TOKYO BASE(3415)2027年1月期 中間決算分析――経常の伸びは為替と読みました

TOKYO BASE(3415)2027年1月期 中間決算分析――経常の伸びは為替と読みました 決算を読む

TOKYO BASE は服を売る会社です。ただし自分の工場は持っていません。商売の柱は二つあります。一つは STUDIOUS という店に、日本の若いデザイナーが作った服を集めて売る商売。もう一つは UNITED TOKYO や PUBLIC TOKYO のように、自社の名前で企画して、縫製を国内の工場に頼んだ服を売る商売です。

買いに来るのは、渋谷や表参道、大阪や名古屋の駅前の店に立ち寄る若い人たちです。ここ数年はそこに、日本製の服を土産に持ち帰る訪日客が加わりました。香港と、中国の上海や北京にも店を出しています。

私自身は、この会社の服を着る年齢から少し外れています。ただ、決算短信の中に「免税売上高」という行が独立して書いてある小売りの会社は珍しいので、そこから開き始めました。

この決算で何が起きたか

2026年9月14日に出た、2027年1月期の中間決算です。2月から7月までの半年で、売上は2割増え、利益もすべての段階で前年を上回っています。

今回前年同期増減率
売上高124億6,600万円102億9,300万円+21.1%
営業利益8億5,700万円7億9,500万円+7.8%
経常利益9億2,000万円6億8,300万円+34.8%
純利益5億1,800万円4億6,300万円+11.9%

表で引っかかったのは、営業利益と経常利益の伸びの差です。営業利益は8%弱しか増えていないのに、経常利益は3割以上増えています。間に何かが挟まっています。

経常利益の伸びの大半は、為替の分でした

損益計算書は短信の10ページ目にあります。営業外収益に為替差益9,157万円が載っています。前年の同じ期、この行は空欄でした。営業外費用のほうは逆で、前年に為替差損1億276万円があり、今回は空欄です。

足してみます。9,157万円と1億276万円です。合わせて1億9,433万円。これが、為替の向きが変わっただけで経常利益に上乗せされた金額です。表紙の経常利益は、前年の6億8,300万円から9億2,000万円へ増えています。差は約2億3,700万円ですから、その8割ほどが為替です。営業利益は前年の7億9,500万円から8億5,700万円へ増えました。差は約6,200万円にとどまります。

ここまでは損益計算書の数字です。為替は来期も同じ向きに動くとは限りません。会社側の説明も、決算短信では「為替予約を活用しており」で止まっていて、差益を稼ぎに行ったとは書いていません。経常利益の3割増は、本業の伸びとしては受け取らないことにしました。

営業利益の伸びが小さかった理由は、5ページ目に書かれています。販管費が2割強増えました。新しい店の地代家賃で3億4,607万円、人を増やした給料で1億8,507万円です。販売手数料も9,385万円増えました。粗利とほぼ同じ速さで費用が増え、営業利益率は私の割り算で、前年の7.7%から6.9%へ下がっています。

既存店は、自社ブランドの業態が前年を下回っています

売上2割増の中身です。店は半年で104店から116店へ12店増えました。新しい業態 KEY TIMEZ だけで3億7,190万円を売っています。会社側は「増収は主として新規出店および新業態の寄与によるもの」と自分で書いています。

既存店だけを取り出すと、様子が変わります。

業態既存店の前年同期比
STUDIOUS(セレクト)111.9%
THE TOKYO119.2%
CONZ118.9%
UNITED TOKYO(自社企画)101.1%
PUBLIC TOKYO(自社企画)89.0%
CITY(自社企画)90.3%
全社合計105.7%

セレクトショップの STUDIOUS と若い業態は伸び、自社の名前で企画した UNITED TOKYO、PUBLIC TOKYO、CITY は前年に届いていません。会社側もこれを「自社オリジナル業態における既存店の収益力回復を次の課題」と認めています。

増収のもう一つの中身は訪日客です。国内の実店舗の免税売上は33億9,690万円で、前年から4割増えました。実店舗の売上が増えた分のうち、7割強が免税売上の増加だと短信にあります。今回の増収は、店の数と訪日客の財布で作られています。

