アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(6085)2027年2月期 中間決算分析――黒字予想が腑に落ちない

アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(6085)2027年2月期 中間決算分析――黒字予想が腑に落ちない 日本株

建築家と、町の工務店をつなぐ会社です

注文住宅を建てたい人の多くは、建築家に頼みたくても知り合いがいません。地方の工務店も、建てる腕はあっても、設計の提案では大手に押されがちです。この会社は、その間に立っています。

登録した建築家と、加盟した工務店を全国でつなぎ、施主が建築家と出会う展示会や相談会を開いています。加盟した工務店は「スタジオ」と呼ばれます。スタジオからは、ロイヤリティを受け取ります。家を建てるのは工務店です。会社が売っているのは、出会いの場と、そのための仕組みです。

最近は、ここに別の事業を足しています。有機物を処理する装置の紹介、コルゲートと呼ぶ建設費を抑えた建物の提案、カナダのAI会社を軸にした海外の事業です。住宅の会社から3本柱の会社へ、組み替えている途中の決算です。

前の年とは並べられない中間決算です

10月16日に出た、2027年2月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高1億9,600万円4億1,400万円—
営業利益△3億1,800万円△2億7,700万円—
経常利益△3億2,100万円△2億7,200万円—
純利益△3億2,300万円△2億5,100万円—

増減率が空いているのは、会社が前の期に決算の締め日を3月末から2月末へ移したからです。前の期は11か月しかありませんでした。今回の3月から8月と、前年の4月から9月とでは、月がずれています。短信は前年と比べていないので、私も増えた減ったの話はしません。

言えるのは、半年の売上より営業赤字のほうが大きいことです。

手元の現金は、3,308万円まで減っています

キャッシュ・フロー計算書から入ります。半年で営業活動から出ていったお金は2億2,211万円です。会社は短期の借り入れを1億7,500万円増やして、この穴を埋めました。それでも現金は減っています。

前の期末(2月末)今回(8月末)
現金及び預金8,955万円3,308万円
短期借入金2億2,700万円4億200万円
純資産△2億2,318万円△5億4,702万円

純資産はマイナスです。負債が資産を上回る、債務超過の状態にあります。短信の6ページ目で、会社自身が「継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます」と書いています。事業を続けられるかに重大な疑問がある、と会社が認めているという意味です。

……半年で出ていった2億2,211万円の、7分の1ほどしか手元に残っていない。

計算書の中には、出ていくはずのお金が出ていない箇所もあります。損益計算書の支払利息は1,832万円です。一方、キャッシュ・フロー計算書で実際に払った利息は219万円でした。営業活動の小計で、出ていく額を小さくしている「その他」の6,000万円も、短信には中身の説明がありません。

休眠していたカナダの会社を、5,188万円で買っています

事業ごとの表を見ると、赤字がどこから出ているのかが分かります。

売上高事業の損益
建築家提案事業1億7,740万円△164万円
環境関連事業1,711万円△7,081万円
海外・IT事業171万円△1億4,122万円
どの事業にも配らない全社の費用—△1億453万円

本業の建築家提案事業は、ほぼ収支が合うところまで来ています。この決算で、まともと言える数字はここです。赤字のいちばん大きな出どころは海外・IT事業で、売上171万円に対して1億4,122万円の損失を出しています。

この事業の軸が、3月に買ったトロントのPERMITS AIです。13ページ目の注記によると、取得価額は32万5,000ドル、円にして5,188万円です。同じ注記には「同社は休眠状態にあり、事業活動を行ってこなかったため、売上高や損益の計上項目はありません」と書かれています。

取得価額の5,188万円は、8月末の現金3,308万円より大きい額です。買った理由として短信が挙げているのは、建築家向けの設計の仕組みを共同で作ることと、北米の拠点にすることです。反対に6月1日には、太陽光発電などの工事をしていた子会社ESJを、取引先に1円で売っています。

締め日のあとに、お金を集める手当てをしています

16ページ目の「重要な後発事象」には、8月末より後の動きが2つ書かれています。相手はどちらもEVO FUNDです。

1つ目は、9月29日に出した1億円の社債で、利率は0%です。2つ目は、10月14日に割り当てた新株予約権です。すべて行使されると、2,800万株の新しい株が出ます。発行済みの1億1,486万株の4分の1ほどにあたります。これは私の割り算です。

予約権の行使で入ったお金は、社債が残っているうちは、その返済にあてる見込みだと短信は書いています。すべて当初の条件で行使された場合の見込み額は、32億円あまりです。ただし短信自身が、行使が進まない場合もあると断っています。

会社は「受注の遅れ」と説明しています

4ページ目の説明文は、売上が予定に届かなかった理由を、建築家提案事業と環境関連事業での「受注の遅れが発生しており」としています。そのうえで「当期中に十分挽回できる数量であると判断しており」と書き、予想も達成できるとしています。

環境関連では、富士山の富士宮口五合目の来訪者施設で採用が決まったとあります。大手運送会社の荷さばき拠点などの商談も進んでいるそうです。一方で、上期の売上の内訳は、亜臨界水の装置ALINが530万円、コルゲートの建物が300万円でした。

商談が多いことは短信に書かれています。それがいつ、いくらの売上になるのかは、短信には書かれていません。「十分挽回できる」は、会社の判断として紹介するにとどめます。

下期の6か月で、売上11億3,600万円が要ります

通期の予想は、売上13億3,200万円、営業利益4,800万円の黒字です。4月17日に出した数字です。第1四半期が終わっても、上期が終わっても、変わっていません。

売上高営業利益
第1四半期(3〜5月)8,000万円△1億7,900万円
第2四半期(6〜8月)1億1,600万円△1億3,900万円
上期の累計1億9,600万円△3億1,800万円
下期に要る額11億3,600万円3億6,600万円

第2四半期と下期の行は、累計と通期予想から私が引いた数字です。

上期の売上は、通期予想の1割半ほどです。下期は、上期の6倍近い売上を立てる計算になります。しかも上期には、販売費と一般管理費に4億7,900万円かかっています。この費用を払いながら3億6,600万円の黒字を出す、という予想です。

私は、利益よりお金の話として受け取りました

私はこの決算を、黒字に届くかどうかより、手元のお金が続くかどうかの話だと考えています。理由は、下期の売上の見通しより、8月末の現金とその後の資金の手当てのほうが、短信に具体的に書かれているからです。

予想の据え置きを、私は会社の自信の表れとは取っていません。見直しの先送りだと決める材料も、短信の中には見つかりませんでした。それでも上期の数字を並べるかぎり、据え置きは楽観に立った判断だと私は見ています。

建築家提案事業が、ほぼ収支を合わせてきたのは事実です。次の短信でも、私はまずそこが崩れていないかを確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信
決算短信のページです。決算短信の一覧を掲載しています。

営業キャッシュ・フローの「その他」6,000万円の中身は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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