YUSHIN(6482)2027年3月期 第1四半期決算分析――売れたのは去年の注文と読みました

YUSHIN(6482)第1四半期決算分析――特注機の受注残高が2倍になっていたが、この四半期の受注高は前年と同じだった 決算を読む

はじめに

プラスチックの部品は、溶かした樹脂を金型に流し込み、固めて作ります。固まったら金型を開いて、中の部品を取り出す。この「取り出す」ところだけを受け持つロボットを作っているのが、YUSHINです。樹脂を成形する機械の上に載せて使うもので、買うのは自動車や家電、食品容器の樹脂部品を成形している工場です。

人の手で取ると危ないうえに遅く、成形機が一台ずつ待つことになります。取り出しの速さが、そのまま工場の生産量になる。だからこの機械は、地味ですが替えがききません。ロボットのほかに、客先の要望に合わせて一台ずつ設計する特注機と、売ったあとの部品や保守で売上を立てています。

8月7日に出た第1四半期の決算短信を、表紙から最後の受注の表まで読みました。

この決算で何が起きたか

売上が1割強増えて、営業利益は3.3倍になりました。1ページ目だけなら、文句のつけようがない四半期です。

項目今回前年同期増減率
売上高60億700万円53億2,100万円+12.9%
営業利益5億2,200万円1億5,800万円+230.1%
経常利益5億3,700万円1億1,900万円+351.4%
純利益3億8,200万円7,200万円+427.5%

ただ、この会社は短信の最後に受注の表を付けています。引っかかったのは、そこでした。

新しい注文は、前年とほぼ同じです

9ページ目の受注の表です。この3か月に新しく受けた注文は合計63億7,750万円でした。前年同期は61億7,701万円なので、103.2%です。主力のロボットは99.9%、特注機は99.8%で、増えたのは部品・保守サービスだけです。売上は13%近く伸びたのに、注文はほぼ横ばいでした。

区分受注高(今回)前年同期比受注残高(6月末)前年同期比
ロボット40億1,124万円99.9%45億4,054万円101.0%
特注機9億4,877万円99.8%30億4,746万円212.3%
部品・保守サービス14億1,748万円117.0%4億7,330万円101.3%
合計63億7,750万円103.2%80億6,131万円126.0%

では売上の伸びはどこから来たのか。販売の表では、特注機の売上が6億6,762万円から10億7,041万円へ増えています。1.6倍です。そして6月末の特注機の受注残高は30億4,746万円と、前年の2倍を超えたままです。

この四半期に受けた特注機の注文9億4,877万円より、売った額10億7,041万円のほうが大きい。受けた分より売った分が多ければ、残高はその差だけ減ります。だから特注機の受注残は3月末より減ったはずで、これは私の引き算です。つまり前の期のうちに積み上がっていた注文を、この3か月で納めたことになります。

貸借対照表にも、特注機の跡があります

5ページ目の資産の表を見ると、仕掛品が3月末の11億1,305万円から13億2,084万円へ増えています。差は2億778万円です。6ページ目の負債側では、前受金が11億2,226万円から12億6,318万円へ増えました。こちらは1億4,091万円の増加です。ここまでは貸借対照表の数字です。

特注機は納期の長い機械です。注文のときに代金の一部を先に受け取り、作りかけの機械が仕掛品に積まれる。前受金と仕掛品が同時に増えたのは、受注残の特注機を今まさに作っている途中だから、と私は考えています。

利益が増えた中身

売上総利益は21億6,998万円から25億8,258万円へ増えました。増えた額は4億1,259万円です。売上で割ると、粗利率は約40.8%から約43.0%へ上がっています。この率は私の割り算です。一方で販売費及び一般管理費は20億1,184万円から20億6,053万円へ、わずかにしか増えていません。差は4,869万円です。粗利の増えた分がほぼそのまま営業利益になった格好です。

小さいものも一つ。8ページ目の注記で、のれんの償却額が前年の2,094万円から今年はゼロになっています。償却が終わった分だけ、費用が軽くなっています。経常利益の側では、為替差損が5,571万円から1,894万円に減りました。

セグメント売上高営業利益前年同期の営業利益
日本36億8,300万円3億9,719万円1億891万円
米国11億5,400万円1,615万円△1,923万円
アジア13億7,400万円1億2,089万円1億1,842万円
欧州8億5,700万円△4,854万円△1億2,290万円

4つの地域がすべて増収で、米国は黒字に転じ、欧州は赤字が半分以下になりました。一か所の当たりではなく、全部で良くなっています。

キャッシュ・フロー計算書は、この短信にはありません

第1四半期の短信は作らなくてよいことになっていて、8ページ目にも「作成しておりません」とあります。代わりに現金及び預金の増減を追いました。3月末の118億6,531万円が、6月末には116億1,227万円です。2億5,304万円の減少です。

……いや、この3か月で9億円買い戻している。5月26日の取締役会決議で自己株式を1,386,600株、9億1,386万円分取得したと、8ページ目に書いてあります。減った額より買い戻した額のほうが大きいので、買い戻しが無ければ現金は増えていた勘定です。これも私の引き算です。会社側の説明文によれば、受取手形及び売掛金が4億2,700万円減ったとのことなので、売った分の回収は進んでいます。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明文は、増収の理由を「特注機を中心に販売が増加した」、増益の理由を「売上の増加及び売上総利益率の改善等」としています。前半は受注の表と合うので、そのまま受け取ります。

後半の、なぜ粗利率が上がったのかは、決算短信には書かれていません。表紙には「決算補足説明資料作成の有無:無」「決算説明会開催の有無:無」とあります。私が読んだ範囲では、この決算について会社が自分の言葉で書いたのは4ページ目の説明文だけです。値上げなのか、特注機の採算がよかったのか、原価が下がったのか。ここは留保をつけます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

5月15日に出した通期予想を、会社は据え置いています。進捗率と残り9か月の必要額は、表紙の予想から私が引いた数字です。

項目第1四半期通期予想進捗率残り9か月に必要な額残り9か月の前年比
売上高60億700万円250億円24.0%189億9,300万円+6.8%
営業利益5億2,200万円13億円40.2%7億7,800万円+16.4%
経常利益5億3,700万円13億円41.3%7億6,300万円△3.4%
純利益3億8,200万円9億円42.4%5億1,800万円+141.6%

営業利益は4割まで来ています。残りの9か月は前年より2割弱増やせば届く置き方です。経常利益に至っては、残り9か月を前年より少なく置いています。据え置きというより、慎重な数字を動かしていない、という状態です。配当は「未定」のままで、前期の年20円が続くかどうかは短信からは分かりません。

私はどう読んだか

粗利率の改善も、4地域そろっての増収も、営業外や特別利益ではなく損益計算書の本体から出ています。ここまでは事実です。

そのうえで、この四半期の利益は去年積んだ注文を納めた分だと考えています。理由は、受注高が横ばいで、特注機の受注残が前年の2倍のまま残っているからです。残っている注文を納め続ける間は数字が出ます。ただ、次の注文が同じ勢いで来るかどうかは、受注高の行を見る限りまだ分かりません。会社側が予想を動かさないのは、特注機の納入が四半期ごとにばらつくことを、自分で分かっているからだと受け取りました。

心配性なので、次の短信は9ページ目の受注高から開きます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260806512530.pdf

売上総利益率が上がった理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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