万円約6割
今回の第1四半期5億6,600万円6億1,000万円3億5,000万円約6割

約の付いた数字は、表紙の通期予想と増減率から私が割り戻したものです。

前期は、経常利益の9割が純利益として残っています。税金を払い、上場子会社の少数株主の取り分を引けば、ふつうは6割前後に落ちます。今回の第1四半期も、今期の予想も、そこは6割弱です。前期だけが9割。つまり前期の経常利益の下に、税金の外側で数億円の何かが乗っていたことになります。

それが何だったのかは、この決算短信には書かれていません。前年同期の損益計算書には投資有価証券売却益6,415万円があります。貸借対照表には33億3,900万円の投資有価証券と18億1,700万円の含み益が残っています。前期のどこかで持ち株を売った益がまとまって出た、と私は考えています。短信は、前期の理由を語っていません。

言い換えると、今期の純利益減は本業の話ではなく、前期にあった一度きりの益が消えるだけ、という筋が立ちます。私はそちらの見方をしています。理由は、営業利益と経常利益の予想がどちらも大きく増え、第1四半期の純利益の残り方も今期の置き方と揃っているからです。

製品事業が赤字から抜けた

営業利益が8割増えた中身も、表紙には出ていません。11ページ目のセグメント情報で見ると、主力のソリューション事業の利益は7億4,148万円から9億2,098万円へ、2割強の増加です。売上の伸びとほぼ同じで、こちらは素直に増収増益です。

差がついたのは製品事業のほうでした。前年同期は2,828万円の営業損失だったところが、今回は4,754万円の利益です。金額は小さくても、赤字から黒字への転換は営業利益の増加分にそのまま効きます。会社は米国法人の解散と外注費の抑制を挙げています。

一方で、減価償却費は1億4,149万円から2億2,022万円へ増えました。のれんの償却も779万円から2,488万円へ増えています。キットアライブを子会社にした分の重さです。それを吸収したうえでの8割増なので、費用の削減だけで作った利益ではないと受け取りました。

現金は減り、前受けは4億6,583万円増えた

貸借対照表で目に留まったのは、契約負債が24億8,160万円から29億4,743万円へ増えたことです。契約負債は、代金を先に受け取ってまだ売上に立てていない分です。第1四半期は3月から5月で、年度初めに年間分の利用料をまとめて受け取る商売なら、ここが膨らむ時期に当たります。

同じ時期に前払費用も22億2,095万円から24億4,943万円へ増えました。差は2億2,848万円です。こちらは自分が先に払った分です。顧客から年額を先に預かり、セールスフォース側へも年額を先に払う。両方が同じ四半期に動くのは、この会社の商売の形だと分かります。

それでも現金は82億6,544万円から81億3,957万円へ減っています。第1四半期の短信にはキャッシュ・フロー計算書が作られておらず、なぜ減ったかの内訳は追えません。前受けが4億円以上増えて現金が減るのは、税金や外注費の支払いが重なった時期だからかもしれません。ここは第2四半期で確かめます。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目で、会社は増収の理由を三つ並べています。セールスフォース導入案件の好調、子会社BeeXのクラウド移行事業の堅調、そしてキットアライブの連結子会社化です。生成AIがこの業界を縮めるのではという心配にも触れたうえで、セールスフォースのAIエージェントが顧客の投資対効果を上げると期待している、と書いています。

三つ目は、外から買ってきた成長です。2割の増収のうち、どこまでが自力でどこまでが連結の効果かは、短信には分けて書かれていません。そこは留保をつけて受け取りました。生成AIの話は、会社が心配事を自分から挙げている箇所で、私はむしろ好ましく感じました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想第1四半期進捗残り9か月に必要な額残りの前年比
売上高343億4,900万円79億4,600万円23.1%264億300万円+23.0%
営業利益25億4,100万円5億6,600万円22.3%19億7,500万円+58.8%
純利益15億2,600万円3億5,000万円22.9%11億7,600万円−13.5%

進捗率と残りの額は、私が通期予想から引いて割ったものです。

売上も営業利益も、4分の1にわずかに届かない位置です。残りの9か月で営業利益を前年の同じ期間より6割近く増やす必要がありますが、第1四半期がすでに8割増なので、無理な置き方には見えません。残り9か月の純利益だけが前年比で1割以上減る計算になり、前期の後半に例の一度きりの益が集中していたことを示しています。

私はどう読んだか

本業は、増収と製品事業の黒字転換で素直に強い四半期でした。通期の純利益減は前期の一時的な益が抜けるだけ、というのが私の見方です。上がるかは知りません。ただ、表紙で純利益だけ減る予想を見て手を止めた人には、経常利益の下で何が起きたかを確かめてから決めてほしいと思います。

気になるのは、その前期の益が何だったかを会社が短信で説明していないことです。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書いてあるのかもしれません。今日はもう目が持たないので、そこは次に回します。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260713592500.pdf

前期の純利益が経常利益の9割も残った理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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