ユアテック(1934)2027年3月期 中間決算分析――利益と売上は別の場所で伸びたと読みました

ユアテック(1934)2027年3月期 中間決算分析――利益と売上は別の場所で伸びたと読みました 日本株

電気を届ける側の工事会社

ユアテックは、東北電力のグループに属する電気工事の会社です。売上のかなりの部分を東北電力からの仕事が占めています。電気を発電所から家や工場まで届ける設備を作り、傷んだところを直すのが仕事です。

電力会社の設備だけではありません。ビルや工場の電気設備の工事も、風力や太陽光の発電所の工事も請け負っています。首都圏にも出ていて、海外には子会社があります。新しい建物に明かりがつくまでの間に、図面どおりに線を引き、機器をつないでいる人たちの会社です。

本業のほかに、車や工事用機械のリース、警備、ミネラルウォーターの製造も手がけています。電気工事の会社がなぜ水を作っているのかは、決算短信には書かれていません。少し気になっています。

売上は1割に届かず、利益は5割以上増えた半年

2026年10月28日に出た、4月から9月までの中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高1,256億200万円1,187億9,300万円+5.7%
営業利益86億8,500万円58億8,800万円+47.5%
経常利益96億5,600万円54億7,000万円+76.5%
純利益57億8,800万円32億2,700万円+79.4%

売上の伸びは小さく、利益だけが大きく膨らんでいます。同じ日に通期の業績予想と配当予想も修正され、年間配当は前期の72円から84円になる予想です。修正前の業績予想がいくらだったかは、決算短信には載っていません。別のお知らせを見るよう書かれていますが、私はそちらをまだ開いていません。

売上を伸ばしたのは、親会社の外でした

短信の3ページ目に、親会社だけの数字が参考として載っています。連結の表と並べたところで引っかかりました。

連結うち親会社単体差(子会社など)
売上高 今回1,256億200万円1,086億8,100万円約169億2,100万円
売上高 前年同期1,187億9,300万円1,069億4,100万円約118億5,200万円
営業利益 今回86億8,500万円78億5,700万円約8億2,800万円
営業利益 前年同期58億8,800万円51億4,700万円約7億4,100万円

約の付いた数字は、連結から親会社単体を私が引いたものです。グループ内の取引の消去も混ざっています。

親会社だけで見ると、売上の伸びは1.6%しかありません。それでも営業利益は5割増えています。差の列は逆です。売上は約118億円から約169億円へ増えました。50億円ほどの増加なのに、営業利益の増加は1億円に届きません。

説明文にも、大型工事が順調に進んだのは「当社および海外子会社」とあります。売上を押し上げたのは主に子会社の側、利益を押し上げたのは親会社の側だった、と私は受け取りました。……伸びた場所が、きれいに分かれている。

経常利益の増加の3分の1ほどは、為替の向きが変わった分

営業利益と経常利益の伸び方の違いは、損益計算書の営業外の行で説明がつきます。前年同期は為替差損が9億5,700万円出ていました。今回は為替差益が4億2,300万円です。

損が消えて益に変わったので、前年との差は二つを足した約13億8,000万円です。経常利益の増加額は41億8,500万円ですから、そのおよそ3分の1が為替の振れによるもの、というのが私の割り算です。次の半年に為替がどちらへ動くかは分からないので、ここは本業の伸びとは分けて数えておきます。

純利益の側には、逆向きの一時的な項目もあります。投資有価証券評価損の10億3,000万円が特別損失に入っています。どの会社の株式なのかは、決算短信には書かれていません。この損を抱えたうえでの8割近い増益です。

設備への支出は前年の2.6倍、そこへ自己株式の取得

キャッシュ・フロー計算書は短信の11ページ目にあります。私がいちばん長く眺める表です。

営業活動で得た現金は20億9,100万円で、純利益の4割に届きません。ただ、中身を見ると理由ははっきりしています。法人税等の支払いに44億800万円、未払消費税等の減少で41億8,600万円が出ていきました。売上債権はむしろ減り、工事の前受け金は18億1,900万円増えています。

引っかかったのは投資の側です。有形固定資産の取得に46億8,100万円を使いました。前年同期の17億9,000万円と比べて2.6倍です。何に使ったのかは、決算短信には書かれていません。結果として、現金及び現金同等物は半年で53億1,300万円減り、377億6,900万円になりました。

そこへ、上限55億円の自己株式の取得が決まりました。発行済株式の2.47%にあたり、取得した株はすべて来年3月31日に消却します。自己資本比率は69.8%で手元の現金も厚く、無理をした還元には見えません。

会社は値付けと原価管理を理由に挙げている

売上については、手持ちの工事が豊富で、大型工事が順調に進んだことを理由に挙げています。営業利益については、人件費や外注費の上昇分を工事価格へ反映するよう努めたこと、原価管理を徹底して工事の採算を良くしたことです。

この説明は、そのまま受け取っています。理由は、売上がほぼ横ばいの親会社で営業利益が5割増えているからです。損益計算書でも、売上が68億800万円増えたのに対し、売上原価の増加は34億2,500万円にとどまっています。

留保を付けるなら、「努めた」という言い方です。価格への反映がどこまで済んだのかは、決算短信からは分かりません。

通期予想まで、残りの半年で求められる伸び

通期予想中間期進捗率残り6か月に必要な額前年下期比
売上高2,840億円1,256億200万円44.2%1,583億9,800万円約+18.7%
営業利益221億円86億8,500万円39.3%134億1,500万円約+10.4%
経常利益232億円96億5,600万円41.6%135億4,400万円約+0.8%
純利益143億円57億8,800万円40.5%85億1,200万円約+19.9%

進捗率から右の列は、表紙の予想と中間期の数字から私が出したものです。前年下期の数字は、予想の増減率で割り戻して求めています。

どの段も半分に届いていません。ただ、この会社は前年も下期のほうが大きかったのです。今期予想の2,840億円を、予想の増減率から出した1.126で割り戻すと、前年の通期売上は約2,522億円になります。そこから前年同期の1,187億9,300万円を引くと、前年の下期は約1,334億円になります。

それでも、残り6か月の売上は前年の下期より2割近く多く見込まれています。上期の伸びが6%足らずだったので、ここがいちばん高い山です。未成工事支出金が半年で20億7,900万円増えていて、仕掛かりの工事が積み上がっていることは貸借対照表から分かります。

経常利益だけは、残り6か月で前年の下期とほぼ同じ額しか見込んでいません。営業利益の伸びは見込みながら、前年の下期にあった営業外の益は当てにしていない予想の組み立てだと考えています。

私はどう読んだか

この半年の増益には、2つの見方があります。値付けと原価管理で本業の採算が良くなったという見方と、為替と海外子会社の大型工事に助けられたという見方です。

私は前者の見方をしています。理由は、売上がほぼ横ばいの親会社で営業利益が5割増えていて、為替も子会社の工事もそこには関わっていないからです。

心配性なので、先に見ているのは下期の売上です。上期の売上の伸びは5.7%で、下期にはその3倍以上の伸び率を求める予想です。届くかどうかは工事の完成の時期しだいです。この先どうなるかは分かりません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.yurtec.co.jp/ir/ir/pdf/261028_01.pdf

有形固定資産の取得が前年の2.6倍に増えた理由と、評価損を出した株式の中身は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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