はじめに
光世証券は、大阪に本社を置く独立系の証券会社です。大手グループの看板がないので、系列の商品を優先して売る義理がありません。収入は三つに分かれます。お客さんの注文を取り次ぐ手数料、会社が自分の勘定で株やデリバティブを売買して得る損益、ほかの証券会社に自社の基幹システムを貸して受け取る料金です。
比重が大きいのはふたつめです。株式売買高の内訳でも、取り次ぎの分は金額で全体の3割に届きません。この会社の決算は、お客さんが増えたかどうかより、株式市場が動いたかどうかで形が変わります。
前年に営業赤字だった半年が、黒字に変わりました
10月22日に出た中間決算です。4月から9月までの半年分で、連結ではなく会社単体の数字になります。
| 項目 | 当中間期 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 7億6,400万円 | 4億6,700万円 | +63.4% |
| 純営業収益 | 7億4,400万円 | 4億3,900万円 | +69.3% |
| 営業利益 | 1億9,800万円 | △4,800万円 | ― |
| 経常利益 | 3億1,300万円 | 5,000万円 | +519.4% |
| 中間純利益 | 2億6,400万円 | 4,100万円 | +536.2% |
純営業収益は、営業収益から金融費用を引いたものです。前年同期は4,800万円の営業赤字でしたから、ここが黒字に変わったのは素直に良い話です。
経常利益の3分の1は、営業外収益の1行から来ています
引っかかったのは、営業利益と経常利益の差です。差は1億1,500万円あります。経常利益3億1,300万円の3分の1を超える分が、営業利益より下で足されている形になります。
損益計算書を見ると、営業外収益が1億2,900万円、営業外費用が1,300万円でした。前年同期は営業外収益が9,900万円、営業外費用はゼロです。つまり前年は、この1億円近い営業外収益がなければ経常段階でも赤字だったことになります。
では営業外収益1億2,900万円の中身は何か。決算短信には、その内訳は書かれていません。
手がかりは、キャッシュ・フロー計算書のほうにありました。受取利息及び受取配当金が1億1,400万円と載っています。前年同期は6,600万円でした。貸借対照表の固定資産には投資有価証券が60億800万円あります。自社で長く持っている株から入ってくる配当が、営業外収益の大半だと私は読みました。
営業外費用の1,300万円も同じ場所で見当が付きます。「投資事業組合運用損益」が1,300万円の損として調整されていて、前年同期は1,100万円の益でした。ファンドへの出資分の損益が、年によって行き来しているわけです。
純資産の増え方の8割は、持っている株の評価替えでした
純資産は162億6,300万円から169億6,200万円へ動きました。増えた分は6億9,800万円です。このうち、その他有価証券評価差額金は11億900万円から16億6,000万円へ上がっています。増えた分は5億5,100万円です。5億5,100万円を6億9,800万円で割ると、増えた分の8割がここです。
会社も、純資産が増えた主な要因は評価差額金の増加だと書いています。半年で投資有価証券を買った支出は8,700万円だけですから、固定資産が8億4,300万円増えたのはほとんど値段の付け替えです。
自己資本比率は72.8%から72.2%へ、ほぼ横ばいでした。土台は厚い。ただ、その厚みの一部は、相場と一緒に動く性質のものです。
半年を2つに割ると、利益は前半に寄っています
短信の最後に、四半期ごとの数字を並べた参考資料が付いています。
| 項目 | 第1四半期 | 第2四半期 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 4億1,200万円 | 3億5,100万円 |
| トレーディング損益 | 2億6,100万円 | 2億2,600万円 |
| 営業利益 | 1億2,700万円 | 7,000万円 |
| 営業外収益 | 1億1,600万円 | 1,300万円 |
| 経常利益 | 2億4,200万円 | 7,100万円 |
経常利益が落ち込んだ理由の大半は、営業外収益が1億1,600万円から1,300万円に減ったことです。3月決算の会社の配当は6月以降に支払われます。第1四半期はその6月までですから、受取配当金がここに集まるのは自然です。私はこの落差を季節のものだと考えています。短信には、配当をいつ受け取ったかまでは書かれていません。
