マルゼン(5982)2027年2月期 中間決算分析――仕入割引の減り方が気になります

マルゼン(5982)2027年2月期 中間決算分析――仕入割引の減り方が気になります 日本株

はじめに

マルゼンは、飲食店の厨房に置く機械を作っている会社です。揚げ物のフライヤーや、うどんやそばをゆでるゆで麺機など、店の奥で毎日火を入れて使う道具です。買い手は外食チェーンや、総菜を作る食品スーパーです。自社で設計した製品の種類が多いことを、会社は強みに挙げています。

厨房機器のほかに、パン工場で使う大型の製パン機械と、ビルの賃貸もしています。売上のほとんどは厨房機器です。チェーン店のカウンター越しに見える銀色の機械は、たいていこういう会社が作っています。

この決算で何が起きたか

2026年10月9日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
売上高361億4,500万円333億9,600万円+8.2%
営業利益36億8,800万円32億7,600万円+12.6%
経常利益41億1,400万円36億4,800万円+12.8%
純利益28億4,100万円25億7,700万円+10.2%

売上より利益のほうが伸びた、素直な増収増益です。

増えた営業利益の4割強は、パン工場向けの機械から

部門別の表を見ると、伸び方にかなり差があります。

部門売上 前年同期売上 今回利益 前年同期利益 今回
業務用厨房318億1,678万円336億9,476万円33億7,171万円36億3,695万円
大型製パン機械13億4,556万円22億1,213万円1億7,810万円3億5,356万円
ビル賃貸2億4,567万円2億4,631万円1億5,454万円1億5,575万円

出どころは短信のセグメント情報です。

会社全体の営業利益は、今回が36億8,836万円、前年同期が32億7,611万円です。差し引きで約4億1,200万円増えました。製パン機械の利益は、今回が3億5,356万円、前年同期が1億7,810万円です。こちらは差し引きで約1億7,500万円増えています。この約1億7,500万円は、全体の増益の約4億1,200万円の4割強にあたります。増益分の4割強が、売上の6%ほどしかない部門から来たことになります。ここは私の引き算です。

製パン機械について、会社は「大型案件の計上も加わった結果」と説明しています。大きな機械が1件納まった、ということです。次の半年も同じ規模の案件があるかどうかは、決算短信には書かれていません。

主力の厨房部門は約2億6,500万円の増益でした。原材料や物流費、人件費が上がったのを吸収したうえでの増益だと、会社は書いています。

受取利息が増えて、仕入割引がほぼ無くなりました

経常利益が営業利益より4億円以上多いのは、営業外の収入があるからです。損益計算書の内訳を見ていて、引っかかった行が2つありました。

営業外収益前年同期今回
受取利息7,088万円1億8,667万円
仕入割引8,303万円390万円

受取利息は2.5倍を超えています(私の割り算です)。現金及び預金は386億円あり、総資産の半分を超えます。金利が付くようになった分が、そのまま乗っています。

もう1つが仕入割引です。支払いを期日より早く済ませると、仕入先が少し値引きしてくれます。その値引きの分です。これが8,303万円から390万円へ、ほぼ消えました。理由は決算短信には書かれていません。

支払いの仕方の変化は、貸借対照表と現金の流れに出ています

貸借対照表では、電子記録債務が97億8,079万円から85億8,915万円へ減りました。会社は、中小受託取引適正化法への対応で電子記録債務の利用が減ったため、と説明しています。下請けへの支払いを、より早く、より現金に近い形にする法律です。財務の仕事をしていると、この法律に合わせて支払いの段取りを組み直したという話は、あちこちで耳にします。

この変化は、現金の流れの表にそのまま出ています。

営業活動のキャッシュ・フロー前年同期今回
仕入債務の増減+9億3,689万円△11億6,319万円
売上債権の増減+2億878万円+9億6,448万円
営業活動の合計34億6,070万円29億5,644万円

利益は増えたのに、営業活動で入った現金は5億円ほど減っています。主な理由は、仕入先への支払いが増えたことです。売掛金の回収が進んだ分で、一部は埋まりました。稼ぐ力が落ちたのではなく、払う時期が前に寄ったと受け取っています。

……早く払うようになって、割引が減る。普通は逆だ。

ただ、こうも考えられます。早く払うのが当たり前になれば、早払いのお礼として値引きを付ける理由が、仕入先の側から消えます。短信はこの2つを結び付けていません。同じ半年に起きた2つの動きが、同じ法律から来ている、と私は読みました。そうだとすると、仕入割引は来期以降も戻りません。

投資のプラス91億円は、定期預金の満期です

投資活動のキャッシュ・フローは91億3,610万円のプラスでした。大きな資産を売ったわけではありません。定期預金の払い戻しが280億円、預け入れが180億円でした。差の100億円が、満期で戻った分です。現金及び預金の合計は、376億5,739万円から386億2,818万円になりました。預金の置き場所が変わっただけなので、増えたのは10億円弱にとどまります。

お金を使った先もあります。埼玉県越谷市に土地を買い、研究開発センターを建てます。支払い済みは7億4,800万円、総投資額は未定、完成は2029年4月以降です。9月にはタイに厨房機器の製造会社を作りました。資本金は約7億円で、生産開始は2028年4月の予定です。どちらも今期の数字に効く話ではありません。

会社はどう説明しているか

外食産業について、会社は消費者の気分に下げ止まりが見える一方、低価格志向と人手不足が続いていると書いています。そのなかで外食チェーンと食品スーパー向けが堅調だった、という説明です。

厨房部門の説明は、部門別の数字と食い違いません。そのまま受け取ります。製パン機械の伸びは、会社自身が大型案件込みだと書いているので、一時的なものとして割り引いて考えます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は、4月10日に出したものから変えていません。

通期予想進捗率残り6か月に必要な額前年下期比
売上高670億円53.9%308億5,500万円−7.6%
営業利益67億円55.0%30億1,200万円−10.3%
純利益53億円53.6%24億5,900万円−6.8%

半年で半分を超えて進んでいます。予想を据え置いた結果、下期は前年より1割ほど減益の見込みになっています。減益を見込む理由は、決算短信には書かれていません。表紙には、補足説明資料も説明会も無いと載っています。

配当は中間が60円で、前年の55円から増えました。期末は65円の予想で、年間では前期と同じ125円です。

私はどう読んだか

下期1割減益という置き方は、慎重な側の見積もりだと考えています。理由は、主力の厨房部門が費用の上昇を吸収して増益を出しており、受取利息も積み上がっているからです。製パン機械の大型案件が下期に無くても、厨房の伸びで埋められる幅です。

心配性なので、下振れの側も書いておきます。仕入割引の8,000万円近くは、来期以降も戻らないものとして数えます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

ニュース(決算短信)|株式会社マルゼン
ニュースの決算短信一覧をご紹介します。

仕入割引が減った理由と、下期を減益と見込む理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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