太平製作所(6342)2027年3月期 第1四半期決算分析――受注が売上に届かないのが気になる

太平製作所(6342)2027年3月期 第1四半期決算分析――受注が売上に届かないのが気になる 決算を読む

はじめに

太平製作所は、合板を作るための機械を作っている会社です。合板は、丸太を薄くむいた板を何枚も貼り合わせた材料で、家の床や壁、家具に使われます。この会社は、合板工場に据え付ける大きな機械を、国内のほか北米や東南アジアにも納めています。

合板のほかに、集成材の生産ラインなどで使う木工機械も扱っています。もう一つの柱は住宅に近い仕事です。ツーバイフォー工法で家の骨組みを建てる事業があり、最近は農業向けの木製ビニールハウスも売り始めました。買い手は、木材を加工する工場と、家を建てる人たちです。

利益が5割増えた3か月

2026年8月10日に発表された、4月から6月までの3か月の決算です。

今回前年同期増減率
売上高20億9,000万円19億5,500万円+6.9%
営業利益3億4,200万円2億2,900万円+49.1%
経常利益3億4,600万円2億2,900万円+51.4%
純利益2億3,000万円1億3,900万円+64.7%

売上の伸びは1割に届きません。それなのに、利益はどの段も5割前後増えています。この差がどこから来たのかを、表の外で探しました。

増えた利益の大半は、木工機械から出ていました

短信の4ページ目で、会社は業績が伸びた理由を「海外における大型受注の影響もあり」と書いています。北米の既存顧客から大きな注文が入り、合板機械の売上が伸びた、という説明です。ところが事業ごとの表を開くと、利益の増え方は別の形をしていました。

売上 前年同期売上 今回利益 前年同期利益 今回
合板機械11億7,340万円13億6,971万円2億2,574万円2億4,000万円
木工機械6億2,018万円5億3,247万円2,438万円1億3,977万円
住宅建材2億6,174万円1億8,968万円944万円△727万円

※事業ごとの売上は、事業間の取引を含む額です。

合板機械は売上が16.7%増えたのに、利益は6.3%増にとどまります。大きく動いたのは木工機械で、売上が減ったのに利益は6倍近くになりました。

3つの事業の利益を足すと、2億5,957万円から3億7,251万円へ増えています。差は1億1,294万円です。木工機械ひとつで1億1,539万円増えていますから、増えた分の全部を木工機械が稼いだ計算になります。合板機械が増やした分は、住宅建材が赤字に落ちた分でほぼ消えています。

木工機械の利益がなぜここまで膨らんだのかは、決算短信には書かれていません。会社の説明は「集成材の生産ラインにかかる機械受注の影響もあり」までです。……売上が減って、利益が6倍。ここは説明が欲しい。

販管費が減り、前年の特別損失が消えていました

純利益の伸びが営業利益より大きい理由は、損益計算書の下のほうにありました。

販売費及び一般管理費が、2億5,559万円から2億2,817万円へ減っています。売上が増えた四半期に経費が減った分は、そのまま営業利益に乗ります。

もう一つは前年の側の事情です。前年同期には固定資産除却損などの特別損失が3,021万円ありましたが、今回はゼロでした。純利益の64.7%増には、この差も入っています。

入った注文は、納めた売上より少なかった

ここがいちばん引っかかったところです。受注と売上を並べると、この3か月の性格が違って見えます。短信の4ページ目には、事業ごとの受注の表が載っています。

受注前年同期今回前年同期比
合板機械2億4,444万円6億1,671万円252.3%
木工機械8億449万円7億2,951万円90.7%
住宅建材2億4,346万円1億9,073万円78.3%
合計12億9,240万円15億3,697万円118.9%

合板機械の受注は2.5倍になりました。合計でも前年同期より2割近く多く、前年と比べる限りは良い数字です。

ただ、同じ3か月の売上は20億9,000万円でした。受注の15億3,697万円を引くと、差はおよそ5億5,000万円です。受けた注文より、納めて売上にした量のほうが多かったことになります。木工機械と住宅建材は、受注そのものも前年を下回りました。

貸借対照表も同じ向きを指しています。作りかけの機械を表す仕掛品は、2億8,277万円から1億8,214万円へ減りました。客から先に受け取ったお金である前受金も、6億7,390万円から5億5,519万円へ減っています。ここまでは短信に載っている数字です。

手持ちの大型案件を納めて売上に変えた3か月で、そのぶん抱えていた仕事が減った、と私は受け取りました。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書はありませんでした

添付資料の10ページ目、いつもならキャッシュ・フロー計算書を探しにいく場所には、「作成しておりません」の一文がありました。第1四半期では珍しくありません。現金の動きは、貸借対照表から追うしかありません。

現金及び預金は9億1,400万円増えています。会社の説明では、受取手形・売掛金などが5億8,700万円減ったのが主な理由です。納めた機械の代金を回収した形で、上の見立てとも合います。

細かい話ですが、5ページ目の説明文は負債合計を「9.7%減少」と書いています。表では23億1,479万円から25億3,939万円へ増えていて、向きが逆のようです。

会社はどう説明しているか

業績が伸びた理由として、会社は海外の大型受注を挙げています。住宅建材の不振については、中東情勢による石油由来製品の不足で、工事計画が遅れたと書いています。7月3日には、林業を手がける子会社「しらかわ林業」を設立しました。木材の上流に入り、将来の収益の柱にするのが目的だそうです。

売上の説明は、そのまま受け取ります。合板機械の売上と受注が伸びたのは、表のとおりだからです。ただ利益については留保をつけます。伸びの中身は合板ではなく木工機械で、その理由は短信の説明文に出てきません。

7月から9月を、前年より低く置いています

営業利益は、3か月で通期予想6億8,700万円のほぼ半分まで来ています。この時期の目安は4分の1です。それでも会社は、5月13日に出した予想を変えませんでした。

上期の予想と並べると、据え置きの意味がはっきりします。

営業利益4月〜6月7月〜9月上期累計
前年 実績2億2,900万円約2億6,100万円約4億9,000万円
今年3億4,200万円1億6,600万円5億800万円(会社予想)

※約の付いた数字は、上期予想5億800万円と表紙の増減率+3.7%から私が割り戻したものです。今年の7月〜9月は、上期予想から第1四半期を引いた数字です。

5億800万円を1.037で割ると、前年の上期はおよそ4億9,000万円です。そこから前年の第1四半期2億2,900万円を引くと、前年の7月から9月はおよそ2億6,100万円になります。今年の同じ3か月を、会社は1億6,600万円と置いていることになります。

売上も同じ形です。上期の売上は前年より3.9%減、通期は7.0%増の予想です。伸びは下期に見込まれていて、通期予想から4月〜6月を引いた残り9か月の営業利益は前年の同じ時期とほぼ同じ、というのが私の引き算です。

私はどう読んだか

見方は2つあります。予想が控えめなだけなのか、手持ちの案件を先に納めた分だけ後が薄いのか。

私は後者の見方をしています。理由は、受けた注文が納めた売上を下回り、仕掛品と前受金がそろって減っているからです。第1四半期の好調は、新しく増えた稼ぎというより、抱えていた大型案件を売上に変えたところが大きいと考えています。

一方で、合板機械の受注は2.5倍になりました。これが下期の売上になるなら、会社の置き方とも辻褄は合います。心配性なので、先に薄いほうを見ています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260810/140120260731505685.pdf

6月末の時点で受注残高がいくら残っているのかは、この決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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