はじめに
投資信託をつくり、運用する会社をいくつも抱えた持株会社です。NISAで毎月積み立てている投信の中身を、株や債券を選んで動かしている側だと考えると近いと思います。ネット証券や銀行の窓口で投信を買う人が、直接のお客さんではありません。お金を預けた人の残高に応じて、運用の手数料を受け取る商売です。預かる残高が膨らめば、売上もついてきます。
ほかに、投信のデータを販売会社に提供する仕事や、資産形成のセミナーもしています。SBIグループの一員です。
半年で、桁がひとつ変わった
10月27日に出た中間決算です。並べると、こうなります。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 270億円 | 72億7,300万円 | +271.2% |
| 営業利益 | 65億4,800万円 | 14億1,600万円 | +362.3% |
| 経常利益 | 66億5,600万円 | 17億5,700万円 | +278.7% |
| 純利益 | 35億8,200万円 | 10億5,200万円 | +240.3% |
伸びの大半は足し算です。短信の4ページ目で、会社自身がそう書いています。2025年9月にSBI岡三アセットマネジメントを、12月にレオス・キャピタルワークスを傘下に入れました。前年同期には、この2社がほとんど入っていません。
足し算を除いても、利益は伸びている
それなら、同じ顔ぶれで比べるとどうなのか。短信はセグメントを1つにまとめたので、そこが分かりません。説明会資料には、3社をそろえて比べた数字があります。営業利益は2.3倍で、3社とも2倍を超えていました。ここまでは説明会資料の数字です。
ただ、引っかかったことがあります。第2四半期の営業利益には、ファンドの成功報酬9億1,900万円が入っていました。これは短信には書かれていません。説明会資料のグラフの注記にあります。
成功報酬は、運用がうまくいった年にだけ入ってくるお金です。資料には、これを除いた第2四半期の営業利益率が22.4%と出ています。第1四半期の20.8%より上です。ここも同じ資料の数字ですが、成功報酬を抜いても前の四半期を上回っている、というところまでは言えます。
増えた残高の大半は、市場の動きによるもの
残高の増え方も、短信4ページ目に内訳があります。この半年で連結の運用資産残高は約1兆8,053億円増えました。そのうち投資信託の増加は約1兆6,942億円です。
投信の増加のうち、お客さんが新しく入れたお金は約4,624億円でした。時価の変動などの市場要因は約1兆2,318億円です。市場の動きで増えた分は、新しく入ってきたお金の2倍半ほどになります。1兆2,318億円を4,624億円で割った、私の計算です。
営業利益の伸びが、純利益まで届いていない
ここがいちばん引っかかったところです。営業利益は4.6倍なのに、親会社の株主のものになる純利益は3.4倍にとどまっています。損益計算書を下まで読むと、理由は2つありました。
1つめは前年側の事情です。前年同期の営業外収益に、暗号資産売却益が2億2,550万円入っていました。今回はゼロです。経常利益の伸びが営業利益より鈍いのは、これで説明が付きます。
2つめは、子会社の外の株主に回る利益です。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 中間純利益 | 11億2,881万円 | 43億4,732万円 |
| うち非支配株主に帰属 | 7,583万円 | 7億6,453万円 |
| うち親会社株主に帰属 | 10億5,298万円 | 35億8,278万円 |
| 非支配株主の取り分 | 約7% | 約18% |
約の付いた比率は、非支配株主に帰属する額を中間純利益で私が割ったものです。
前年は1割に満たなかった取り分が、2割近くまで増えています。子会社の中に外部の株主がいるところがあり、利益の一部がそちらへ流れているということです。……稼いだ額が全部、こちらの株主の分になるわけではない。
貸借対照表でも、非支配株主持分が100億3,287万円まで積み上がっています。
現金は、利益についてきている
営業キャッシュ・フローは58億343万円の収入でした。税金等調整前中間純利益は66億4,578万円で、法人税の支払いを引けば、ほぼ利益どおりに現金が入っています。
売掛金は19億282万円増えました。一方で、未払金と預り金がそれぞれ10億円あまり増え、相殺しています。現金及び預金は半年で38億2,799万円増えました。ここに気になる点はありません。
来年4月、株数が6割強増える予定
短信10ページ目の注記に、SBIインシュアランスグループを吸収合併する基本合意が載っています。予定どおりなら、新たに8,761万5,969株を発行します。いまの発行済株式数1億3,828万5,495株で割ると、6割強増える計算です。
合併相手の前期の純利益は28億8,000万円で、この会社の前期通期の30億7,300万円と同じくらいです。会計処理は共通支配下の取引になる見込みで、連結への影響は「精査中」と書かれています。最終契約も臨時株主総会もこれからです。
会社はどう説明しているか
短信の説明はまっすぐです。増収増益の主因は統合効果で、1株当たり利益は11円56銭から25円93銭へ倍以上になりました。期中平均株式数は約5割増えましたが、利益の伸びはそれを大きく上回った、と書いています。
統合の効果だという説明は、そのまま受け取ります。ただし、成功報酬と市場要因の話は短信の説明文に出てきません。その分は割り引いて聞いておきます。
通期の予想は出ていない
業績予想は未定です。理由として、事業と関連の深い金融市場の動きを1年通して想定するのが難しい、と書いています。期末配当も未定で、決まっているのは中間配当の9円50銭だけです。
市場が残高を運んでくる商売なので、予想を出さない理由そのものは筋が通っています。その代わり、通期に対してどこまで来たかは測れません。
私はどう読んだか
この上期は、運用会社それぞれの稼ぐ力が本当に上がった決算だと考えています。理由は、成功報酬を除いても第2四半期の利益率が前の四半期を上回っていて、営業キャッシュ・フローもほぼ利益どおりに入っているからです。
それでも心配性なので、増えた残高の大半が市場の動きだったことは頭に置いています。もう1つ、外の株主への取り分が2割近くに膨らんだことも気にかけています。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.sbiglobalam.co.jp/ir/pdf/r09_2q_hrc.pdf
非支配株主に帰属する利益が、どの子会社の外部株主に向かっているのかは、短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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