日本電気(6701)2027年3月期 中間決算分析――営業CFの減少は前年側の事情と読みました

日本電気(6701)2027年3月期 中間決算分析――営業CFの減少は前年側の事情と読みました 日本株

はじめに

日本電気は、役所や企業が毎日使うコンピューターの仕組みを作り、何年も動かし続ける会社です。住民の手続きや銀行の窓口では、こうした会社が組み上げたシステムが裏で動いています。ほかに、海の底に通信ケーブルを敷く仕事、顔や指紋で本人を確かめる技術、防衛向けの機器も手がけています。

私の勤め先でも、取引先とのやり取りに使う仕組みは外部に作ってもらったものです。止まると請求書が出せなくなります。目立たないけれど、止まったら困る物を作っている会社だと受け止めています。

中間決算の表は、文句のない形でした

10月28日に出た中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高1兆7,538億5,700万円1兆5,697億7,900万円+11.7%
営業利益1,461億5,400万円1,185億7,000万円+23.3%
経常利益———
純利益1,164億3,900万円728億3,000万円+59.9%

国際会計基準なので、経常利益の欄はありません。売上は1割強、営業利益は2割強、純利益は6割近く増えています。表だけなら、気になるところはありません。

2割増益の半期に、営業で入った現金は186億円

短信の9ページ目、キャッシュ・フロー計算書で手が止まりました。営業活動によるキャッシュ・フローが、前年同期の1,774億円から186億円まで減っています。利益が増えた半期に、本業で入った現金は10分の1ほどです。

……いや、これは減りすぎだ。

営業キャッシュ・フローの主な行前年同期今回
税引前中間利益1,154億3,400万円1,421億9,800万円
営業債権の減少3,216億3,800万円4,003億2,000万円
棚卸資産の増加△803億3,200万円△1,081億2,900万円
退職給付に係る負債・資産の増減1,348億5,400万円△23億5,300万円
法人所得税の支払額△581億7,200万円△1,046億8,200万円
営業活動によるキャッシュ・フロー1,774億円186億円

出典:決算短信 9ページ目

差の大半は、前年の退職給付の行に集まっていた

行を縦に追うと、差は1行に集まっています。退職給付の行は、前年が1,348億円のプラスで、今年は23億円のマイナスです。プラスからマイナスへの振れ幅は、両方を足した分になります。前年の1,348億5,400万円に、今年の23億5,300万円を足します。合計は約1,372億円です。営業キャッシュ・フローは1,774億円から186億円に減りました。減り幅は1,588億円で、そのほとんどがここに入ります。

つまり、膨らんでいたのは前年の1,774億円のほうです。前年のこの行で何があったのかは、今回の短信には書かれていません。前年の中間期の書類はまだ開いていません。

残りの差は税金です。法人所得税の支払額は、581億円から1,046億円へ増えました。増えた分は465億円です。貸借対照表では、未払法人所得税等が期首の1,075億円から558億円に減っています。前期の利益に対する税金を、この半年でまとめて払った形です。

ここまではキャッシュ・フロー計算書と貸借対照表の数字です。営業キャッシュ・フローの落ち込みは、前年の特殊な1行と税金の支払いの時期が重なったことで大半が説明できる、と私は考えました。

払った税金は増え、損益計算書の税金は減っている

税金には、もう一つ逆向きの動きがあります。損益計算書の法人所得税費用は、418億円から245億円へ4割減りました。税引前利益は2割増えています。純利益が6割近く伸びたのは、この税金の費用の減少が上乗せされたからです。

なぜ税金の費用が減ったのかは、決算短信には書かれていません。繰延税金資産が期首の1,866億円から2,249億円へ増えていることまでは分かります。純利益の伸びは、この理由が分かるまで本業の伸びとは分けて考えます。

純資産がマイナスの会社に、3,608億円を払った

引っかかったのは、5月14日に買収した米国のCSG Systems Internationalの中身です。通信やブロードバンドの事業者に、料金の請求や顧客管理のソフトを提供している会社です。短信の12〜13ページ目に、買ったときの貸借対照表が載っています。

CSG 取得日の内訳金額
資産合計1,695億2,300万円
負債合計2,031億2,700万円
純資産△336億400万円
取得の対価3,608億4,100万円
取得により生じたのれん3,944億4,500万円

出典:決算短信 12〜13ページ目

負債が資産を上回る会社でした。純資産がマイナスなので、のれんは払った3,608億円にマイナス分の336億円を足した額になり、払った金額よりも大きくなっています。会社全体ののれんは期首の4,505億円から8,241億円へ増えました。配分は暫定で、金額はまだ動くと書かれています。

この支払いを、手元の現金と借入れで賄っています。現金は6,590億円から4,357億円へ減りました。借入れは、短期借入金が1,214億円の純増、社債が1,295億円の発行です。CSGは取得日以降、売上812億5,900万円、中間利益59億1,800万円を加えています。

業績を説明する文章が、この短信には載っていない

この短信の添付資料には、業績の増減を文章で説明する節がありません。会社が自分の言葉で理由を書いているのは2か所です。一つはCSG買収の理由で、米国子会社のNetcrackerと一体で運営し、通信事業者向けのソフトを強くするためだと書いています。

もう一つは、事業構造改善費用136億8,700万円です。海外向けのネットワーク機器の再販事業と、一部の国の政府・自治体向けITサービス事業を譲渡すると決め、その費用を計上したと書いています。ここはそのまま受け取ります。

会社は、こうした費用を除いたNon-GAAP営業利益を指標にしていて、今期から事業ごとの利益もこの形だけで示しています。社会インフラ事業は137億円から363億円へ増えました。2.6倍です。その理由の文章は短信にありません。決算補足説明資料は作ったとあり、説明会も開かれていますが、私はまだ目を通していません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

表紙の通期予想は、今回の発表で修正されています。修正前の数字は、短信には載っていません。示されているのは売上収益とNon-GAAPの利益だけで、営業利益と純利益の通期予想はありません。

通期予想上期実績下期に必要な分前年の下期
売上収益3兆7,400億円1兆7,538億5,700万円1兆9,861億4,300万円約2兆126億円
Non-GAAP営業利益4,600億円1,882億9,800万円2,717億200万円約2,697億円

下期に必要な分は、通期予想から上期を引いた数字です。約の付いた数字は、表紙の増減率(+4.4%、+15.8%)で通期予想を割り戻し、前年の上期を引いた私の計算です。

売上は半分に少し届かず、利益は4割ほどまで来ています。上期は利益が5割近く伸びたのに、下期は前年並みの利益、売上は前年の下期をわずかに下回る見込みです。譲渡を決めた事業が抜ける分なのか、慎重に見積もった結果なのかは、この短信からは分かりません。

私はどう読んだか

私は、利益の伸びは本物で、現金の薄さは前年と今年の事情が重なった結果だという見方をしています。理由は、営業キャッシュ・フローの減り幅のほとんどが、前年の退職給付の1行と税金の支払いの時期で説明できるからです。事業ごとの利益も、二つの柱がそろって増えています。

それでも心配性なので、棚卸資産が1,081億円増えたことは頭に残しています。年度末に納める仕事の仕込みかもしれません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信
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前年の中間期に、退職給付の行で1,348億円の現金が入った理由は、今回の短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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