家電の店と、携帯ショップと、パソコンを作る会社
ノジマは、東京と神奈川を中心に家電の専門店を構えている会社です。テレビやエアコン、パソコンを、店員に相談しながら選びたい人が行く店です。
売上の柱はもう一つあります。携帯電話会社のショップの運営を、全国の多くの店で請け負っています。機種変更や料金プランの相談で立ち寄るあの店を運営しているのも、ノジマです。
最近は、VAIOのブランドでパソコンを自分で作るようになりました。インターネット回線のニフティ、通販のセシール、衛星放送のチャンネルやアニメの権利も、グループの中に抱えています。売る店と、作る会社と、つながる回線がひとつの会社にある形です。
中間期で初めて、売上が5,000億円を超えました
10月29日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,037億5,600万円 | 4,627億6,800万円 | +8.9% |
| 営業利益 | 325億4,200万円 | 276億6,900万円 | +17.6% |
| 経常利益 | 495億200万円 | 306億2,100万円 | +61.7% |
| 純利益 | 335億9,000万円 | 194億3,100万円 | +72.9% |
純利益は、親会社株主に帰属する中間純利益です。表紙の表では、その隣にEBITDAという指標が並んでいるので、取り違えないよう気をつけました。
営業利益の伸びは2割弱で、経常利益は6割、純利益は7割を超えています。下の行ほど伸びが大きい。こういう並びのときは、営業利益と経常利益の間に何かが入っています。
経常利益を押し上げた、146億円の投資有価証券売却益
損益計算書の営業外収益に、投資有価証券売却益が146億2,700万円あります。前年同期は6億3,800万円でした。
経常利益は前年から188億8,100万円増えました。売却益の増えた分は、今回の146億2,700万円から前年同期の6億3,800万円を引いて出します。差は139億8,900万円です。経常利益の増加分のおよそ4分の3を、この一行が占めていることになります。
売却益を除くとどうなるか。495億200万円から146億2,700万円を引きます。残りは348億7,500万円です。前年の306億2,100万円と比べて1割強の増加で、営業利益の伸びとおおむね釣り合います。
貸借対照表にも跡が残っています。投資有価証券は383億400万円から148億4,300万円へ減りました。その他有価証券評価差額金も、92億9,000万円から19億8,100万円へ縮んでいます。含み益のある株を手放して、利益として確定させた形です。利益に移った含み益は、評価差額金の減少として包括利益の側で差し引かれます。そのため包括利益は、前年同期比12.0%の増加にとどまっています。
どの会社の株を手放したのかは、決算短信には書かれていません。
半年で2.5倍になった、原材料及び貯蔵品
営業キャッシュ・フローは192億100万円で、前年同期の371億3,500万円の半分ほどでした。税金等調整前の利益は前年より大きいのに、です。
| キャッシュ・フロー計算書の主な項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 298億2,900万円 | 494億6,100万円 |
| 投資有価証券売却損益 | △5億4,100万円 | △146億2,700万円 |
| 棚卸資産の増減額 | △34億8,000万円 | △186億2,100万円 |
| 法人税等の支払額 | △139億9,900万円 | △148億2,200万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 371億3,500万円 | 192億100万円 |
売却益は投資活動の収入の側に移るので、営業の欄からは引かれます。これは仕組みの話で、驚くことではありません。残るのは棚卸資産の増加、186億2,100万円です。
貸借対照表を開いて、引っかかりました。商品及び製品は791億5,300万円から852億7,100万円と、1割に満たない増え方です。ところが原材料及び貯蔵品は、84億4,700万円から211億7,600万円へ増えています。……家電の店が、原材料を半年で2.5倍抱えた。
手がかりは、事業ごとの説明文にありました。プロダクト事業の節に、メモリーなどの価格が上がり供給も一部ひっ迫するなかで「製品の安定供給の確保に取り組みました」とあります。海外事業の節にも、メモリーの調達難に「計画的な在庫確保で対応した」と書いてあります。
原材料の内訳は短信に載っていません。ここからは私の考えです。VAIOが、値上がりと品不足を前に、メモリーなどの部品を先に押さえた、と私は受け取りました。
売掛金と借入金の増え方が、キャッシュ・フロー計算書と合わない
もう一か所、数字が噛み合わないところがありました。
| 貸借対照表の増減 | キャッシュ・フロー計算書 | |
|---|---|---|
| 売掛金・売上債権 | 308億9,300万円増 | 117億円減 |
| 短期借入金 | 255億9,400万円増 | 61億8,800万円減 |
貸借対照表では大きく増えているのに、キャッシュ・フロー計算書では減っています。いや、これは変だ。
答えらしきものは、サービス事業の節の最後にありました。この中間期からNクレジットファイナンスという会社を連結に加え、「同社の貸借対照表のみ連結」したと書いてあります。子会社を新しく加えたときに持ち込まれる残高は、営業や財務の行には出てきません。
クレジットの会社なら、売掛金と、それをまかなう借入金を抱えているのが普通です。貸倒引当金が13億3,800万円から24億5,000万円へ増えているのも、同じ筋で説明できます。ずれの大半はNクレジットファイナンスの持ち込み分だ、と私は考えています。同社の残高の内訳は、短信には出ていません。
土地と建物に、430億円
投資の側では、有形固定資産の取得に430億6,000万円を使っています。前年同期は47億7,800万円でした。土地は166億3,900万円から327億3,600万円へ増えました。建物は208億3,000万円から452億4,600万円へ増えています。どちらも倍前後です。
家電の節には、小型店の出店や売場面積の見直しを進めていると書いてあります。ただ、何の土地と建物を取得したのかは、決算短信には書かれていません。現金及び預金は、963億円から769億9,200万円に減りました。
会社は「過去最高」を並べています
会社の説明は明快です。売上高、営業利益、経常利益は過去最高を更新しました。純利益も、2021年3月期にあったスルガ銀行などの持分法による投資利益を除けば過去最高だ、と書いています。経営指標として重視するEBITDAも613億800万円で、過去最高とのことです。
| 事業 | 売上高 | 前年同期比 | 経常利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| キャリアショップ運営 | 1,879億7,900万円 | 103.0% | 132億円 | 118.4% |
| デジタル家電専門店運営 | 1,864億2,200万円 | 117.6% | 129億3,400万円 | 116.0% |
| プロダクト | 403億700万円 | 117.8% | 43億9,500万円 | 139.9% |
| サービス | 385億8,900万円 | 107.9% | 20億1,600万円 | 61.3% |
| メディア | 112億7,900万円 | 91.4% | 11億700万円 | 150.7% |
| 海外 | 443億2,000万円 | 108.8% | 2億900万円 | 63.3% |
事業ごとの伸びは、そのまま受け取ります。家電の店も携帯ショップもVAIOも、自分の商売で利益を増やしています。ニフティは販管費が増えて、営業利益が前年を大きく下回りました。体制を変えた、と会社自身が書いています。
一つだけ留保があります。注記によれば、EBITDAは経常利益を出発点に、利息と償却費を足して計算されます。146億2,700万円の売却益は、この「過去最高」の中にもそのまま入っています。
通期予想は修正され、営業利益はちょうど半分
表紙には、修正後の通期予想が載っています。修正の中身は別のお知らせに回されていて、私はそちらをまだ読んでいません。上に直したのか下に直したのかは、短信からは分かりません。
| 通期予想 | 中間期の実績 | 進捗率 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆600億円 | 5,037億5,600万円 | 約47.5% | 約5,562億4,400万円 |
| 営業利益 | 650億円 | 325億4,200万円 | 約50.1% | 約324億5,800万円 |
| 経常利益 | 830億円 | 495億200万円 | 約59.6% | 約334億9,800万円 |
| 純利益 | 540億円 | 335億9,000万円 | 約62.2% | 約204億1,000万円 |
約の付いた数字は、表紙の通期予想と中間期の実績から私が割り算・引き算したものです。
営業利益は、上期と同じだけ下期も稼ぐ前提です。上期は、146億2,700万円の売却益を含めて、経常利益が営業利益を大きく上回っていました。ところが経常利益の下期分は、営業利益の下期分より10億円ほど多いだけでした。下期には、上期のような売却益をほとんど見込んでいない、というのが私の引き算です。
本業は強く、経常利益の伸びは割り引いて受け取る
私は、本業は確かに伸びていると考えています。ただし経常利益と純利益の伸び方は、そのまま受け取りません。理由は、売却益を除いた経常利益の伸びが1割強で、営業利益の伸びと同じ高さに収まるからです。家電もVAIOも、売上と利益の両方で前年を上回っています。
心配性なので、先に下を見ておきます。気になるのは、上期に積み上げた部品です。メモリーの値段が上がっている間は、先に押さえたことが効きます。値段の向きが変わったときにどうなるかは、まだ分かりません。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

430億円で取得した土地と建物が何に使われるのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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