東京瓦斯(9531)2027年3月期 中間決算分析――海外の稼ぎに支えられた半年と読みました

東京瓦斯(9531)2027年3月期 中間決算分析――海外の稼ぎに支えられた半年と読みました 日本株

はじめに

東京ガスは、首都圏に都市ガスを届けている会社です。台所のコンロや風呂の給湯器、冬の暖房に使われています。家庭だけでなく、ホテルや病院、工場のボイラーにもガス管がつながっています。

いまはガスだけでなく電気も売っていて、自前の発電所も持っています。もう一つの顔は海外で、北米では自分でシェールガスを掘っています。

ガスの原料は輸入した液化天然ガスで、その値段は原油の値段につられて動きます。燃料が高くなると、国内でガスや電気を売る側は苦しくなります。この半年は、その苦しさを別の場所の稼ぎが埋めた決算でした。

純利益の減少は、前年同期の特別利益の反動です

2026年10月29日に出た、2027年3月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高1兆3,758億2,100万円1兆3,475億2,000万円+2.1%
営業利益1,032億8,300万円952億9,400万円+8.4%
経常利益1,079億5,000万円862億300万円+25.2%
純利益990億3,100万円1,296億8,000万円−23.6%

営業利益と経常利益は増え、純利益だけが2割以上減りました。

前年同期には、為替換算調整勘定取崩益680億1,300万円という特別利益がありました。説明会資料によると、オーストラリアの子会社の解散を決めたことに伴うものです。今回の特別利益は投資有価証券売却益309億2,600万円が中心で、前年の分には届いていません。

経常利益の伸びの半分近くは、デリバティブから来ています

営業利益の増加は約80億円、経常利益の増加は約217億円です。差の137億円ほどは営業外から来ています。

営業外の項目前年同期今回
デリバティブ利益36億9,700万円235億5,000万円
デリバティブ損失41億5,100万円138億5,300万円
持分法による投資損益△23億4,300万円26億6,400万円
支払利息112億8,300万円90億9,600万円

デリバティブの利益から損失を引くと、前年同期は4億5,400万円のマイナス、今回は96億9,700万円のプラスです。この差がおよそ101億円あり、経常利益の増加の半分近くにあたります。

このデリバティブが何に対する取引なのかは、短信にも、私が読んだ範囲の説明会資料にも書かれていません。燃料や為替の値動きに備えた取引なら、年によって向きが変わる種類の利益だと私は受け取りました。

ガスも電気も、売れた量は減っていました

短信の4ページ目には、都市ガスの販売量が前年同期より2.5%、電気が7.9%減ったと書いてあります。上期の平均気温は前年より1.4度低く、会社はこれを「気温影響による需要減」と説明しています。

量が減ったのに営業利益が増えた理由は、事業ごとの利益を並べると分かります。

セグメント利益前年同期今回
エネルギー・ソリューション999億100万円770億400万円
ネットワーク△174億6,700万円△142億3,700万円
海外234億3,600万円537億8,500万円
都市ビジネス58億8,100万円89億4,700万円

国内でガスと電気を売る事業は2割以上減り、海外は2倍を超えました。引っかかったのは、売上の大きさとの釣り合いです。海外の売上は1,382億7,100万円で、国内のエネルギー事業の1兆1,890億2,000万円の1割ほどしかありません。それなのに利益は、537億円を770億円で割ると、国内の7割近くに達しています。

この半年の原油価格は1バレル108.07ドルで、前年同期は73.69ドルでした。国内では、これが売上原価を押し上げています。海外の伸びについて、説明会資料は北米の寒波による販売単価の上昇と、新しい井戸の生産が順調だったことを挙げています。円安による換算の影響もあるそうです。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私は短信を開くと、まずキャッシュ・フロー計算書を探します。増収増益なのに営業キャッシュ・フローがマイナスの会社を、2023年に見てからの習慣です。この中間決算の短信は、貸借対照表、損益計算書、包括利益計算書、注記までで終わっています。

代わりに貸借対照表を見ました。現金及び預金は、半年で1,871億200万円から3,598億6,600万円へ、ほぼ倍になっています。短信の5ページ目は、負債が増えた理由をコマーシャル・ペーパーと社債の発行だと説明しています。自己資本比率は44.1%から42.4%へ下がりました。

この半年に、自己株式を約500億円分取得しています。増えた現金のうち、稼いだ分と借りた分がそれぞれいくらなのかは、短信の数字からは分けられません。……手元をここまで厚くした理由は、短信には書いていない。

説明会資料には、今期の計画として「営業CF」4,030億円という数字があります。ただ注を見ると、当期純利益に減価償却費を足して出したものです。現金の出入りを集計した数字ではないので、キャッシュ・フロー計算書の代わりにはなりません。

国内の減益を、会社は「タイムラグ」と呼んでいます

短信の説明文は、国内の減益を需要減と、原油価格の上昇による売上原価の増加で説明しています。上がった原価をなぜ料金で回収できていないのかは、短信には書かれていません。

説明会資料には、その答えがあります。「タイムラグ」です。ガスや電気の料金は燃料費の変動を数か月遅れで反映するので、燃料が上がる局面では費用が先に膨らみます。説明会資料の数字では、国内のガス・電力・ネットワークの上期の利益は509億円で、この影響を除けば1,226億円になるそうです。

時期のずれなら、いずれ戻るはずです。そこまでは私も受け入れます。ただ電力は86億円の赤字で、理由は電源の調達コストの上昇とされています。こちらは遅れて戻る種類の話ではありません。

下期の営業利益は、前年の下期より3割ほど少ない見込みです

会社は通期予想を修正しました。説明会資料によると、営業利益は1,860億円から1,740億円へ下げています。純利益のほうは資産の売却益を加えて、1,370億円から1,400億円へ上げました。

通期予想上期実績進捗率下期に残る分
営業利益1,740億円1,032億8,300万円約59%約707億円
経常利益1,600億円1,079億5,000万円約67%約520億円
純利益1,400億円990億3,100万円約71%約410億円

約の付いた数字は、短信の表紙の通期予想と上期実績から私が引き算・割り算したものです。

営業利益は半年で6割近くまで来ていますが、楽な数字ではありません。前年度の営業利益は1,976億円でした。ここから前年同期の952億9,400万円を引くと、前年の下期は約1,023億円です。今年の下期は約707億円を見込んでいるので、前年の下期より3割ほど少ないことになります。

説明会資料によると、会社は下期の原油価格の想定を1バレル70ドルから100ドルに上げました。下期に見込んでいたタイムラグの差損の解消も、見通しから外したそうです。燃料が高い水準のまま続く前提で、国内の利益を低く見込んでいることになります。

私はどう読んだか

この半年は、2通りに受け取れます。国内の減益は燃料の値段の動きによる一時的なもので、海外がその間を埋めた、という見方。もう一つは、国内でガスと電気を売る力が弱まっていて、海外の稼ぎと資産の売却で利益を保っている、という見方です。

私は後者の見方をしています。理由は、電力の赤字が調達コストの上昇から来ていて、時期のずれだけでは説明が付かないからです。そのうえ会社自身が、タイムラグの解消を今期の見通しから外しています。

海外の伸びは本物です。ただ寒波で上がった単価と円安の換算が混ざっていて、来年も同じ形で出るのかどうかは見通せません。心配性なので、次は下期の国内の数字から開くつもりです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20261029-01.pdf

増えた現金のうち、営業で稼いだ分と借りた分の内訳は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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