はじめに
和歌山県に本社を置くスーパーの会社です。近畿と東海で、仕事帰りに総菜や生鮮を買いに寄る食品スーパーと、衣料や日用品までまとめてそろう郊外の大型店を営んでいます。お客の中心は、週末に車で来て一週間ぶんを買っていく家族です。
グループには、外食の店を出す会社と、野菜などを加工して店へ運ぶ会社があります。車で地域を回る移動販売もしていて、近くの店が閉じた地域の買い物も引き受けています。物の値段が上がり続けるとき、家計が最初に財布を締める場所に立っている会社です。
客数が減って、本業が赤字に転じた半年
2026年9月29日に出た中間決算です。期間は2月21日から8月20日までの半年です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高(営業収益) | 1,232億2,700万円 | 1,244億4,800万円 | △1.0% |
| 営業利益 | △5,700万円 | 5億7,900万円 | ― |
| 経常利益 | 1,300万円 | 6億7,000万円 | △98.0% |
| 純利益 | △1億8,700万円 | 2億4,800万円 | ― |
売上は1%減っただけです。それだけで、営業損益は黒字から赤字に変わりました。
粗利が減り、経費が増えた
短信の損益計算書(添付資料6ページ)を開くと、赤字の中身が分かれて見えます。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 325億1,400万円 | 320億3,200万円 |
| 営業収入(テナント賃料など) | 65億400万円 | 65億8,700万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 384億3,900万円 | 386億7,600万円 |
| 営業損益 | 5億7,900万円 | △5,700万円 |
前年と今回の差を取ると、粗利が4億8,200万円減り、経費が2億3,700万円増えました。テナントからの賃料などは8,300万円増えていますが、埋めきれていません。粗利の減少と経費の増加を足し、賃料などの増加を引くと、黒字から赤字への振れ幅6億3,600万円とちょうど合います。
スーパーの営業利益は、売上の上に薄く乗っているだけです。……本当に薄い。売上が1%欠け、経費が少し増えるだけで、半年分の利益がなくなります。
借入金を返しているのに、利息は増えた
営業外の欄で引っかかったのは支払利息です。前年の8,500万円から、1億1,800万円に増えています。
同じ半年に、長期借入金は123億8,700万円から103億6,500万円へ減りました。借りている額が減って利息が増えるなら、利率が高くなったと考えるのが自然です。ただ、その理由は決算短信には書かれていません。
経常利益が1,300万円の黒字で踏みとどまったのは、受取配当金などの営業外収益2億200万円があったからです。
赤字の半年に、税金が9,200万円
税引前の段階では8,600万円の赤字です。そこに法人税等が9,200万円かかり、最終の赤字はほぼ倍に膨らんでいます。
注記(添付資料9ページ)には、税金は一年間の見込みの税率を掛けて出す、とだけあります。赤字の半年にこれだけの税金が付いた内訳は、決算短信には書かれていません。赤字額のほぼ半分が、本業ではなく税金の欄から来ていることになります。
現金の入り方は、前年と同じ形
キャッシュ・フロー計算書(添付資料8ページ)です。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 45億6,200万円 | 34億7,100万円 |
| 減価償却費 | 31億3,200万円 | 30億3,300万円 |
| 仕入債務の増加 | 18億100万円 | 21億7,400万円 |
| 売上債権の増加 | △12億6,700万円 | △14億3,300万円 |
仕入先への支払いが後ろにずれて現金が残り、代わりにカードなどの入金待ちが増えています。この組み合わせは前年もほぼ同じ大きさで出ています。8月20日という締め日の都合で、毎年こうなる形だと私は受け取りました。
営業キャッシュ・フローが減った分は、税引前利益の落ち込みと、税金の支払いが7,100万円から3億6,000万円へ増えたことでおおむね説明がつきます。利益がほぼゼロでも、減価償却費の分、店は現金を生んでいます。
設備の代金に、まだ払っていない分がある
固定資産の取得に使った現金は、28億5,200万円から16億円へ減りました。投資を絞ったように見えます。
ところが貸借対照表の説明(添付資料2ページ)には、設備関係の電子記録債務が8億5,900万円、建設仮勘定が3億5,800万円増えたとあります。設備は手に入れて、支払いは後に回している分があるということです。現金の減り方だけで投資が細ったと見るのは早い、と考えています。
7月には大阪府の店を大きく改装しています。固定資産除却損も2,900万円から9,800万円に増えました。改装の年なら自然な並びですが、短信は両者を結びつけて書いてはいません。
会社は、節約志向で客数が減ったと書いている
説明文(添付資料2ページ)で会社が挙げている理由は3つです。スーパーでは、節約志向から客数が前年を下回り、売上が苦戦した。外食の子会社は、出店は増えたが出店の経費で減益。加工と配送の子会社は、取扱量の減少と仕入価格の高さで減益。
客数が減ったという説明は、粗利の減り方と合っています。そこは受け取ります。
一方で、説明文はコストの適正化と効率化を前面に出していますが、経費は前年より増えています。その増えた理由には、決算短信の説明文は触れていません。ここは留保を付けておきます。
下期に、前年並みの利益が要る
短信の3ページ目に、9月25日に上期の予想を修正し、通期は変えていないとあります。上期は8月20日に締まっていますから、会社は半年の結果をほぼ手にしたうえで、通期をそのままにしたことになります。
| 通期予想 | 上期実績 | 下期に要る額 | |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 13億円 | △5,700万円 | 13億5,700万円 |
| 経常利益 | 13億円 | 1,300万円 | 12億8,700万円 |
| 純利益 | 5,000万円 | △1億8,700万円 | 2億3,700万円 |
下期の列は、通期予想から上期実績を引いた私の引き算です。
表紙には、通期予想が前年から何%増えるかが載っています。そこから前年の通期を割り戻し、前年の上期6億7,000万円を引くと、前年の下期が出ます。比べると、下期に要る経常利益は、前年の下期より3%ほど少ないだけの水準です。これも私の計算です。上期は前年から6億5,700万円落ちたのに、下期はほぼ前年並みに戻す前提になっています。
配当は年26円のままです。予想の1株利益は1円23銭なので、配当が予想利益の20倍を超えます。中間の13円は10月14日から支払われます。自己資本比率は56.6%あり、現金も生んでいるので、すぐに払えなくなる形ではありません。
私は、下期も前年に届かない見方をしています
私は、下期も前年並みには届かないと考えています。理由は、上期の赤字の原因が客数の減少と経費の増加で、どちらも季節で入れ替わる話ではないからです。下期に何が変わるのかも、決算短信には書かれていません。
9月25日の修正のお知らせと、表紙に「有」とある決算補足説明資料は、まだ読んでいません。そこに下期の手当てが書いてあれば、見方を変えます。
店が現金を生む力は残っていて、借入金も減っています。そこは落ち着いて受け止めています。ただ心配性なので、先に下期の数字のほうが目に入ります。この会社の株がどうなるかは知りません。
出典
出典:決算短信(会社発表)
https://www.okuwa.net/ir/pdf/2027pdf/2027-2-kessantansin2.pdf
通期予想では、経常利益13億円に対して純利益は5,000万円です。その差の12億5,000万円に会社が何を見込んでいるのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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