銀行や証券会社のシステムを、相談から保守まで請け負う会社
シンプレクス・ホールディングスは、大手の銀行や証券会社が日々の業務で使うシステムを作る会社です。何を作るかを一緒に考える段階から入り、実際に組み上げ、動き出したあとの運用や保守まで引き受けます。最近は金融以外の会社の仕事も増やしています。
私たちが窓口やネットで金融機関とやりとりするとき、その裏で動いている仕組みを作る側にいる、と考えると近いと思います。
勤め先で会計システムを入れ替えたことがあります。作る前の相談から導入後の面倒まで、同じ相手に頼めるかどうかで手間がまるで違いました。この会社が売っているのは、たぶんその「まるごと」です。
売上ほど、利益は伸びなかった上期
10月28日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 331億2,200万円 | 278億100万円 | +19.1% |
| 営業利益 | 73億9,700万円 | 70億5,500万円 | +4.8% |
| 経常利益 | — | — | — |
| 純利益 | 48億1,000万円 | 47億7,700万円 | +0.7% |
国際会計基準の短信なので、経常利益の欄はありません。売上は2割近く増えたのに、純利益はほぼ前年と同じです。
3つのサービスすべてで、粗利率が上がっている
最初に確かめたのは、売上の質が落ちていないかどうかです。短信の最後にあるサービス別の表を開きました。
| 売上収益 | 粗利率 前年同期 | 粗利率 今回 | |
|---|---|---|---|
| 戦略/DXコンサルティング | 61億2,600万円 | 46.8% | 49.6% |
| システムインテグレーション | 195億2,200万円 | 44.5% | 47.0% |
| 運用サービス | 74億3,200万円 | 40.1% | 42.5% |
| 合計 | 331億2,200万円 | 43.9% | 46.5% |
3つとも、売上が増えて粗利率も上がっています。売上の6割近くを占めるシステム開発でも上がっているので、値引きで数を取りに行った形ではありません。粗利の額は前年同期より4分の1以上増えました。
増えた粗利の9割近くが、人と研究開発に回った
それなら、なぜ営業利益は5%しか増えなかったのか。損益計算書の費用の行を並べました。
| 前年同期 | 今回 | 増えた額 | |
|---|---|---|---|
| 売上総利益 | 121億9,200万円 | 154億1,400万円 | 32億2,200万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 45億8,500万円 | 60億8,800万円 | 15億300万円 |
| 研究開発費 | 5億5,600万円 | 18億8,000万円 | 13億2,400万円 |
| 営業利益 | 70億5,500万円 | 73億9,700万円 | 3億4,200万円 |
増えた額の列は私の引き算です。粗利は32億2,200万円増えました。販管費と研究開発費の増加分を足すと28億2,700万円で、増えた粗利の9割近くが消えています。……ほとんど残っていない。
引っかかったのは研究開発費です。前年同期の3倍を超えました。営業利益率は25.4%から22.3%に下がっていますが、原因は売上の側ではなく、この費用の側にあります。
営業利益から下では、受け取る利息が減り、払う利息と税金が増えました。純利益がさらに細くなったのはそのためです。
配当を4割増やしても、現金はほぼ横ばい
キャッシュ・フロー計算書は短信の11ページ目にあります。営業活動で入った現金は55億1,100万円で、前年同期を上回りました。売掛金の回収が進んだ一方、税金と賞与の支払いが重く出ています。
この半年に払った配当は40億2,600万円で、前年同期から4割ほど増えました。それにリースの支払いと借入金の返済を足しても、手元の現金は期首からわずかに減っただけです。稼いだ現金で、増やした配当を払えています。ここに引っかかるものはありませんでした。
会社が挙げた理由は、採用と生成AI
短信の4ページ目で、会社は費用が増えた理由を書いています。販管費は新卒と中途の採用を強めたため。研究開発費は、生成AIを使うことを前提にした開発体制へ切り替えるため。ノウハウの標準化や開発基盤の整備に使った、という説明です。
費用の中身については、そのまま受け取ります。理由は、粗利率が全部のサービスで上がっていて、売上の側に崩れが見えないからです。ただ、この費用が上期で一段落するのか、下期も同じ規模で続くのかは、決算短信には書かれていません。
通期の営業利益予想175億円まで、下期に101億円
表紙を見ると、通期予想は「修正の有無:有」です。同じ日に「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を出したとありますが、私はそれを読めていません。修正前の数字や、上と下のどちらへ動かしたのかは分かりません。表紙に載っているのは修正後の予想です。
| 上期 実績 | 通期予想 | 進捗率 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 331億2,200万円 | 710億円 | 約46.7% | 378億7,800万円 |
| 営業利益 | 73億9,700万円 | 175億円 | 約42.3% | 101億300万円 |
| 純利益 | 48億1,000万円 | 124億2,000万円 | 約38.7% | 76億1,000万円 |
進捗率は私の割り算です。売上は半分に少し届かない程度ですが、営業利益は4割強にとどまります。
前年の下期と比べると、この予想の重さがはっきりします。
| 営業利益 | 上期 | 下期 | 通期 |
|---|---|---|---|
| 前年 | 70億5,500万円 | 約73億6,000万円 | 約144億1,500万円 |
| 今年 | 73億9,700万円 | 101億300万円 | 175億円 |
短信には、通期予想の175億円が前年の通期より21.4%多いと書かれています。約の付いた数字は、そこから前年の通期を逆算し、前年の上期を引いて出しました。前年は上期と下期でほぼ同じ利益でした。今年は、上期より4割近く多い利益を下期に見込んでいます。
利益の伸びの小ささは、使い道の結果だと考えています
私は、この上期を「稼ぐ力が落ちた半年」ではなく「稼いだ分を自分で使った半年」だという見方をしています。理由は、粗利率が3つのサービスすべてで上がり、利益を削ったのが会社自身の決めた費用だからです。
心配性なので、下振れの側も書いておきます。下期の101億円は、費用の増え方が落ち着いて粗利の伸びがそのまま利益に残る、という前提でしか届かない数字だと思います。その前提が短信からは確かめられません。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

通期予想を修正前からどちらへ動かしたのか、研究開発費の増加が下期も続くのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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