ナガワ(9663)2027年3月期 中間決算分析――現金の減り方は、投資の跡と読みました

ナガワ(9663)2027年3月期 中間決算分析――現金の減り方は、投資の跡と読みました 日本株

工事現場の小屋を、売って、貸す会社

工事現場の入り口に、窓の付いた四角いプレハブの小屋が置いてあることがあります。あれがユニットハウスで、ナガワはその大手です。建設会社が現場事務所や休憩所として借ります。地震や豪雨のあとには、仮設の事務所や住まいとして運び込まれます。大きな催しでは、控室や受付にもなります。

売るだけでなく、貸すことが商売の大きな柱です。ハウスを自分で持っておき、必要な期間だけ現場へ出します。

ほかに二つの事業があります。工場で作ったユニットを組み上げて倉庫や事務所を建てるモジュール・システム建築と、北海道での建設機械のレンタルです。

4つの利益がそろって前年を上回った上半期

2026年10月26日に出た中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高174億4,500万円164億800万円+6.3%
営業利益20億2,200万円18億3,000万円+10.5%
経常利益24億8,300万円22億3,100万円+11.3%
純利益16億2,600万円11億8,200万円+37.5%

純利益だけ、伸び方が飛び抜けています。

ハウスを買うお金が、営業キャッシュ・フローの中にある

貸借対照表を開くと、現金及び預金がこの半年で21億円あまり減っていました。利益は前年より多いのに、です。キャッシュ・フロー計算書で行き先を確かめました。

今回
営業活動によるキャッシュ・フロー10億5,100万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△16億4,300万円
財務活動によるキャッシュ・フロー△15億4,800万円
現金及び現金同等物の増減△21億3,900万円

財務活動の出金は、全額が配当金の支払いです。投資活動では、11億8,400万円が投資有価証券の取得でした。この二つは使い道がはっきりしています。

引っかかったのは営業活動のほうです。税引前中間純利益が24億5,900万円、減価償却費が23億3,400万円あります。それなのに、営業で残った現金は10億5,100万円でした。……少なすぎる。

答えは営業活動の欄の中ほどにありました。「貸与資産の取得による支出」28億8,500万円です。貸し出すハウスを買ったお金が、投資活動ではなく営業活動に入っています。10億5,100万円に、この28億8,500万円を足し戻してみます。合計は39億3,600万円です。ハウスを買わなければ、本業はそれだけの現金を生んでいた計算です。

買った額は、会社全体の減価償却費を上回っています。貸借対照表でも、貸与資産は8億900万円増えて157億3,400万円になりました。古くなったハウスを入れ替えただけではなく、貸せる台数そのものを増やしている、と私は受け取りました。

前年同期と並べると、買い増しの勢いが分かります。

前年同期今回
貸与資産の取得による支出△24億6,200万円△28億8,500万円
営業活動によるキャッシュ・フロー2億2,700万円10億5,100万円

前年はハウスを買ったあと、営業キャッシュ・フローが2億円台まで細っていました。今回はそれより多く買って、なお10億円を残しています。

純利益は、前期の一時的な損と益にはさまれている

中間純利益は4割近く増えましたが、経常利益の伸びは1割ほどです。差を生んだのは特別損失でした。前年の上半期には投資有価証券評価損が4億3,400万円あり、今回はそれがありません。

反対に、通期の純利益は4分の1ほど減る予想です。減る理由は、決算短信には書かれていません。表紙の通期予想と増減率から前期を割り戻すと、前年の下期の形が見えてきます。

前期通期前期中間前期下期
経常利益約50億500万円22億3,100万円約27億7,400万円
純利益約44億3,500万円11億8,200万円約32億5,300万円

約の付いた数字は、通期予想を表紙の増減率(経常利益+1.9%、純利益△25.6%)で割り戻し、前期中間の実績を引いた私の計算です。

前年の下期は、純利益が経常利益を5億円近く上回っていたことになります。税金を払ったあとの利益が経常利益より大きくなるのは、特別利益が入った期くらいです。

前期の下期に大きな一時的な利益があり、今期はそれを見込んでいません。通期の減益予想はそういう組み立てだ、と私は考えました。その利益の中身は、この短信からは分かりません。

配当をもらう側でも、払う側でもある

営業利益と経常利益の差は4億6,100万円です。ほとんどが受取配当金の4億3,700万円でした。保有する投資有価証券は230億4,400万円あり、総資産のほぼ3割にあたります。この半年でもさらに買い増しています。

払う側では、配当予想が60円から80円へ引き上げられました。ただ、前期の期末配当は100円でした。引き上げたあとでも、前期より20円少ない水準です。前期が100円だった理由は、今回の短信には書かれていません。

会社はどう説明しているか

ユニットハウスの販売は、常設展示場の増設と展示品の増強で、全国的に受注が進んだと書いています。レンタルは保有するハウスを増やし、民間やアジア大会などの催しの需要についていけた、という説明です。令和8年熊本地震や台風・豪雨の復旧にも対応したそうです。

ハウスの買い増しは、キャッシュ・フロー計算書の数字と噛み合っています。この説明はそのまま受け取ります。

事業売上高前年同期比セグメント利益前年同期比
ユニットハウス144億8,100万円+5.5%17億5,900万円+13.2%
モジュール・システム建築25億5,800万円+14.1%2億3,200万円+1.9%
建設機械レンタル4億500万円△8.0%4,900万円△27.1%

留保を付けたいのは、モジュール・システム建築です。短信には「価格転嫁が進み、改善が見られました」とあります。しかし売上が1割以上増えたのに、利益はほぼ横ばいです。「改善」という言葉と、数字の伸び方が合っていません。

建設機械レンタルは、道南で土木工事の需要をつかめなかったと書いています。規模が小さいので、全体への響き方は限られます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は5月15日のまま据え置かれています。

中間期通期予想進捗率下期に必要な額
売上高174億4,500万円380億円45.9%205億5,500万円
営業利益20億2,200万円45億円44.9%24億7,800万円
経常利益24億8,300万円51億円48.7%26億1,700万円
純利益16億2,600万円33億円49.3%16億7,400万円

右端の列は、通期予想から中間期を引いた私の引き算です。

進捗率は、どれも半分を少し下回っています。下期の売上は、前年の下期より1割近く多い見込みです。それなのに下期の営業利益は、前年の下期をわずかに下回る予想になっています。

上期は売上が増え、利益率も上がりました。会社は半年の実績を見たあとも、下期の利益の見込みを上げていません。その理由は、短信には「予想に変更はございません」とあるだけです。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

私はどう読んだか

私は、現金が減ったのは投資の結果で、本業は細っていない、という見方をしています。理由は、ハウスを前年より多く買ったうえで、営業キャッシュ・フローが前年の4倍以上に増えているからです。レンタルを広げたという会社の説明とも、数字が一致しています。

純利益の上下は、前期の評価損と、前期下期にあったはずの特別利益の出入りで、だいたい説明が付きます。通期の減益予想は、本業が落ちる話とは別だと考えています。

心配なのは下期の営業利益です。買い増したハウスの減価償却が、下期に重くなってくる段階なのかもしれません。心配性なので、ここは次の決算で確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

株式会社ナガワ
株式会社ナガワのトップをご覧いただけます。

下期の営業利益を前年の下期より低く見込んでいる理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました