きんでん(1944)2027年3月期 中間決算分析・続報――利息は本業で吸収できていると読みました

きんでん(1944)2027年3月期 中間決算分析・続報――利息は本業で吸収できていると読みました 日本株

はじめに

きんでんは、建物や工場に電気を通す工事を請け負う会社です。ビルは、躯体ができただけでは照明も空調も動きません。受変電の設備を据え、配線を引き、通信のケーブルを通して、ようやく人が働ける建物になります。

関西電力系の電気設備工事では首位級とされます。関西電力送配電からは、電柱から家や事業所へ電気を届ける配電工事も受けています。発注するのは、工場や物流施設、オフィスビルを建てる企業と、電力会社です。

8月に、2026年7月29日に出た第1四半期の決算短信を読みました(前の記事)。そのとき引っかかったのは、自己株式の取得のために短期借入金が一気に膨らんでいたことです。それをどう返していくのか分からない、と書いて終えました。

今回は2026年10月30日に出た中間決算です。同じ日に、通期予想の上方修正も出ています。

中間期も、利益は売上より速く伸びた

項目今回前年同期増減率
売上高3,581億9,500万円3,213億7,800万円+11.5%
営業利益419億7,000万円317億9,100万円+32.0%
経常利益426億600万円339億7,600万円+25.4%
純利益313億2,100万円225億6,500万円+38.8%

会社は、4月に出した中間期の予想をすべての段階で上回ったと書いています。

短期借入金は、3か月で少しだけ減っていた

前回いちばん気になっていた科目から確かめました。8ページ目の貸借対照表で、短期借入金は2,295億1,300万円です。第1四半期末は2,454億2,100万円でした。引き算すると、7月から9月の3か月で159億800万円減ったことになります。

11ページ目のキャッシュ・フロー計算書では、営業キャッシュ・フローが492億3,700万円の収入で、前年同期の437億2,200万円より多くなりました。工事代金の回収が進み、売上債権が536億円ほど減って、その分が現金に変わっています。利益は、きちんと現金になっていました。

手持ちの有価証券も減っています。流動資産の有価証券は、前期末の1,271億9,400万円から735億円になりました。特別利益には投資有価証券売却益が46億3,200万円あり、前年同期の9億5,600万円から大きく増えています。純利益が4割近く伸びた中には、この売却益が含まれます。

財務活動の欄には、短期借入金の純増2,143億2,400万円と、自己株式の取得による支出2,236億8,100万円が並んでいます。借りたお金は、ほぼそのまま自己株式の取得に回りました。この借入金をいつまでにどう減らすのかは、今回の決算短信にも書かれていません。

利息の重さが、経常利益に出てきた

中間期の支払利息は11億300万円で、前年同期の8,900万円とは桁が違います。第1四半期は1億8,300万円でしたから、7月から9月だけで9億2,000万円です。

3か月ずつに分けると、営業利益と経常利益の並び方が入れ替わっています。

項目4月〜6月7月〜9月
営業利益136億100万円約283億6,900万円
経常利益154億3,400万円約271億7,200万円
支払利息1億8,300万円約9億2,000万円

約の付いた数字は、中間期の累計から第1四半期を引いた私の計算です。

4月から6月は、経常利益が営業利益を18億円ほど上回っていました。7月から9月はそれが逆になり、経常利益のほうが12億円ほど小さくなっています。営業外費用の「その他」も、前年同期の1億9,600万円から11億2,300万円に増えました。この中身は決算短信には書かれていません。

……無借金に近かった会社で、経常利益が営業利益を下回る。見慣れない並びだ。

それでも、7月から9月の営業利益は283億6,900万円あります。利息の9億2,000万円をこれで割ると3%ほどです。

弘電社は、9月末に完全子会社になっていた

前回は関連会社として出てきた弘電社が、9月30日付で議決権100%の連結子会社になりました。6ページ目によると、株式併合、種類株式の発行、弘電社による株式の取得、という順を踏んでいます。種類株式を引き受けたのはきんでんで、弘電社が取得したのは三菱電機が持っていた株式です。

のれんは135億5,400万円から582億6,700万円に増えました。会社は、通期予想に弘電社の10月から3月までの業績を入れたと書いています。

個別の手持工事高は8,303億7,100万円で、前年同期から2割半増えました。受注予想も6,800億円から7,500億円に引き上げています。

予想の引き上げは、弘電社だけの話ではなかった

上方修正の理由として、会社は2つ挙げています。個別では、生産性向上や原価低減で採算が良くなったこと。連結では、それに加えて弘電社の下期を入れたことです。

弘電社の分がいくらなのかは、決算短信には書かれていません。ただ、3ページ目の個別業績予想も修正されています。個別は子会社を含まない、きんでん単体の数字です。単体まで引き上げたのなら、買収分を除いても上振れる見込みだということになります。前回の個別予想は今回の短信に載っていないので、幅までは分かりません。

採算の説明は、そのまま受け取っています。理由は、完成工事総利益が709億6,400万円から862億3,100万円へ、売上の伸びを上回って増えているからです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目前回の通期予想今回の通期予想進捗率
売上高8,100億円8,500億円42.1%
営業利益970億円1,050億円40.0%
経常利益960億円1,050億円40.6%
純利益700億円750億円41.8%

この会社は後半に完成工事が集まります。表紙には、売上予想8,500億円は前期より13.2%多い、とあります。そこから割り戻すと、前期の通期売上は約7,509億円です。前期の中間期は3,213億7,800万円でしたから、前期もこの時点で4割強でした。今回の4割は、いつもの範囲内です。

予想から中間期を引くと、残り6か月に必要なのは営業利益630億3,000万円、経常利益623億9,400万円です。後半も、経常利益が営業利益を6億円あまり下回る見込みになります。前期の後半と比べると、営業利益は1割弱の増加、純利益は7%ほどの減少です。弘電社が加わったうえでこの数字なので、後半は控えめに組んであると受け取りました。

前回は、後半を減らす組み立てを保守的すぎるのではないかと書きました。予想は引き上げられたので、その見立ては外れていませんでした。

私はどう読んだか

私は、借入の利息は本業の伸びで吸収できている、という見方をしています。理由は、営業キャッシュ・フローが前年同期を上回り、7月から9月の利息が営業利益の3%ほどにとどまっているからです。単体の予想まで上がったことも、それを支えています。

一方で、貸借対照表の形は前回から大きくは変わっていません。借入は2,295億円残っていて、返し始めたばかりの段階です。心配性なので、次の決算でもまず短期借入金の行を開きます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.kinden.co.jp/pdf/2026-10-30_3.pdf

残り2,295億円の短期借入金を、手元の有価証券と営業で得た現金のどちらで、いつまでに返すのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました