はじめに
ビルの入口に立つ警備員、夜の事務所で鳴るセンサー、お店の売上金を集めに来る車。セントラル警備保障は、そのどれも請け負っている会社です。柱は2つあります。1つは、建物に人を常駐させる警備です。もう1つは、センサーやカメラで建物を見張り、異常があれば人が駆けつける機械警備です。
ほかにも、売上金を集めて数える仕事や、防犯カメラ、入退室の仕組みの据え付けもしています。入退室の仕組みは、鉄道のICカードで扉が開くものです。鉄道との縁が深く、今回の短信にも、駅前の再開発でできた街区で警備を始めた話が出てきます。お客さんは、建物の持ち主や、駅や沿線の人が集まる場所を管理する側です。
営業利益までは増えて、純利益だけが4割減りました
2026年10月9日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 405億8,600万円 | 387億4,100万円 | +4.8% |
| 営業利益 | 27億8,700万円 | 25億3,300万円 | +10.0% |
| 経常利益 | 28億6,700万円 | 26億2,800万円 | +9.1% |
| 純利益 | 9億8,600万円 | 16億9,800万円 | -41.9% |
経常利益まではきれいに増えています。純利益だけが逆を向いているので、差は経常利益より下で生まれています。
純利益を削ったのは、訴訟と契約の解約です
理由は、短信4ページ目の説明文に書いてあります。経常利益の下に、次の3つが並んでいます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 特別利益:受取保険金 | 4億円 |
| 特別損失:訴訟関連損失 | 9億4,800万円 |
| 特別損失:契約解約損 | 4億6,421万円 |
どんな訴訟なのか、どの契約を解約したのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれません。ただ、私はまだ開いていません。
訴訟のお金は、上期のうちに払われていました
引っかかったのは、10ページ目のキャッシュ・フロー計算書です。営業活動の欄の下のほうに、ふだんは無い行が2つあります。「訴訟関連損失の支払額」が10億4,000万円、「訴訟に係る保険金の受取額」が4億円です。
特別利益の受取保険金4億円は、訴訟の保険金だったことがここで分かります。支払いの10億4,000万円から、受け取った保険金の4億円を引きます。残りは6億4,000万円です。それだけの現金が、訴訟のために上期のうちに出ていったことになります。損失を計上しただけで、支払いはこれから、という形ではありません。
……いや、払った額のほうが大きい。損失は9億4,800万円なのに、支払いは10億4,000万円です。支払いの10億4,000万円から、損失の9億4,800万円を引きます。差は9,200万円です。損失として計上した額より、それだけ多く現金が出ています。前の期に一部を負債として積んでいたなら合う数字ですが、そう読める記述は短信には見当たりませんでした。
訴訟のお金の出入りが上期で済んだのか、まだ続くのかは分かりません。それでも、少なくとも上期の分は、損失の計上も現金の支払いも済んでいます。
現金は、訴訟の支払いを吸収して入ってきています
営業活動のキャッシュ・フローは42億5,615万円の収入で、前年同期の46億2,146万円より少し減りました。訴訟で出た6億4,000万円を含んだうえでの数字です。
支えたのは売掛金の回収です。売上債権の減少で21億3,117万円が現金に戻っています。貸借対照表では、前期末に積み上がっていた受取手形や電子記録債権が、この半年でほとんど現金に変わっています。前期末に多く残っていた理由は短信には書かれていないので、毎年この形になるとは見ていません。
契約解約損と、減った敷金
もう1つ、つながりそうでつながらないものがあります。契約解約損4億6,421万円は、キャッシュ・フロー計算書では現金の出ていない費用として足し戻されています。支払いの行は見当たりません。
一方で、貸借対照表の敷金及び保証金は、22億9,195万円から14億6,051万円になっています。減った額は8億3,144万円です。敷金が戻ってきたなら投資活動の欄に入金の行が出るはずですが、それらしい行はありません。2つが同じ話なのか確かめようとしましたが、短信からは読み取れませんでした。
会社はどう説明しているか
増収の理由は、具体的に書かれています。駅前の街区での常駐警備が新しく始まったこと、前年に始めた別の街区が通年で効いたこと、前年に買った警備会社が機械警備に加わったこと。工事・機器販売では、カメラとICカード式の入退室の仕組みが伸びています。部門ごとの売上もそれと合っているので、この説明はそのまま受け取ります。
ただ、利益の増え方には偏りがあります。営業利益の増加2億5,400万円のうち、1億200万円はビル管理・不動産事業です。売上では全体の3%に満たない事業が、増益の4割を出しています。本業の警備は1億5,000万円の増益で、伸び率は6%ほどです。
会社自身が心配しているのは人です。説明文によれば、人手不足が深まり、人を確保して辞めさせないための処遇改善で人件費が増えています。外注費も上がっています。収益の面では厳しい環境が続く、と書いています。
下期は、前年より4割以上少ない営業利益の置き方です
通期予想は、この決算と同じ10月9日に修正されています。上がったのか下がったのかは、短信の中では分かりません。説明は別の「業績予想の修正に関するお知らせ」に回されていて、私はそれを読んでいません。
修正後の予想から、下期の姿を引き算で出しました。上期の営業利益27億8,700万円を通期予想の39億円で割ると、7割を超えています。
| 下期(9月から2月) | 前期の下期 | 今期の下期(会社予想から) |
|---|---|---|
| 売上高 | 約400億円 | 394億1,400万円 |
| 営業利益 | 約19億6,500万円 | 11億1,300万円 |
約の付いた数字は、表紙の通期予想の増減率(売上+1.6%、営業利益-13.3%)から、前期の通期の実績を割り戻して出しました。そこから前年上期の実績を引いたものです。今期の下期は、通期予想から上期の実績を引いた額です。
前年の下期に約19億6,500万円あった営業利益を、会社は11億1,300万円と見込んでいます。4割以上の減益です。売上も前年の下期を下回る見込みで、6月に神戸の警備会社が子会社に加わったことを考えると、これも控えめな数字です。
私はどう読んだか
上期は本当に良い決算でした。ただ会社は、下期に費用が重くなると見込んでいる、と私は考えています。理由は、上期の実績を手にした日に予想を直していながら、下期を前年より大きく減らしているからです。様子見で控えめにした数字なら、修正のタイミングで上期の勢いをもう少し映すはずです。
何が重くなるのかは、短信の説明文の中では人件費と外注費しか候補が出てきません。訴訟は、上期のうちに保険金と一緒にお金の出入りまで済んでいます。私が引っかかっているのは、訴訟ではなく下期の置き方です。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
下期の営業利益を前年より大きく減らして置いた理由と、解約した契約が何だったのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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