SBI新生銀行(8303)2027年3月期 中間決算分析――横ばいの純利益は、税の反動と読みました

SBI新生銀行(8303)2027年3月期 中間決算分析――横ばいの純利益は、税の反動と読みました 日本株

預金を集めて貸し、余りを債券で運ぶ銀行

SBI新生銀行は、SBIグループの傘下にある銀行です。もとは長期信用銀行でした。個人からは預金を集めて住宅ローンを貸し、企業には不動産やM&Aの資金を組み立てて貸しています。

グループの中には、無担保のカードローンの会社と、分割払いやクレジットカードを扱う会社があります。

最近は、グループの方針で地方銀行に出資しています。その動きが、今回の短信の注記に出ていました。

経常利益は5割近く増え、純利益は横ばい

2026年11月2日に発表された中間決算です。銀行なので、表の一番上は売上高ではなく、利息や手数料を合わせた「経常収益」です。

項目今回前年同期増減率
経常収益4,520億7,500万円3,642億1,500万円+24.1%
経常利益921億8,200万円624億3,900万円+47.6%
純利益690億9,600万円693億6,600万円△0.4%

経常利益は5割近く増えたのに、純利益は前年同期とほぼ同じです。私はここに引っかかりました。

いつもならキャッシュ・フロー計算書を開くところです。ただ、この短信の添付資料には、中間期のキャッシュ・フロー計算書が載っていませんでした。そこで損益計算書を最後の行までたどりました。

純利益を止めたのは、前年の税金でした

項目前年同期今回
税金等調整前中間純利益616億9,300万円929億4,500万円
法人税、住民税及び事業税76億1,500万円222億2,900万円
法人税等調整額△152億8,400万円14億6,300万円
法人税等合計△76億6,900万円236億9,200万円
親会社株主に帰属する中間純利益693億6,600万円690億9,600万円

前年同期の法人税等合計は、マイナスです。税金の行が、利益を77億円近く押し上げていました。理由は、法人税等調整額が大きなマイナスで出たからです。

今回は税金が普通にかかっています。純利益が横ばいに見えるのは、前年の数字が税金でかさ上げされていた反動です。

前年の調整額がなぜあれほど大きかったのかは、今回の短信には書かれていません。

経常利益の伸びは、債券の利息が大きい

経常利益の伸びはどこから来たのか。まず利息の出入りを並べます。

項目前年同期今回
貸出金利息1,170億5,300万円1,441億2,100万円
有価証券利息配当金347億2,800万円729億2,500万円
預金利息(払った側)476億2,200万円601億9,800万円
資金利益644億5,400万円1,022億2,800万円

払う利息より受け取る利息のほうが増えて、資金利益は377億円増えています。

いちばん大きく増えたのは、有価証券の利息配当金で、前年の2倍を超えました。貸借対照表では、有価証券が3月末の4兆55億300万円から、9月末の5兆408億6,700万円へ増えています。半年で1兆円あまり債券を積み増し、その利息を受け取った形です。

事業ごとの利益も、同じことを示しています。

セグメント利益前年同期今回
法人営業111億5,300万円223億3,200万円
リテールバンキング29億3,400万円129億4,600万円
証券投資32億4,200万円242億9,900万円
プリンシパルトランザクションズ152億5,800万円△5億2,900万円
新生フィナンシャル70億8,100万円47億9,300万円
合計(ほかの事業を含む)620億3,200万円893億4,800万円

最も伸びたのは証券投資です。ただ、法人営業とリテールバンキングも大きく増えています。預金と貸出という銀行の本体でも、利ざやが広がっていることになります。

債券を増やした分の負担もあります。その他有価証券評価差額金のマイナスは、3月末の151億7,000万円から347億9,400万円へ広がりました。利息は損益計算書に入りますが、値下がりは純資産の側に入ります。

兄弟会社から買った地銀株で、84億9,000万円の利益

注記の企業結合の節に、もう一つ利益の出どころがありました。6月30日に、島根銀行と福島銀行の株を取得しています。売り手はSBI地銀ホールディングスです。親会社の子会社なので、この銀行から見ると兄弟会社にあたります。

銀行取得後の議決権比率取得原価負ののれん相当額
島根銀行20.90%8億6,300万円26億3,300万円
福島銀行34.19%41億4,400万円58億5,700万円

2行の取得原価は、合わせて約50億円です。両行の純資産のうち、この銀行の持ち分にあたる額は、取得原価より多くなっていました。その差額の84億9,000万円を、持分法による投資利益として計上しています。……払った額より、利益のほうが大きい。

短信は、会計の上では「共通支配下の取引」として扱った、と書いています。毎期くり返し出る種類の利益ではありません。

では、この分を除いても経常利益は伸びているのか。今回の経常利益は921億8,200万円です。ここから84億9,000万円を引くと、836億9,200万円になります。前年同期にも、別の会社の株を買い増したときの負ののれん37億3,800万円が入っていました。624億3,900万円からこれを引くと、587億100万円です。

836億9,200万円を587億100万円と比べると、約4割の増加です。一時的な利益を除いても、伸びの大半は残ります。

島根銀行については、10月16日に、議決権の無い優先株式を100億円分引き受ける契約も結んでいます。払込は12月25日の予定です。

会社の説明は、地銀株を取得した目的だけ

業績が伸びた理由を会社が自分の言葉で書いた文章は、この短信には入っていません。表紙には決算補足説明資料を作ると書いてあります。理由はそちらにあるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

書いてあるのは、地銀株を取得した目的です。SBIグループの「第4のメガバンク構想」の中で、地域をまたいで地方銀行と組む中核の銀行になるためです。あわせて両行の収益力を高める、としています。

目的はその通りに受け取り、利益のほうは一度きりのものとして分けて考えています。

通期予想は税引前の1行だけ、下期は前年を下回る前提

通期の予想として出ているのは、税金等調整前当期純利益の1,320億円だけです。経常収益、経常利益、純利益の予想は出ていません。予想の修正もありませんでした。

中間期だけで、通期予想の7割ほどに達しています。半年たった時点の目安は5割です。

税金等調整前純利益上期下期通期
前年度 実績616億9,300万円約604億円1,221億円
今年度929億4,500万円(実績)約390億円1,320億円(会社予想)

約の付いた数字は、通期から上期を私が引いたものです。前年度の通期には、短信の参考情報にある値を使いました。

前年の下期に600億円あまりあった利益を、今年は400億円弱と見込んでいる計算です。一時的な利益は上期に入っているので、下期の数字には関係しません。それでも下期は大きく減る前提です。なぜそう見込むのかは、短信には書かれていません。

配当は、中間で10円を払います。前年の中間はゼロでした。年間の予想は「42円以上」となっています。

私はどう読んだか

純利益が横ばいなのは、前年の税金の反動です。ここまでは損益計算書の数字です。

私は、利息で稼ぐ力が上がった半年だったと考えています。理由は、資金利益の伸びが証券投資だけでなく、法人営業とリテールバンキングにも出ているからです。

それでも、心配性なので悪いほうを先に見ます。伸びのいちばん大きな柱は債券の積み増しです。その評価差額のマイナスは、半年で倍以上に広がりました。会社が下期を低く見込んでいる理由も、このあたりにあると私は見ています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://data.swcms.net/file/sbishinseibank/dam/jcr:2018bf31-466a-4da5-84e1-1b57c1811b1a/140120261027556932.pdf

前年の法人税等調整額がなぜあれほど大きかったのか、下期をなぜ前年より低く見込むのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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