半導体のチップは、作ったあとに一つずつ電気を通し、設計どおりに動くかを確かめてから出荷されます。アドバンテストは、その検査に使う装置を作っている会社です。この装置はテスタと呼ばれます。
買うのは、半導体メーカーと、製造を請け負う工場です。AI向けの演算用チップやデータセンタ用のメモリは、回路が込み入るほど一つの検査に時間がかかります。そのため、同じ数を出荷するにも装置が多く要ります。据え付けたあとの保守や、チップと装置をつなぐ消耗品の販売もしています。売上のほとんどは海外です。
7月29日に出た第1四半期の決算短信を読んで、9月に前の記事を書きました。そのとき引っかかったのは、持っている金融商品の評価益が、利益と資本を大きく膨らませていたことです。次は投資有価証券と金融収益の行を見る、と書いて終えていました。
中間期の4項目は、どれも過去最高でした
2026年10月28日に発表された、4月から9月までの半年分の決算です。IFRSなので経常利益の行は無く、代わりに税引前利益の行を並べました。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,452億円 | 5,267億3,300万円 | +60.5% |
| 営業利益 | 4,568億900万円 | 2,324億3,500万円 | +96.5% |
| 税引前利益 | 5,102億3,400万円 | 2,305億1,700万円 | +121.3% |
| 純利益 | 3,680億8,300万円 | 1,698億1,300万円 | +116.8% |
売上は6割増え、営業利益はほぼ倍です。会社は、4項目とも中間期として過去最高だと書いています。
7月から9月の3か月は、4月から6月より大きかった
半年の累計から第1四半期の数字を引いて、7月から9月の3か月だけを取り出しました。
| 4月〜6月 | 7月〜9月 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,674億7,300万円 | 約4,777億円 |
| 営業利益 | 1,899億9,000万円 | 約2,668億円 |
| 金融収益 | 446億8,000万円 | 約123億円 |
約を付けた数字は私の計算で、中間期の累計から4月〜6月を引いています。この先の表の7月〜9月の列も、同じ出し方です。
売上は、前の3か月から3割ほど増えました。営業利益率は5割強から56%ほどへ上がっています。一方で金融収益は、4分の1ほどに縮みました。前の記事で純利益の伸びを割り引いて見たのは、この金融収益が大きかったからです。その理由は、この3か月ではかなり小さくなっています。
資本に直接載る評価益は、3か月で減りました
前の記事でいちばん引っかかったのは、損益計算書を通らずに資本へ直接載る評価益でした。包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の純変動」という行です。
| 4月〜6月 | 4月〜9月 | 7月〜9月 | |
|---|---|---|---|
| 損益計算書に載った評価益 | 410億7,500万円 | 541億7,100万円 | 約131億円 |
| 資本に直接載った評価益 | 1,202億2,900万円 | 1,082億8,100万円 | 約△119億円 |
損益計算書の側は、まだ増えています。ところが資本の側は、3か月で約119億円減りました。前の記事で「この資産が下を向いた四半期を先に考えてしまう」と書いたものが、小さな形でもう来ています。2つを合わせると、7月から9月の評価の動きはほぼ差し引きゼロです。
それでも、投資有価証券の残高は増え続けています。前期末は679億2,700万円でした。それが6月末に3,577億3,700万円となり、9月末には4,325億8,600万円になりました。総資産のほぼ4分の1にあたります。
7月から9月に増えたのは、値上がりよりも買い足しの分です。キャッシュ・フロー計算書では、負債性金融商品の取得が中間期で1,843億6,500万円あり、そのうち約965億円が7月から9月の分です。
前の記事では、転換社債の発行1,000億円と、負債性金融商品の取得が、額も時期も近いのが気になると書きました。半年で取得額は発行額を大きく超えています。額の近さで2つを結びつけたのは、早すぎました。
前回の良い発見は、1四半期で終わりました
前の記事では、売上が4割増えた3か月に売掛金が減り、前受金が増えていたことを、良いほうの発見として書きました。顧客が先に代金を入れて装置を待っている形だと受け取り、営業利益の伸びを本物と考える理由にしていました。
7月から9月は、その形が続きませんでした。
| 4月〜6月 | 7月〜9月 | |
|---|---|---|
| 営業債権及びその他の債権 | 502億3,400万円の減少 | 約610億円の増加 |
| 前受金の増加 | 369億8,400万円 | 約72億円 |
