ゲンダイエージェンシー(2411)2027年3月期 中間決算分析――粗利が残ったことを重く見ました

ゲンダイエージェンシー(2411)2027年3月期 中間決算分析――粗利が残ったことを重く見ました 日本株

はじめに

パチンコホールの広告を手がける会社です。ホールが新台入れ替えやイベントでお客さんを呼びたいとき、新聞に挟む折り込みチラシ、スマートフォンに出すネット広告、店頭に置く販促物を作り、届けるところまで引き受けます。業界で名前の知られた人を店に呼ぶ来店企画も扱っています。

お客さんはホールの経営者です。最近はパチンコ以外にも広げていて、フィットネス施設、買取店、住宅の塗装やリフォームの会社が広告を頼んでいます。ほかに小さな不動産の事業があり、千葉県柏市に持っている土地を貸しています。

減収で、営業利益は3割減でした

10月16日に出た中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高36億4,500万円39億2,100万円△7.0%
営業利益2億6,600万円3億9,800万円△33.1%
経常利益2億6,700万円3億9,800万円△32.7%
純利益1億5,400万円2億6,100万円△41.2%

売上の落ち方に比べて、利益の落ち方が大きい決算です。

折込広告が6割に縮んでも、粗利はほぼ同じでした

短信の最後のページに、広告の売上を種類ごとに分けた表があります。

種類今回前年同期比
インターネット17億7,000万円107.3%
折込広告5億7,200万円61.0%
販促物4億5,700万円105.0%
クリエイティブ2億9,300万円93.1%
媒体8,100万円93.2%
その他4億3,000万円101.5%

折込広告が前年の6割まで縮みました。5億7,200万円を0.61で割り戻すと、前年はおよそ9億3,800万円あったことになります。これは私の割り算です。今回の5億7,200万円と比べると、チラシだけで3億円台の売上が消えています。

引っかかったのは損益計算書のほうです。売上高は39億2,100万円から36億4,500万円へ減りました。減った額は2億7,600万円です。ところが売上総利益は13億8,500万円から13億8,400万円へ。減ったのは100万円です。

……売上が3億円近く消えて、粗利が動いていない。

ここまでは損益計算書の数字です。会社は折込広告を「取扱高の大きい」ものと説明しています。チラシは印刷代と配布代が売上に乗るぶん金額が大きく、手元に残る割合は小さくなります。消えたのは、もともと利益の薄い売上だったと私は受け取りました。

利益を削ったのは、粗利の下の経費でした

粗利が同じなら、減益の原因はその下にあります。販売費及び一般管理費が9億8,700万円から11億1,800万円へ増えていました。増えた額は1億3,100万円です。

このうち6,100万円は中身が分かります。事務所を借りるときの「出るときに元に戻す費用」の見積りを引き上げ、その差を減価償却費として一度に計上しています。注記にそう書いてあり、キャッシュ・フロー計算書でも減価償却費が2,500万円から9,000万円へ跳ねています。お金が出ていかない費用です。

この6,100万円を足し戻すと、営業利益は3億2,700万円です。それでも前年の3億9,800万円には届きません。6,100万円を除いても、販管費の増加にはまだ7,000万円が残ります。この7,000万円が何の経費の増加なのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

現金の減り方は、行き先を追えば落ち着いています

現金及び現金同等物は半年で6億2,200万円減り、25億9,700万円になりました。数字だけ見ると大きな減り方です。

キャッシュ・フロー計算書を追うと、5億円は有価証券を買ったもので、形を変えて手元に残っています。自社株の買い入れに1億9,300万円、前期末の配当に1億3,200万円。どちらも株主に返した分です。

営業キャッシュ・フローは2億8,900万円から2億1,600万円へ減りました。法人税等の支払いが5,900万円から1億9,700万円に増えたのが効いています。前期によく稼いだ分の税金を、今期に払ったわけです。

一つだけ、預り敷金及び保証金が7,800万円増えていました。何の預かりなのかは短信からは分かりません。

会社はどう説明しているか

減益の理由として会社が挙げているのは3つです。紙の広告の減り方が「期初の想定を大きく上回って」進んだこと。住宅関連の広告主が、ナフサ不足で塗料の調達が不安定になり、出稿を控えたこと。そして先ほどの6,100万円です。

下期については、不動産事業の大型案件の獲得、年末商戦の広告需要、高い値を付けられるネット広告の拡販で、通期計画を目指すとしています。4月17日に出した予想は変えていません。

説明そのものは数字と合っていて、そのまま受け取れます。引っかかるのは予想の扱いです。4月の予想を作ったときの前提、つまりチラシの減り方は、会社自身の言葉で外れています。それでも数字を変えず、足りない分は、まだ「獲得」をめざしている段階の案件で埋めるとしています。不動産事業の上期の売上は3,800万円でした。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想上期の実績残り6か月に要る額前年の下期
売上高80億円36億4,500万円43億5,500万円約36億1,400万円
営業利益8億円2億6,600万円5億3,400万円約2億7,700万円

約の付いた数字は、表紙にある通期予想の増減率から前期の通期を割り戻し、前年の上期を引いたものです。

売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は3分の1です。通期の8億円から上期の2億6,600万円を引くと、下期に要る額が出ます。その5億3,400万円を、下期の半年で稼ぐ必要があります。前年の下期の倍近くです。上期のうち7月から9月だけを取り出すため、2億6,600万円から第1四半期の1億3,700万円を引きます。残る7月から9月の営業利益は1億2,900万円でした。下期は3か月ごとに、この足取りの倍を続けることになります。

私はどう読んだか

減益の決算ですが、私はこれを「紙が減っても粗利が残る形に入れ替わりつつある」決算だと考えています。理由は、3億円近い売上が消えた半年で、売上総利益が100万円しか減っていないからです。ネット広告と販促物は前年を上回っていて、粗利の割合はむしろ上がっています。

一方で、心配性なので悪いほうも書いておきます。通期の8億円は、上期の足取りから見るとかなり重い数字です。それを支える柱が、まだ取れていない不動産の案件です。上がるかは知りません。下期の短信で、不動産の売上が本当に立ったかどうかを確かめます。

出典

出典:決算短信(会社発表)

電子公告|IR・投資家情報|ゲンダイエージェンシー株式会社|GENDAI AGENCY INC.
電子公告|IR・投資家情報|

販管費のうち一度きりの6,100万円を除いた7,000万円の増加が何の経費なのか、下期に見込む不動産の大型案件がどんな案件なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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