SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(9478)2027年3月期 中間決算分析――出どころが気になる

SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(9478)2027年3月期 中間決算分析――出どころが気になる 日本株

技術書の棚にある本を作っている会社です

この会社は、プログラミングやネットワークの入門書、IT資格の参考書を出している出版社を傘下に持つ持株会社です。書店の技術書のコーナーに行けば、たいてい何冊かは並んでいます。買う人は、仕事で必要になった技術者か、これから資格を取ろうとしている人です。

事業はそれだけではありません。IT企業に向けたマーケティングの手伝い、ソフトウェアやスマートフォン向けコンテンツの開発、技術者向けの研修、医療系の人材紹介。ここまでが人と知識を売る商売です。

そしてもう一つ、有価証券と不動産への投資運用を、事業として持っています。余った資金の運用ではなく、決算で一つの事業として数えられています。この並びを頭に入れておくと、今回の短信は読みやすくなります。

売上は前年並みで、利益だけが跳ねています

10月22日に出た中間決算です。2026年4月から9月までの半年をまとめたものです。

項目今回前年同期増減率
売上高34億3,400万円34億5,200万円-0.5%
営業利益7億5,200万円3億8,800万円+93.9%
経常利益7億6,200万円3億600万円+148.8%
純利益5億1,600万円2億200万円+154.8%

売上はほとんど動いていないのに、利益は倍近くになっています。営業利益率は1割強から2割強へ上がりました。売る量が増えて儲かった決算ではありません。中身が入れ替わっています。何がどう入れ替わったのかは、この表には出ていません。

増えた利益のほぼ全部が、投資運用から出ています

短信11ページ目のセグメント情報を、前年と並べました。

事業売上(今回)売上(前年同期)利益(今回)利益(前年同期)
出版17億3,900万円19億5,300万円2億1,900万円2億2,300万円
コーポレートサービス2億6,100万円3億400万円400万円△2,200万円
ソフトウェア・ネットワーク2億9,400万円4億2,900万円△200万円3,500万円
教育・人材4億7,600万円5億2,400万円6,400万円1億1,500万円
投資運用6億6,200万円2億4,000万円5億9,500万円1億8,600万円
5事業の合計34億3,400万円34億5,200万円8億8,200万円5億3,800万円

利益の合計は、全社の費用を引く前の数字です。ここから本社費用などを差し引いて、営業利益7億5,200万円になります。

5事業の利益合計は、5億3,800万円から8億8,200万円へ増えました。増加額は3億4,400万円です。投資運用だけを見ると、1億8,600万円から5億9,500万円へ増えています。こちらの増加額は4億900万円です。全体の増え方より、投資運用1つの増え方が大きいのです。投資運用の増加額から全体の増加額を引くと6,500万円。つまり投資運用を除く4事業は、合計では6,500万円利益を減らしています。これは私の引き算です。

売上のほうは、4事業がそろって減っています。出版が1割以上、ソフトウェア・ネットワークは3割以上減りました。全体の売上が横ばいに見えたのは、投資運用が2億4,000万円から6億6,200万円へ増えて、その減少分を埋めたからです。

……いや、これはもう、一つの事業の決算を見ているのと変わらない。

引っかかったのはそこです。ただ、同じ表の中で前向きに読んだところもあります。出版は売上が1割以上減ったのに、利益は2億2,300万円から2億1,900万円で、ほぼ横ばいに踏みとどまっています。コーポレートサービスは2,200万円の赤字から400万円の黒字に戻りました。

経常が営業よりさらに伸びたのは、為替の裏返しです

経常利益の伸びは+148.8%で、営業利益の+93.9%より大きくなっています。損益計算書の営業外の欄を見ると、理由が分かります。

前年の同じ半年は、為替差損6,500万円が営業外費用に入っていました。今回はそれが消えて、代わりに為替差益2,300万円が営業外収益に入っています。合わせて8,800万円ぶん、ひっくり返ったわけです。

