オルガノ(6368)2027年3月期 中間決算分析――下期に要る利益率が腑に落ちません

オルガノ(6368)2027年3月期 中間決算分析――下期に要る利益率が腑に落ちません 日本株

はじめに

半導体の工場では、製造の途中で何度も水を使います。水道水ではなく、不純物を極限まで取り除いた水です。オルガノは、その水を作るプラントを設計して納め、稼働後の保守や薬品の供給まで受け持つ会社です。

発注するのは半導体メーカーだけではありません。発電所や、医薬品・食品の工場も水の質に左右されるので、同じように客になります。短信には台湾、米国、中国の案件が並び、データセンター向けの半導体投資の先にこの会社の仕事があることが分かります。

普段の生活で名前を聞く機会は、まずありません。

売上は増え、利益の行はそろって減りました

2026年11月4日に出た中間決算で、対象は4月から9月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高946億4,400万円827億9,300万円+14.3%
営業利益152億3,700万円173億7,800万円△12.3%
経常利益155億5,700万円173億4,900万円△10.3%
純利益100億3,000万円115億2,800万円△13.0%

ここまでなら、増収減益の一言で終わります。

売上が118億円増えて、売上総利益は減りました

損益計算書で最初に引っかかったのは、売上総利益です。売上高は118億5,100万円増えましたが、売上原価は121億6,900万円増えました。差し引くと、売上総利益は3億1,700万円の減少です。

売上総利益を売上高で割ると、前年同期は約36.4%、今回は約31.5%です。5ポイント近く低下しています。そこへ販管費の増加18億2,300万円が加わり、営業利益が減りました。

事業ごとに分けると、減益の出どころは1つです。

事業売上高 今回売上高 前年同期営業利益 今回営業利益 前年同期
水処理エンジニアリング805億2,000万円705億4,900万円132億7,800万円157億7,100万円
機能商品141億2,400万円122億4,300万円19億5,800万円16億700万円

水処理薬品などを扱う機能商品は、2割以上の増益でした。

受注高は1,712億円、ただし売上になるのは翌期以降

説明文の中に、業績表には無い大きな数字がありました。この半年の受注高は1,712億6,800万円で、前年同期の7割増です。受注高から売上高を引くと766億2,400万円で、売上に計上した額よりそれだけ多くの仕事を積み増したことになります。

繰越受注残高も1,757億8,700万円まで増えました。台湾で複数の大型案件を受注し、米国、日本、中国でも大型案件があったと書かれています。

ただ、短信の5ページ目には別のことも書いてあります。受注案件は翌期以降に売上計上が本格化する見込みなので、当期の見通しは変更しない、という内容です。

受注が増えた理由には「一部案件の受注時期が前倒しとなった」ことも挙がっています。前倒し分の金額は決算短信には書かれていません。7割増のすべてを需要の強さとは受け取れず、今期の利益の助けにもなりません。

回収待ちが増え、手元の現金は借入金の返済に回りました

2015年に決算を読まずに痛い目に遭ってから、私は必ずキャッシュ・フロー計算書まで行きます。この短信ではPDFの10ページ目です。営業キャッシュ・フローは、前年同期の71億5,500万円から17億7,000万円へ減っていました。

差が大きいのは、売上債権及び契約資産の増減です。前年同期は70億4,000万円の資金が入り、今回は87億7,500万円の資金が出ています。貸借対照表では、電子記録債権が39億9,100万円から112億1,800万円へ増えました。

売上が増えた分だけ、回収があとにずれたと私は受け取りました。次の決算で、この債権が現金に変わったかを確かめます。

現金は半年で138億2,500万円減りましたが、こちらは理由がはっきりしています。

現金及び現金同等物金額
期首残高310億5,500万円
営業キャッシュ・フロー17億7,000万円
投資キャッシュ・フロー△23億2,100万円
財務キャッシュ・フロー△137億5,200万円
換算差額4億7,700万円
中間期末残高172億2,900万円

財務の内訳は、短期借入金の純減少71億7,000万円と配当金の支払い48億3,200万円が中心です。短期と長期を合わせた借入金は、344億200万円から257億2,400万円へ減りました。前年の中間期末の現金は165億3,000万円でしたから、今回の残高はそれと同じ水準です。この減り方は心配していません。

貸借対照表には、この会社の商売の形が分かる科目もあります。リース投資資産は522億5,200万円で、資産全体の4分の1近くを占めています。説明文に出てくる「設備保有型サービス」と関係があると私は考えましたが、両者を結ぶ説明は決算短信には書かれていません。

期末配当22円は減配ではありません

配当欄には、中間配当110円と期末配当の予想22円が並んでいます。10月1日に1株を5株に分割したので、期末の数字だけが分割後の金額です。

分割を考えなければ期末は110円で、中間と合わせて年間220円になります。前期の200円からの増配予想です。220円を分割前の予想1株利益652円35銭で割ります。結果は約33.7%で、利益の3分の1ほどを配当に回す計算です。

会社は「好採算案件の反動」と説明しています

減益の理由は説明文に書かれています。前年同期に売上計上した好採算のプラント案件の反動で、プラント事業の売上総利益率が低下したこと。体制強化に伴う人件費やIT関連の投資で、売上原価と販管費が増えたこと。この2つです。

上期の説明としては、そのまま受け取ります。理由は、前年同期が営業利益の5割以上増えた期で、比べる相手が高かったからです。

気になるのは2つ目です。案件の反動は一度きりで済みますが、人件費やIT投資は下期以降も続く費用です。2つの要因がそれぞれいくらなのかは、決算短信には書かれていません。

上期より107億円多い売上で、95億円多い営業利益

業績予想は変更されていません。半年を終えた時点の進捗率はこうなります。

通期予想進捗率残り6か月に必要な額前年下期比
売上高2,000億円約47.3%1,053億5,600万円約+11.1%
営業利益400億円約38.1%247億6,300万円約+22.0%
経常利益400億円約38.9%244億4,300万円約+17.6%
純利益300億円約33.4%199億7,000万円約+18.3%

約の付いた数字は、表紙の予想と増減率から私が割り算したものです。

売上高はほぼ半分まで来ていますが、営業利益は4割に届いていません。残り6か月の売上高は上期より107億1,200万円多いだけなのに、営業利益は95億2,600万円多く必要です。……いや、これは変だ。

利益率で並べると、この予想の高さがはっきりします。

売上高営業利益営業利益率
前年 上期827億9,300万円173億7,800万円約21.0%
前年 下期約948億円約203億円約21.4%
今年 上期946億4,400万円152億3,700万円約16.1%
うち7月から9月約524億6,100万円約86億2,500万円約16.4%
今年 下期(必要な額)1,053億5,600万円247億6,300万円約23.5%

前年下期は、通期予想の増減率から前期の通期を割り戻し、前年上期を引いた数字です。7月から9月は、上期から8月3日発表の第1四半期を引いた数字です。

7月から9月でも利益率は16%台で、下期に必要な水準とは7ポイントほどの開きがあります。今回積み増した受注は翌期以降が中心なので、この開きを埋める材料にはなりません。

下期に利益率が高まると見込む理由は、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

受注は来期の材料、今期の下期は重い予想だと考えます

採算のよい案件の計上が下期に集まる予定なのか、下期の予想が高すぎるのか。この2つのどちらかだと思います。

私は後者の見方をしています。理由は、約23.5%という水準が好採算案件のあった前年上期をさらに超えるうえ、増えた人件費やIT投資が下期も続くからです。

前者の可能性も消せません。8月3日に公表した予想を、上期の数字が出た今回も変えていないからです。案件ごとの採算を知っている側の判断ですが、私は心配性なので下振れを先に数えています。

受注の積み増しは別の話で、来期の売上の材料として素直に受け取っています。この予想に届くかどうかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 | オルガノ株式会社
決算短信を掲載しています。

プラント事業とソリューション事業それぞれの売上高と利益は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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