エスネットワークス(5867)中間決算分析――営業利益2.6倍のうち、半分強は持っていた株を売った利益だった

エスネットワークス(5867)中間決算分析――営業利益2.6倍のうち、半分強は持っていた株を売った利益だった 決算を読む

はじめに

エスネットワークスは、CFO──お金まわりの責任者──を企業に送り込む会社です。会社を経営していると、事業の再編、赤字子会社の切り離し、海外進出、そういう場面で「数字を組み立てて実行まで持っていける人」が急に必要になります。ただ、そういう人は採用してもなかなか来ません。そこに実務ごと人を貸すのがこの会社の本業です。もうひとつ、支援先への投資もやっています。人を貸すだけでなく、お金も入れる。この二本目の柱が、今回の決算の主役になりました。

8月7日に出た、2026年12月期の中間決算です。この会社の短信を読むのは今回が初めてです。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高2,3871,622+47.1%
営業利益500188+164.8%
経常利益491230+113.3%
純利益280138+101.8%

(単位:百万円)

売上が5割近く増えて、営業利益は前年の2.6倍。1ページ目だけ見れば、文句のつけようがない表です。ただ、営業利益の伸びに対して経常利益の伸びが目に見えて小さい。ここに引っかかって、後ろのページに進みました。

最初の表では分からなかったこと

営業利益500,326千円のうち、268,289千円は投資事業だった

これがこの決算の核心の数字です。10ページ目のセグメント情報を見ると、営業利益500,326千円の内訳は、本業のコンサルティング事業が272,645千円、投資事業が268,289千円。ほぼ半々です。投資事業の中身は、会社の説明文によれば「営業投資有価証券の譲渡及び配当の受領」。持っていた株を売った利益と、受け取った配当です。前年の同じ時期、投資事業の売上はゼロでした。

コンサルティング事業そのものは、売上が前年同期比で2割近く増え、営業利益は4割増。本業も伸びています。ただ「営業利益2.6倍」という見た目の大部分を作ったのは、本業ではないほうです。

稼ぐ場所が、営業外から営業内へ引っ越している

経常利益の伸びが営業利益より小さい理由も、後ろのページにありました。前年の同じ時期には、営業外収益に投資事業組合運用益が41,116千円ありました。今期は410千円。ほぼ100分の1です。かわりに今期は、投資の利益が「投資事業」というセグメントとして営業利益の中に立っています。

……つまり、去年も投資では稼いでいた。載る場所が変わっただけの部分がある。

営業利益どうしを前年と比べると2.6倍ですが、投資の利益が去年は下の段、今年は上の段にいることを踏まえると、その倍率をそのまま受け取るのは危ない、というのが私の読み方です。読み違いかもしれませんが、経常利益の伸び方のほうが、この会社の実勢に近いように見えます。

物流会社を買った。のれんが増え、初月から損失が乗っている

2026年4月に株式会社サンワロジという会社を買収し、物流事業に参入しています。これによるのれんの増加は209,585千円。買収前ののれんが53,651千円でしたから、桁が変わりました。この物流を含む「その他」事業は、売上63,464千円に対して営業損失40,608千円。会社は損失の主因を買収時のアドバイザリー費用と説明しています。一時費用だという説明ですが、費用が消えたあとにこの事業がどれだけ稼ぐのかは、決算短信からは読み取れませんでした。

ファンドを連結に入れたので、純資産の増え方には他人の持分が混ざっている

今期から連結の範囲に、任意組合のファンド2つとサンワロジが加わりました。純資産は406,126千円増えていますが、そのうち232,294千円は非支配株主持分の増加、つまり連結に取り込んだファンドの、当社株主のものではない部分です。自己資本比率が65.1%から56.4%へ下がったのも、この構造の変化と借入の増加が効いています。

キャッシュ・フロー計算書は、この中間短信には載っていない

私はいつもキャッシュ・フロー計算書から読む人間ですが、この中間短信には載っていませんでした。現金の出入りの全体は追えません。貸借対照表と会社の説明文から分かるのは、現金及び預金が84,303千円増えたこと、営業投資有価証券が321,234千円増えたこと、長期借入金が増えたことまでです。株を売った期なのに、営業投資有価証券の残高はむしろ大きく積み増されている。売りながら、それ以上に買っている、ということになります。

配当は「未定」

前期は期末に50円の配当を出しています。今期については、配当を予定しているが金額は未定、と短信にあります。なぜ未定なのかは、決算短信には書かれていません。

会社はどう説明しているか

コンサルティング事業については、CFO領域の実行支援ニーズが高まっており、コンサルタントの採用と専門性強化を進めた、という説明です。これはそのまま受け取ります。売上と利益が両方伸びていて、説明と数字が合っています。

投資事業については「営業投資有価証券の譲渡及び配当の受領により」という一文だけです。何を売ったのか、この譲渡が繰り返し起きる種類のものなのかは、決算短信には書かれていません。ここは留保をつけて読みます。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は今回修正されています。詳細は同日の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を参照とありますが、その書類は今回読んでいません。

項目進捗率
売上高54.2%
営業利益76.9%
経常利益79.2%
純利益69.1%

半年で営業利益の8割近くまで来ています。通期の営業利益予想は650百万円です。ここから上期の500百万円を引くと、下期に残るのは150百万円──これは私が引き算した数字です。会社自身が、下期は上期の3分の1以下しか見ていないことになります。投資の譲渡益が下期に同じ規模で出るとは、会社も置いていない。この予想の形が、上期の利益の性格をいちばん正直に語っているように思います。

私はどう読んだか

私は慎重なほうに寄せて読んでいます。理由は、営業利益の伸びの半分強が有価証券の譲渡と配当であること、そして会社の下期計画そのものが、それを繰り返さない前提で組まれていることです。一方で、コンサルティング事業単体の4割増益は投資と関係のない数字で、こちらは素直に良い。「本業は着実、見出しの倍率は今回限り」という読み方です。読み違えかもしれません。営業投資有価証券を大きく積み増しているので、譲渡益が今後も続けて出る設計なのだとしたら、話は変わってきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260807514185.pdf

投資事業の売上419,075千円が、一度きりのものなのか、これから繰り返し出る種類のものなのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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