note(5243)2026年11月期 第3四半期決算分析――費用が増えない伸び方だと読みました

note(5243)2026年11月期 第3四半期決算分析――費用が増えない伸び方だと読みました 決算を読む

書いたものを、そのまま売れる場所

note株式会社は、文章や漫画、写真を誰でも載せられるサイト「note」を運営しています。無料で公開してもいいし、記事に値段を付けて売ってもいい。会社は、その売上の一部を受け取ります。

もう一つの柱が「note pro」です。企業が自社の取り組みや採用の話を発信する場所として、月ごとの料金を払って使います。個人の書き手と企業の広報担当者が、同じ場所に文章を置いていることになります。

今期からは、生成AIの開発に関わる仕事も別の事業として数え始めました。国の生成AI開発の支援事業に採択された案件が中心だと、短信の説明文にあります。

9か月で、営業利益は7倍近くに

10月6日に出た第3四半期決算です。対象は2025年12月から2026年8月までの9か月です。

表紙の業績表では、売上高のすぐ右に「調整後EBITDA」という会社独自の利益の欄があります。左から順に追うと、営業利益を1欄ずれて拾ってしまいます。私も一度ずれました。下の表は、損益計算書と突き合わせ直した数字です。

今回前年同期増減率
売上高40億5,800万円30億4,600万円+33.2%
営業利益8億4,900万円1億2,700万円+567.0%
経常利益8億5,800万円1億3,900万円+513.6%
純利益9億9,400万円2億1,200万円+368.1%

売上は3割増え、営業利益は前年の7倍近くになりました。それでも最初に引っかかったのは、一番下の行です。純利益が、経常利益より大きくなっています。

純利益が経常利益を上回った理由は、税金の行にありました

損益計算書では、税金を引く前の利益が8億5,899万円です。そこから差し引かれるはずの法人税等の合計が、△1億3,598万円とマイナスになっています。税金が引かれるのではなく、利益に足されている形です。

中身は「法人税等調整額」の△1億3,918万円です。将来払う税金が減る見込みを、資産として載せたときに出る数字です。財政状態の説明にも、繰延税金資産が1億5,325万円増えたと書かれています。その分の現金が入ってきたわけではありません。

前年の同じ9か月も、法人税等調整額は△7,479万円でした。前年も、純利益が経常利益を上回っています。ここまでは損益計算書の数字です。

純利益には税金の計算が混じっています。そこで、稼ぐ力は営業利益で測ることにしました。

売上が10億円増えて、販管費はほぼ前年のまま

では、営業利益はどこで増えたのか。損益計算書の費用の行を前年と並べると、理由ははっきりしています。

前年同期今回
売上高30億4,659万円40億5,806万円
売上原価1億9,082万円4億4,762万円
販売費及び一般管理費27億2,845万円27億6,131万円
営業利益1億2,731万円8億4,912万円

出どころ:短信の損益計算書

売上の増えた分は10億1,146万円です。原価の増えた分は2億5,680万円、販管費の増えた分は3,285万円です。売上の増えた分からこの2つを引くと、7億2,181万円が残ります。これは営業利益の増えた分と同じ額です。増えた売上の7割ほどが、そのまま利益に残ったことになります。

売上は3割伸びたのに、販管費は1%ほどしか増えていません。……費用の側が、ほとんど動いていない。販管費の内訳は短信に載っていないので、人件費と広告費がそれぞれどう動いたのかまでは分かりません。

利益のほぼ全部が、noteとnote proから出ています

事業が3つに分かれたので、セグメント情報の表で利益の出どころを確かめました。

事業売上高セグメント利益
メディアプラットフォーム37億4,313万円8億8,691万円
IP・コンテンツクリエーション7,133万円△2,465万円
AI関連2億5,072万円2,799万円

3つの事業の利益を足すと8億9,025万円です。そのうち8億8,691万円は、メディアプラットフォーム事業が稼いでいます。AI関連事業の利益は、売上の1割ほどです。IP・コンテンツクリエーション事業は、前年より赤字が広がりました。