営業利益の増加は、7億5,200万円から3億8,800万円を引いた額です。3億6,400万円になります。経常利益の増加は、7億6,200万円から3億600万円を引いた額で、4億5,600万円です。差は9,200万円で、為替の振れ8,800万円でほぼ埋まります。前年に損を出した側にいて、今年は得をした側にいた、というだけの話です。

営業活動の現金は、マイナスから戻っています

キャッシュ・フロー計算書を見ると、営業活動による現金は、前年の7,000万円の流出から、今回は5億7,400万円の流入に変わっていました。税金を引く前の利益7億6,100万円が土台です。

もう一つ効いているものがあります。先に筋を言うと、売掛金の回収です。受取手形・売掛金及び契約資産は、3月末の15億7,900万円から9月末の12億9,300万円へ減りました。その差額2億8,600万円が現金として入ってきています。売上が減った事業が多いので、請求の残りも減ったことになります。

手元の現金及び預金は29億8,600万円から32億700万円へ。利益が出て、現金も増えています。ここまでは財務諸表の数字です。

会社はどう説明しているか

短信4ページ目で、会社は投資運用についてこう書いています。安定的な投資運用量の増加にともなう配当金収入の増加に加え、割高となっている保有株の一部売却を進めたことが主な理由、と。同じ日に出た説明会資料でも、一部保有株式の売却を進めたという書き方です。

出版については、市場に合わせた構造改革を推進したとあります。コーポレートサービスは受注の質の見直しとコスト削減、ソフトウェア・ネットワークは開発市場の変化、教育・人材はIT研修の軟調と人材コストの増加。各事業の説明はそれぞれ付いています。

そのまま受け取れるのですが、一つだけ留保します。投資運用の売上6億6,200万円のうち、配当金収入がいくらで、株を売って得た分がいくらなのか。その内訳は短信にも説明会資料にも書かれていません。配当は持っている間ずっと入ってきますが、売却で立つ利益は売れる株がある間だけです。内訳が見えないと、この利益が来年も同じ形で出るのかどうかは決められません。

通期予想は据え置きで、下半期は減る置き方です

項目中間期までの実績通期予想進み具合
売上高34億3,400万円67億円51.3%
営業利益7億5,200万円11億円68.4%
経常利益7億6,200万円10億円76.2%
純利益5億1,600万円7億円73.7%

進み具合は、実績を通期予想で割った私の計算です。売上はちょうど半分ですが、利益はどれも7割前後まで来ています。経常はもう8割に近い。

それでも会社は予想を動かしませんでした。10月19日に公表したものから変更はない、と短信4ページ目に書いてあります。

残りの半年にどれだけを見込んでいるのか、計算してみます。通期予想の営業利益11億円から、中間期の7億5,200万円を引きます。残り半年の営業利益は3億4,800万円です。前年はどうだったか。説明会資料にある前期の通期営業利益9億5,500万円から、前年の中間期3億8,800万円を引くと、前年の下半期は5億6,700万円でした。3億4,800万円は、そこから4割近く低い水準です。経常と純利益では、見込んだ額が前年の同じ半年の半分を下回ります。

上期に出た株の売却益が、下期にも同じだけ出るとは考えていない、ということです。この据え置きは強気ではありません。

私はどう読んだか

収益性が上がったことは事実として受け取ります。利益率も1株利益も、半年で倍以上になりました。自己株式の取得も進んでいて、中間期までに2億300万円を買い、期中平均の株式数は1,613万株から1,513万株へおよそ100万株減っています。

そのうえで、私は慎重な側の見方をしています。理由は、増えた利益の出どころが投資運用の一事業に偏っているからです。人と知識を売る4つの事業は、売上がそろって減っています。株を売れば利益は立ちますが、同じことを毎期続けられるとは短信からは読めません。

出版が売上の減少に対して利益を守った点は、今回いちばん前向きに読んだところです。この踏みとどまりが構造改革の成果として続くのか、一度きりなのかは、次の決算で見ます。

出典:決算短信(会社発表)

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02768/a7f72157/ea07/437b/a896/e9ffe07cdc00/140120261022554428.pdf

投資運用の売上のうち、配当金収入と株の売却で得た分がそれぞれいくらなのかは、短信にも説明会資料にも書かれておらず、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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