ディーラーで勧められる、あのコーティングを企画している会社
新車を買うとき、営業の人から「ボディコーティングはいかがですか」と勧められた経験のある人は多いと思います。塗装の上に薄い膜を作って、汚れや小さな傷から守る、あれです。中央自動車工業は、ああいうコーティング剤や車内の用品を自分たちで企画し、全国の販売店に卸している会社です。自動車を作るのではなく、新車が売れたその横で、一台ずつ商品を載せていく商売です。
ほかに、海外向けに補修部品を輸出する部門があります。中南米やアジアで走っている日本車が壊れたとき、直すための部品を送る仕事です。子会社は、使わなくなった車の処分を請け負っています。運送会社が乗務前の点呼で使うアルコール検知器も扱っています。
新車が売れれば、コーティングも用品も一緒に売れる。国内の新車販売が、そのまま追い風になる会社です。
全部の部門が2桁で伸びた
8月5日に出た第1四半期決算です。8月28日には、監査法人の期中レビューを終えた版が改めて出ていますが、数字は変わっていません。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 114億4,000万円 | 97億9,500万円 | +16.8% |
| 営業利益 | 29億1,400万円 | 24億4,900万円 | +19.0% |
| 経常利益 | 34億2,400万円 | 28億1,200万円 | +21.8% |
| 純利益 | 23億9,700万円 | 19億6,300万円 | +22.1% |
売上が2割近く伸びて、利益はそれ以上に伸びました。営業利益率は4分の1を超えていて、卸売業としてはかなり高い水準です。
5ページ目のセグメントの表に、伸びの中身があります。
| 売上高 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 部品・用品(国内) | 67億1,500万円 | 58億6,100万円 | +14.6% |
| 部品・用品(海外) | 26億7,200万円 | 21億8,200万円 | +22.5% |
| 自動車処分 | 20億5,100万円 | 17億5,100万円 | +17.2% |
一つの部門が引っ張ったのではありません。処分事業は取扱台数が前年並みのまま処分価格が上がった、と会社は書いていて、この部門の利益は1億1,800万円から1億7,200万円へ増えました。
営業利益は増やし、純利益は減らす上期予想
引っかかったのは、表紙の下のほうにある上期の予想です。第1四半期の純利益は2割増でした。ところが上期累計の純利益予想は45億円、前年から4.6%減る置き方です。3か月で2割増やしたあとに6か月で減益にするには、7月から9月がよほど悪くないといけません。……いや、そんなに悪いなら営業利益も減っているはずだ。
営業利益の上期予想は59億円で、前年から1割以上増えます。ここから第1四半期の29億1,400万円を引くと、7月から9月の営業利益は29億8,600万円になります。同じ引き算を純利益でもやります。純利益の上期予想は45億円です。ここから第1四半期の23億9,700万円を引くと、21億300万円になります。前年の同じ3か月と並べたのが次の表です。
| 7月から9月の3か月 | 前年の実績 | 今年の会社予想 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 約27億2,200万円 | 29億8,600万円 |
| 経常利益 | 約30億7,600万円 | 31億7,600万円 |
| 純利益 | 約27億5,400万円 | 21億300万円 |
約の付いた数字は、表紙の上期予想の増減率で今年の上期予想を割り戻し、前年の上期累計を出したものです。使った増減率は、営業利益が+14.1%、経常利益が+12.1%です。純利益は△4.6%です。そこから前年の第1四半期を引きました。右の列は上期予想から今年の第1四半期を引いたもので、どちらも私の計算です。
営業利益は1割ほど増やし、経常利益はほぼ横ばい、純利益だけ4分の1近く減らす。これが上期予想の中身です。本業が悪くなる予想ではありません。減る場所は経常利益の下、つまり特別損益か税金のどちらかです。
前年の7月から9月は、経常利益約30億7,600万円に対して純利益が約27億5,400万円でした。差は3億円ほどしかありません。今年の同じ3か月は、経常利益31億7,600万円に対して純利益は21億300万円です。差は10億円を超えます。ここまでは表紙の数字からの引き算です。
ふつうは税金で3割ほど減りますから、今年のほうが自然な姿で、前年のこの3か月には特別利益か税金の戻りがあった、と私は読みました。なぜ前年が軽かったのかは、決算短信には書かれていません。前年の第2四半期短信を開けば分かるはずですが、まだ読んでいません。
経常利益の伸びは、持分法の会社が押し上げている
9ページ目の損益計算書に、もう一つあります。営業利益の伸びより経常利益の伸びが大きいのは、営業外収益が3億8,500万円から5億1,700万円へ増えたからです。中身のほとんどは持分法による投資利益で、2億6,700万円から3億8,500万円へ増えました。
連結していない関連会社の利益を取り込んだ分です。本業の外ですが、一時的なものだとも決算短信には書かれていません。どの会社の利益なのかは、短信からは分かりませんでした。
売出しと自己株買いが同じ日に決まっている
1ページ目に、この短信が改めて出た事情が書いてあります。期中レビューをしたのは、8月28日の取締役会で決議された株式の売出しがあるためだ、とあります。同じ日に自己株式取得の決定も出ています。誰の株が売りに出るのか、いくら買い戻すのかは、決算短信には書かれていません。
財務は、この手の話が出ても困らない厚みです。現金及び預金が292億1,800万円、自己資本比率は9割近くあります。売上が伸びた四半期に受取手形及び売掛金は減っていて、回収が売上に追いついています。
会社は「新車の販売増を追い風に」と書いている
会社の説明は素直です。4月から6月の国内新車販売は、登録車が1割以上増え、軽が少し減り、全体で7%増えた。そこに地域密着の訪問営業を重ねて、新規開拓と高付加価値商材の拡販に努めた、とあります。海外は中東情勢に注意しながら、中南米とアジアを中心に伸ばしたそうです。
一つだけ留保を付けます。登録車の増加について、会社は環境性能割の制度変更で登録がずれ込んだため、と書いています。制度の切り替えでずれ込んだ分は、いずれ元に戻ります。売上の伸びが新車の伸びより大きいのは営業の分でしょうが、新車の伸びの一部は、制度のずれ込みでこの四半期に集まっていたかもしれません。
アルコール検知器は2億5,000万円で、前年から16%減りました。一方で東京支部を新たに開いた、とあります。減っている事業に人を置きに行っているわけで、ここは次の短信で確かめたい場所です。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 通期予想 | 第1四半期まで | 進み具合 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 500億円 | 114億4,000万円 | 22.9% |
| 営業利益 | 124億円 | 29億1,400万円 | 23.5% |
| 経常利益 | 138億円 | 34億2,400万円 | 24.8% |
| 純利益 | 95億円 | 23億9,700万円 | 25.2% |
進み具合は私の割り算です。
どの段も、4分の1の前後です。通期予想は5月14日に公表したもので、変更はありません。売上は上期に2割近く伸ばす見込みなのに、通期では7%増ですから、下期は前年を下回ることになります。上期にずれ込んだ新車の分を、下期で返す形だと考えています。
私はどう読んだか
表紙の上期減益予想は、本業の減速ではなく、前年の税金か特別利益の反動だと考えています。理由は、会社が営業利益を7月から9月も増える形で置いているからです。
それでも心配性なので、頭の片隅に残るものはあります。新車の伸びが制度のずれ込みを含んでいること、検知器が減っていること、そして誰の株が売りに出るのか分からないこと。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.central-auto.co.jp/ja/ir/news/auto_20260825525921/pdfFile.pdf
前年の7月から9月の純利益が、なぜ経常利益とほとんど差がなかったのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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