柱は3本になりましたが、利益を支えているのは1本です。その中では、note proの売上が3割増と、noteの2割増より速く伸びています。

現金は48億円増えました。この短信にキャッシュ・フロー計算書はありません

現金及び預金は、30億4,587万円から78億9,631万円になりました。増えた額は48億5,044万円です。利益の何倍もの増え方です。

理由は注記に書いてありました。2025年12月にNAVER Corporationから、2026年4月に株式会社KADOKAWAから、第三者割当増資の払い込みを受けています。資本金と資本準備金の増えた額は、NAVER分が19億9,987万円、KADOKAWA分が22億1,200万円です。足すと42億1,187万円になり、現金の増えた分の大半を占めます。

では、本業でどれだけ現金が入ったのか。それを確かめたくて、短信の後ろの注記まで進みました。そこには「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第3四半期に作らない会社は珍しくありません。それでも、今回いちばん確かめたかったのはそこでした。

会社が書いた理由は、売上の側だけでした

会社は説明文で、個人の情報発信やファンの集まりが広がり、クリエイターが稼ぐ市場が大きくなっていると書いています。機能の改善を続けた結果、累計の会員登録者は1,313万人、公開コンテンツは8,993万件になったそうです。noteで売り買いされた金額は、第3四半期の3か月だけで65億5,300万円。前年同期より2割近く増えています。

売上が増えた理由としては、この説明をそのまま受け取ります。会員と作品が増え、売り買いが増えて、手数料が増える。筋は通っています。

ただ、費用がほぼ増えなかった理由は、決算短信の説明文には書かれていません。利益がここまで伸びた中心は、売上よりもむしろ費用の側です。表紙には決算補足説明資料を作ると書いてあるので、そちらで触れているのかもしれません。私はまだその資料を開いていません。

残り3か月は、売上を強めに、利益を控えめに置いています

通期予想は7月7日に上方修正したもので、今回は変えていません。

9か月の実績通期予想進み具合
売上高40億5,800万円56億5,000万円約71.8%
営業利益8億4,900万円11億円約77.2%
経常利益8億5,800万円11億3,000万円約75.9%
純利益9億9,400万円12億円約82.8%

約の付いた数字は、実績を通期予想で割った私の計算です。

9か月は1年の4分の3です。利益の3行はその線を越えていて、売上だけが少し届いていません。

残り3か月の予想を前年と並べると、売上と利益で温度が違います。

最後の3か月前年今年に要る額
売上高約10億9,600万円15億9,200万円
営業利益約2億700万円2億5,100万円

約の付いた数字は、表紙にある通期予想をその増減率で割り戻して前期の実績を出し、そこから前年の9か月分を引いたものです。

売上は前年の同じ3か月より4割5分多く、営業利益は2割ほど多い見込みです。営業利益の2億5,100万円を、売上の15億9,200万円で割ってみます。最後の3か月の営業利益率は、16%ほどになります。9か月の2割より低い数字です。なぜそう置いたのかは、決算短信には書かれていません。

増えた利益は、商売の作りから出たものだと考えています

費用が増えない作りに売上が乗ったのか。この9か月だけ費用がたまたま抑えられていて、最後の3か月で戻るのか。この2つのどちらかだと思います。

私は前者の見方をしています。理由は、増えた利益が営業外や税金の行ではなく、売上総利益の増加から生まれているからです。9か月分の販管費も、前年とほぼ同じでした。書き手と読み手が増えても、サイトを動かす費用は同じようには増えません。場所を貸す商売の形どおりです。

それでも会社は、最後の3か月の利益率を低めに置きました。何か費用を使う予定を見込んでいるはずですが、中身は分かりません。純利益が税金の計算で膨らんでいることと、増えた現金の大半が増資のお金であることも、頭に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IRライブラリ | note株式会社
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最後の3か月の利益率を低めに置いた理由と、本業でどれだけ現金が増えたかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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