| 棚卸資産の増加 | 413億4,600万円 | 約782億円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,371億5,500万円 | 約1,698億円 |
売上が3割増えた3か月に売掛金が増えるのは、普通のことです。前受金は増えたものの、増え方は5分の1ほどに落ちました。前の記事で書いた形は、1四半期だけのものだったことになります。……良い発見ほど、続くかを確かめてから書くべきだった。
それでも7月から9月の営業キャッシュ・フローは、4月から6月を上回っています。在庫を約782億円積み増したうえでの額です。現金が入ってこない成長ではありません。
会社は、売上の中身が良くなったと説明しています
短信の4ページ目の説明文では、営業利益がほぼ倍になった理由を、増収と「売上ミックスの良化」としています。AI向けの高性能半導体の生産数量が増え、先端パッケージなどで検査が複雑になり、顧客の設備投資が続いたという説明です。SoC向けのテスタが伸び、メモリ向けではDRAMに加えて不揮発性メモリ向けも増えたとあります。
同じ段落で、円安も業績に効いたと書いています。中間期の平均は米ドル160円で、前年同期は146円でした。海外売上比率は99.4%です。ミックスと為替がそれぞれいくら効いたのかは、決算短信には書かれていません。売上の伸びはそのまま受け取ります。ただ、利益率の改善を全部、中身の改善だとは考えずにおきます。
サービス他部門の利益は、前年同期の30億円から209億円へ増えました。前年の30億円には事業の一部譲渡による益が約25億円入っていた、と会社自身が断っています。それを除けば、伸びはもっと大きいことになります。製品の設置台数が増えて保守の売上が伸び、インタフェースボードなどの消耗品も売れたそうです。
心配事は第1四半期と同じです。メモリ半導体などの主要部品は需要が供給を上回っている、という一文が残っています。
予想は再び上方修正、下期の利益率は5割で見込んでいます
7月に続いて、通期予想をまた上方修正しました。
| 中間期 実績 | 通期予想(修正後) | 進捗率 | 下期に残る分 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,452億円 | 1兆8,630億円 | 約45% | 約1兆178億円 |
| 営業利益 | 4,568億900万円 | 9,670億円 | 約47% | 約5,102億円 |
| 税引前利益 | 5,102億3,400万円 | 1兆215億円 | 約50% | 約5,113億円 |
| 純利益 | 3,680億8,300万円 | 7,415億円 | 約50% | 約3,734億円 |
進捗率は実績を通期予想で割り、下期に残る分は予想から実績を引いて出しました。
下期の売上は、上期より2割ほど多い見込みです。ところが営業利益は1割ほどしか増えません。約5,102億円を約1兆178億円で割ると、下期の営業利益率は5割ほどです。上期の54%、7月から9月の56%ほどより低い前提です。
理由の一つは為替です。下期の前提は米ドル150円で、上期の160円より円高を見込んでいます。
もう一つ、下期の税引前利益と営業利益の差は、約11億円しかありません。上期は、金融収益が570億円、金融費用が36億円でした。引くと、534億円ほどの差がありました。下期の予想には、評価益をほとんど入れていないことになります。
配当は、中間配当が49円に決まりました。前期の中間配当は29円です。期末の予想は空欄のままです。
本業の伸びは本物、という見方は変えません
営業利益の伸びは本物だと考えています。理由は、7月から9月の3か月で在庫を大きく積みながら、営業キャッシュ・フローが前の3か月を上回ったからです。前の記事で挙げた、売掛金が減ったという理由は取り下げます。結論は同じでも、支えにした数字は1四半期で入れ替わりました。
評価益への心配は、少し和らぎました。7月から9月は、損益の側と資本の側がほぼ打ち消し合いました。下期の予想も、評価益を当てにしていません。ただ投資有価証券は総資産の4分の1まで膨らみ、中身の分からない金融商品を半年で2,000億円近く取得しています。その大きさのほうは、前回より気になっています。
上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.advantest.com/document/ja/investors/ir-library/result/J_FR_FY2026_2Q.pdf
戦略投資の金融商品と、半年で1,843億円取得した負債性金融商品が何なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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