営業利益のほうも減っています。販売費・一般管理費は2億7,200万円と2億7,300万円でほぼ同じですから、減った分はトレーディング損益と手数料の側です。
減った現金の行き先は、自分の持ち高でした
営業活動によるキャッシュ・フローは17億200万円の流出でした。前年同期は36億9,400万円の流入です。手元の現金は39億6,500万円から20億6,600万円へ減りました。
証券会社のこの欄は、符号で稼ぎを測れません。前年同期の流入は、顧客からの預り金と受入保証金が38億2,800万円増えたことで作られていました。今回の流出の中身は、トレーディング商品が14億1,000万円、信用取引資産が10億6,200万円増えたことです。手元の現金を自分の持ち高に替えた動きになります。
その持ち高の大きさは、別の表に出ています。自己資本規制比率が875.5%から768.3%へ下がりました。分子の固定化されていない自己資本は101億4,500万円から108億9,400万円へ増えているのに、比率は落ちています。
分母のリスク相当額が11億5,800万円から14億1,700万円へ、2割強増えたからです。これは私の割り算です。うち市場リスク相当額が8億8,800万円から10億7,900万円へ増えていました。
会社の説明は、営業収益の中だけで組み立てられています
短信の4ページ目で、会社は増益の理由を自分の言葉で書いています。株式市場が活発だったこと。お客さんの売買が増えて、受入手数料が1億5,300万円、前年同期の1.367倍になったこと。
自己売買部門ではディーリングが好調で、トレーディング損益が4億8,800万円、前年同期の2.277倍になったこと。金融収益とその他の営業収益は減っていること。販売費・一般管理費は5億4,600万円に増えたこと。
細かく書いてあります。ただ、並んでいるのは全部、営業収益と販管費の中身です。段落の終わりで、経常損益は3億1,300万円の利益で前年同期の6.2倍、とだけ続きます。……いや、一段抜けている。営業利益から経常利益まで1億円以上増える理由が、説明文の中を通っていません。
業績予想も配当予想も、出ていません
この会社は通期の業績予想を出していません。金融商品取引業の業績は経済情勢や市場環境の変動を大きく受けるため、適正に予想して開示することが極めて困難だという説明が短信にあります。配当予想も同じ理由で未定です。前期は期末10円でした。
ですから進捗率は作れません。
代わりに、会社は参考資料で前期1年分の半分と比べた数字を載せています。
| 項目 | 当中間期 | 前期の半分と比べて |
|---|---|---|
| 受入手数料 | 1億5,300万円 | 115.6% |
| トレーディング損益 | 4億8,800万円 | 164.4% |
トレーディング損益は、前期1年分が5億9,300万円でした。半年で4億8,800万円ですから、1年分の8割を超えています。残りの半年は、株式市場の動き方次第です。
私はどう読んだか
本業の回復は本物だと考えています。理由は、前年に4,800万円の営業赤字だった半年が、営業黒字に変わったからです。その中身は手数料とトレーディング損益の増加で、販管費の削減ではありません。
一方で、経常利益が前年同期の6.2倍になったという数字は、会社の稼ぐ力の倍率としては読んでいません。理由は、経常利益3億1,300万円のうち1億1,500万円が、営業利益より下の段で足された分だからです。その出どころの内訳は、決算短信には書かれていません。配当収入だとすれば、対面営業やディーリングの成績とは別の話になります。
心配性なので、自己資本規制比率が下がったことは頭に置いておきます。規制の線からは遠いところにありますが、下がった理由が自分の持ち高を増やしたことだとすると、次の半年は市場が動いた分が損益にも資本にもそのまま乗ってきます。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.kosei.co.jp/documents/2027q2.pdf
営業外収益1億2,900万円の内訳は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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