毎朝使う、白い焼き物の会社
TOTOは、トイレの便器や洗面台を焼き物で作っている会社です。お尻を洗う温水洗浄便座も、この会社の看板商品です。家を建てる人だけが買うわけではありません。古くなったトイレや浴室を入れ替えるときにも選ばれます。力を入れているのは、その改装の需要と海外の開拓です。
私の家は賃貸なので、便器を自分で選んだことは一度もありません。それでも、毎朝お世話になっている製品を作る会社の書類は、どこか身近に感じます。
本業の利益が2割伸びた半期
10月30日に発表された中間決算です。4月から9月までの半年分が入っています。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,646億7,500万円 | 3,493億7,200万円 | +4.4% |
| 営業利益 | 251億8,200万円 | 207億8,100万円 | +21.2% |
| 経常利益 | 248億1,200万円 | 230億8,900万円 | +7.5% |
| 純利益 | 213億1,500万円 | 87億9,000万円 | +142.5% |
売上高の伸びは4%あまりでした。これに対して、営業利益は2割増えています。損益計算書では、売上総利益が86億2,700万円増え、販売費及び一般管理費の増加は42億2,600万円にとどまりました。この差し引きが、営業利益の増加分です。
純利益が2倍を超えたのは、前年同期の特別損失の反動です。前年同期には事業再編費用として132億3,200万円を計上していました。今期はそれが無く、代わりに投資有価証券売却益59億9,300万円が特別利益に入っています。何の再編だったのかは、今回の決算短信には書かれていません。
営業外の出入りが、経常利益の伸びを削っている
営業利益が2割伸びたのに、経常利益の伸びは1割に届いていません。差は営業外の出入りから生じています。
| 営業外の項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 営業外収益の合計 | 34億6,800万円 | 23億円 |
| うち為替差益 | 4億4,900万円 | ― |
| 営業外費用の合計 | 11億6,000万円 | 26億7,000万円 |
| うち支払利息 | 3億900万円 | 5億4,300万円 |
| うち「その他」 | 3億3,300万円 | 11億2,100万円 |
前年同期は、営業外の出入りが差し引きで20億円以上のプラスでした。今回は差し引きでわずかにマイナスです。為替の損益が差益から差損に変わり、費用の「その他」は3倍を超えました。
利益は2割増、営業キャッシュ・フローは5分の1
短信の8ページ目、キャッシュ・フロー計算書を開いて引っかかりました。営業キャッシュ・フローが、前年同期の203億6,200万円から39億9,500万円まで縮んでいます。利益は増えたのに、手元に入ってきた現金は5分の1ほどでした。
| 営業キャッシュ・フローの主な項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 143億8,500万円 | 308億2,000万円 |
| 棚卸資産の増減額 | 26億7,500万円 | △90億5,000万円 |
| 仕入債務の増減額 | △36億5,800万円 | △85億4,100万円 |
| その他 | △28億9,700万円 | △125億700万円 |
| 法人税等の支払額 | △93億4,600万円 | △119億7,700万円 |
| 営業キャッシュ・フロー | 203億6,200万円 | 39億9,500万円 |
現金を減らした項目は3つです。在庫が増えた分、仕入先への支払いが進んだ分、そして「その他」です。……125億円の「その他」は、さすがに大きい。印刷した紙に、赤ペンで二重丸を付けました。
一方で、売上債権は減って現金を27億800万円増やしています。売掛金を膨らませて売上を作った形ではありません。
在庫は、原材料から製品まで3つとも増えた
貸借対照表で、在庫の中身を3月末と9月末で並べました。
| 棚卸資産 | 3月末 | 9月末 |
|---|---|---|
| 商品及び製品 | 800億2,700万円 | 862億9,300万円 |
| 仕掛品 | 153億3,000万円 | 171億1,600万円 |
| 原材料及び貯蔵品 | 262億5,800万円 | 298億6,900万円 |
3つとも増えています。完成品だけが積み上がっているなら売れ残りを疑います。ところが増え方の割合がいちばん大きいのは原材料で、1割以上増えました。これは私の割り算です。同じ半年で、現金及び預金は1,328億5,500万円から1,151億3,000万円に減っています。
決算短信には、業績の説明文がありません
多くの会社の短信には、業績を自分の言葉で説明する節があります。今回の添付資料の目次は、財務諸表と注記だけでした。1ページ目には、詳しくは決算説明資料と、11月6日に出す半期報告書を見てほしい、とあります。予想の修正は別のお知らせで出しています。
在庫が増えた理由も、事業ごとの数字も、決算短信には書かれていません。説明資料のほうは私はまだ開いていません。説明を信じるかどうか考える以前に、その材料がまだ手元にありません。
注記の「重要な後発事象」には、10月30日の取締役会で自己株式の取得と消却を決めた、とあります。規模は別のお知らせに回されていました。
通期予想に対して、営業利益は4割強
| 中間期 | 通期予想 | 進捗率 | 下期に必要な額 | 前年下期比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,646億7,500万円 | 7,750億円 | 約47.1% | 4,103億2,500万円 | 約+5.7% |
| 営業利益 | 251億8,200万円 | 600億円 | 約42.0% | 348億1,800万円 | 約+5.6% |
| 経常利益 | 248億1,200万円 | 580億円 | 約42.8% | 331億8,800万円 | 約△11.7% |
| 純利益 | 213億1,500万円 | 460億円 | 約46.3% | 246億8,500万円 | 約△21.5% |
下期に必要な額は、表紙の通期予想から中間期の実績を引いたものです。約の付いた数字は、そこから私が割り算しました。
営業利益は半分に届いていません。ただ、7月末に出た第1四半期の営業利益は80億7,300万円でした。半年分の251億8,200万円から引くと、7月から9月の3か月で171億900万円です。夏の3か月で、春の2倍以上を稼いでいます。
下期の経常利益は、前年の下期より1割以上減る前提です。下期に必要な営業利益は348億1,800万円、経常利益は331億8,800万円です。前者から後者を引くと、16億3,000万円になります。下期の営業外の出入りを、これだけのマイナスと見込んでいることになります。
表紙には「業績予想の修正の有無:有」とあります。修正前の数字は短信に載っていないので、どちらの向きに直したのかは分かりません。
在庫は下期への仕込みだと考えています
この在庫の積み増しは、会社が下期の生産と出荷に備えたものだと私は考えています。理由は、増え方がいちばん大きいのが原材料で、売掛金はむしろ減っているからです。会社は下期に、上期より多い売上を見込んでいます。夏の3か月の営業利益も、売れずに困っている会社の数字には見えません。
それでも、営業キャッシュ・フローの細り方は小さくありません。心配性なので、在庫が現金に戻ってくるかどうかは、第3四半期のキャッシュ・フローで確かめます。
出典:決算短信(会社発表)

営業キャッシュ・フローの「その他」125億700万円が何だったのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント