屋根の太陽光から、送電網の電池へ
ウエストホールディングスは、太陽光発電所を作る会社です。工場や倉庫の屋根にパネルを載せ、作った電気をその建物で使う設備を、持ち主から請け負って建てます。電気代を抑えたい会社や、取引先から脱炭素を求められている部品メーカーが、主なお客さんです。
自分で土地を探して発電所を開発し、完成したものを売る仕事もあります。売ったあとの保守や、発電所から集めた電気の販売も手がけています。
ここ2年で急に大きくなったのが、系統用蓄電所です。送電網につないだ大型の電池の設備で、晴れた昼に余った電気を貯め、足りない時間に送り出します。天気で出力が揺れる太陽光を、送電網の側で受け止めるための設備です。これを開発して、売っています。
利益が5割増えた1年
2026年10月15日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 今回 | 前の期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 566億4,900万円 | 472億5,000万円 | +19.9% |
| 営業利益 | 129億9,200万円 | 86億4,600万円 | +50.3% |
| 経常利益 | 114億3,500万円 | 79億6,100万円 | +43.6% |
| 純利益 | 80億4,000万円 | 53億5,700万円 | +50.1% |
売上は2割増え、利益はどれも5割前後増えています。表紙だけなら、文句の付けようがありません。
蓄電所の伸びが、太陽光の落ち込みを埋めて余った
事業ごとの数字は、添付資料15〜16ページのセグメント情報にあります。
| 事業 | 売上 前の期 | 売上 今回 | 利益 前の期 | 利益 今回 |
|---|---|---|---|---|
| 再生可能エネルギー | 328億7,600万円 | 247億5,600万円 | 45億4,600万円 | 21億6,500万円 |
| 蓄電所 | 57億1,100万円 | 217億2,800万円 | 14億9,800万円 | 84億1,900万円 |
| 電力 | 61億6,100万円 | 74億4,300万円 | 15億7,900万円 | 16億2,300万円 |
省エネルギーとメンテナンスは、どちらも利益を減らしています。
蓄電所の利益は84億1,900万円です。各事業の利益の合計127億3,200万円で割ると、約3分の2がここから出ています(私の割り算です)。太陽光の側では、自分で開発して売る発電所の売上が174億200万円から96億3,700万円へ、半分強まで減りました。
伸びた事業と縮んだ事業が、1年で入れ替わっています。もう、太陽光の工事会社とは呼べない中身になっています。
増えた営業キャッシュ・フローの半分以上は、税金の払いが減った分
営業キャッシュ・フローは、32億6,300万円から72億3,400万円へ倍以上になりました。利益の伸びより速いので、どの行から来たのかを確かめました。
| キャッシュ・フロー計算書の行 | 前の期 | 今回 |
|---|---|---|
| 小計 | 83億2,700万円 | 103億7,500万円 |
| 法人税等の支払額 | △41億2,400万円 | △19億200万円 |
| 過年度法人税等の支払額 | △1億7,300万円 | ― |
| 営業キャッシュ・フロー | 32億6,300万円 | 72億3,400万円 |
前の期の税金の払いは、41億2,400万円と1億7,300万円の合計でした。今回は、それが19億200万円へ減りました。差は23億9,500万円です。営業キャッシュ・フロー全体の増加は、39億7,100万円です。72億3,400万円から32億6,300万円を引いて出しました。税金の払いが減った23億9,500万円は、その半分を超えます。
利益は5割増えたのに、払った税金は半分以下に減っている。……順番が逆だ。
貸借対照表を見ると、未払法人税等が9億2,300万円から23億600万円へ増えています。今期の利益にかかる税金の多くは、まだ払っていません。この未払いは、ふつう翌期のうちに出ていきます。税金の払いが減ったのは時期のずれで、稼ぐ力が増えたわけではない、と私は受け取りました。
1年の営業利益の3分の2近くが、最後の3か月に
7月15日に出た第3四半期決算では、9か月累計の営業利益は46億1,400万円でした。通期の129億9,200万円から引くと、6月から8月の3か月だけで83億7,800万円です。売上は、通期の566億4,900万円から9か月累計の293億3,900万円を引きます。残る273億1,000万円が、最後の3か月に出ています。
年度末に引渡しが集まると、代金の回収は翌期にずれます。工事の売掛金にあたる完成工事未収入金は、245億4,300万円から312億5,100万円へ増えました。増えた額は67億円ほどです。キャッシュ・フロー計算書でも、売上債権の増加66億300万円がいちばん大きなマイナスです。最後の3か月の売上と、まだ入っていない代金の動きは、辻褄が合っています。
会社はどう説明しているか
太陽光の発電所を開発して売る仕事について、会社は短信の4ページ目にこう書いています。2026年4月から電気を送り始める案件が多く、第3四半期までの引渡しは計画を下回った。そのため第4四半期に引渡しを急いだ。それでも期初の計画には届かず、一部の案件では採算も落ちた。地上に置く大規模な太陽光発電所は、新しい開発をしない方針だそうです。
最後の3か月に利益が集まった理由として、この説明はそのまま受け取ります。売掛金の増え方と食い違いがないからです。
引っかかったのは蓄電所のほうです。会社は送電網への接続を1,600件を超えて申請しています。ところが2026年8月1日から、1つの事業者が接続の検討を頼める数に上限が設けられました。これには、すでに申請した案件を精査して事業化を進める、と書いています。上限によってどれだけの案件が残るのかは、決算短信には書かれていません。
来期の予想
通期決算なので、今期の数字はこれで確定です。表紙には来期の予想が載っています。
| 今回 | 来期の予想 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 566億4,900万円 | 704億1,200万円 | +24.3% |
| 営業利益 | 129億9,200万円 | 156億円 | +20.1% |
| 純利益 | 80億4,000万円 | 93億7,900万円 | +16.6% |
配当は、今期の65円から70円に増えました。来期も70円の予定です。来期の予想を事業ごとに分けた数字は、決算短信には書かれていません。表紙には、決算補足説明資料の作成は「無」、アナリスト向けの決算説明会は「有」とあります。説明会で内訳が話されたかどうかは、私には分かりません。
私はどう読んだか
今期の利益には中身がある、という見方をしています。理由は、最後の3か月に引渡しが集まったという会社の説明と、売掛金が増えたことが一致しているからです。数字を後から作った決算には見えません。
一方で、営業キャッシュ・フローの伸びは割り引いて考えます。半分以上は税金を払う時期のずれで、来期にはその23億600万円が出ていきます。短期借入金も239億6,300万円から338億3,100万円に増えました。支払利息は10億9,000万円から14億9,400万円になっています。
来期の2割増益は、蓄電所が今期と同じ勢いで売れることが前提になっている、と私は考えています。その蓄電所に、8月から上限がかかりました。心配性なので、こちらを先に気にしています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
接続検討数の上限によって、1,600件を超える蓄電所の申請のうちどれだけが検討を続けられるのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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