現金が減り、当座貸越の枠は使い切っています

貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書です。現金は半年で8億7,382万円減って、35億2,333万円になりました。営業活動では5億4,629万円入ってきています。前年の同じ期は1億8,503万円のマイナスだったので、ここは良くなっています。

出ていったのは投資と財務です。投資で7億4,026万円。新しい店の保証金と設備が中心です。財務で7億1,073万円。13億円を借りて13億円を返しているので、借入の差し引きはゼロに近い額です。中身は自己株式の取得4億9,997万円と配当2億6,375万円です。

引っかかったのは、13ページ目の注記です。銀行との当座貸越の枠が、期首の24億円から21億円に減りました。その21億円を全部使っています。前期末には5億円の余りがありました。枠が減った理由は、決算短信には書かれていません。自己株式を5億円近く買った半年に、借りられる余りがゼロになった。……いや、枠を減らしたのが会社側なのか銀行側なのかも分からないので、ここは並べておくだけにします。

商品の残高は5億3,655万円増えて41億9,784万円です。会社側は ZOZOTOWN で一部を売って「在庫水準の適正化が進みました」と書いていますが、残高そのものは増えています。ただ、前年の同じ期は12億9,106万円増えていましたから、今回の増え方はその半分以下です。12店ぶんの棚を埋める在庫だと考えると、この増え方は珍しくありません。

会社はどう説明しているか

5ページ目に、営業利益について「大幅に増加し、収益性と成長性を両立した力強い業績改善を実現しております」とあります。営業利益の伸びは8%弱です。同じページの次の段落では「営業利益は前年を上回って着地しております」と、ずっと静かな言い方に戻っています。同じ数字について、温度の違う2つの文が並んでいます。

私は後者の文のほうを、この会社の実感として受け取りました。理由は、売上の項では自社業態の既存店の落ち込みを課題と自分で書き、粗利率の低下も新業態の導入期と在庫処分のためだと具体的に説明しているからです。数字の説明は丁寧です。形容詞だけが先に走っています。

訪日客と出店で売上を作った、という説明は、留保なしに受け取ります。免税売上の行がそれを裏付けているからです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は据え置きです。売上280億円、営業利益25億円のままです。

通期予想中間期まで進み具合残り6か月に必要な額前年の下期と比べて
売上高280億円124億6,600万円約44.5%155億3,400万円+14.6%
営業利益25億円8億5,700万円約34.3%16億4,300万円+39.6%
経常利益22億円9億2,000万円約41.8%12億8,000万円+6.0%
純利益15億円5億1,800万円約34.5%9億8,200万円+41.9%

約の付いた数字と残りの額は、表紙の予想から私が割り算と引き算で出したものです。

売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は3分の1ほどです。残り半年で16億4,300万円の営業利益が要り、これは前年の下期に対して4割増しにあたります。

目に留まったのは、経常利益の残りが12億8,000万円で、営業利益の残りより3億6,300万円少ないことです。通期予想では経常利益22億円が営業利益25億円を下回っています。上期は為替で経常が営業を上回りましたが、会社側は下期に営業外が3億円ほどのマイナスに戻ると見込んでいるわけです。上期の為替差益を、会社自身が、続くものとは考えていません。

私はどう読んだか

増収は本物で、増益はまだ、というのが私の見方です。理由は、増えた分の説明が全部、店の数と訪日客と為替で付いてしまうからです。既存の店で服が前より売れたという材料は、セレクト業態にしかありません。

自社の名前の服が既存店で1割減っているのは、この会社の芯にあたる話です。短信の中でも課題と認めているので、次の短信では既存店の表を先に開きます。

下期に営業利益を4割増やす予想については、心配性なので身構えています。出店した分の家賃と人件費は、下期も丸々かかります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

ライブラリー | IR | TOKYO BASE CO., LTD.
日本発ブランドを世界に発信するファッションカンパニー「TOKYO BASE」のIR情報ページです。

固定負債に新しく出てきた長期未払金2億1,015万円が何なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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