アールプランナー(2983)2027年1月期 中間決算分析――減った現金の行き先は土地だと読みました

アールプランナー(2983)2027年1月期 中間決算分析――減った現金の行き先は土地だと読みました 決算を読む

家と土地を、一緒に売る会社です

アールプランナーは名古屋の住宅会社です。注文住宅と分譲住宅を建てて売り、その土地探しから仲介までを自分たちで請け負っています。土地を先に買って家を建てて売る分譲と、客の土地に建てる注文の両方を持っています。片方で覚えたことをもう片方に使う、というのが会社の説明です。

買う人は、戸建てを初めて建てる家族が中心だと思います。会社は自分のことを「手の届く贅沢」と言っていて、デザインで選ばれる価格帯の少し上を狙っています。地盤は愛知県で、首都圏にも展示場を増やしている途中です。私の住む埼玉にも今年の春、実際の住宅地の中に建てた展示場が一つできました。

家を建てる仕事は、土地を買ってから現金が入るまでに時間がかかります。この会社の短信で最初に見るべきなのは、損益計算書より先に、その時間の長さが出る場所です。今回はそこを中心に書きます。

この決算で何が起きたか

9月10日に出た、2027年1月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高273億7,100万円228億7,100万円+19.7%
営業利益25億1,300万円17億2,600万円+45.5%
経常利益23億6,300万円16億4,300万円+43.8%
純利益16億7,000万円11億2,000万円+49.1%

売上が2割増えて、利益が5割近く増えています。営業利益率は7.6%から9.2%へ上がりました。これは私の割り算です。同じ日に通期予想の上方修正と、年間55円への増配が出ています。1ページ目は文句のつけようがありません。

儲かった半年で、現金は27億円出ていっています

短信の9ページ目、キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローが、27億2,582万円のマイナスでした。前年の同じ半年は6億365万円のマイナスでしたから、赤字幅は4倍を超えています。

原因は一つの行にほぼ集まっています。棚卸資産の増加額が47億3,504万円です。税引前の利益23億6,005万円が丸ごと現金で入ってきたとしても、その倍の額が土地と建てかけの家に変わった、という計算になります。ここまでは計算書の数字です。

私は2023年に、増収増益で1ページ目が完璧だった会社の営業キャッシュ・フローがマイナスだったのを見て以来、必ずここへ来るようになりました。ただ、あのときとこの会社は違います。あのときは売上が立っているのに現金が入ってこなかった。今回は現金は入ってきていて、それより速く土地を買っています。同じマイナスでも、中身が逆です。

買った土地と、建てかけの家の中身

貸借対照表の7ページ目で、何が増えたのかを確かめました。

科目前期末今回増減
販売用不動産103億5,650万円125億6,221万円約+22億円
仕掛販売用不動産154億5,665万円179億8,598万円約+25億円
現金及び預金62億8,917万円65億7,878万円約+3億円

約の付いた数字は、今回から前期末を私が引いたものです。

販売用不動産は売れる状態になった家と土地、仕掛販売用不動産はまだ建てている途中のものです。両方が同じくらい増えているので、完成在庫が売れ残って積み上がった形ではありません。仕込んで、建てて、売る、という流れが半年で一段太くなった形です。

……いや、これは太くなりすぎではないか。半年で47億円は、年間の営業利益予想の50億円とほぼ同じ額です。

その金は借入で埋めています

現金が出ていったぶんを何で埋めたか。財務活動の欄に、長期借入れによる収入が104億2,885万円、返済による支出が71億6,140万円とあります。差し引きで33億円ほどを新たに借りて、それで棚卸資産の増加を賄った形です。前年の同じ半年は借入の収入が65億5,070万円でしたから、借りる額も1.6倍に膨らんでいます。私の割り算です。

利息にも出ています。損益計算書の営業外費用で、支払利息が1億1,947万円から1億7,679万円へ増えました。1.5倍近い伸びで、営業利益の伸びとほぼ同じ速さです。営業利益25億1,300万円に対しては7%ほどなので、まだ利益を削る大きさではありません。ただ、借りて仕入れて売る商売なので、金利が上がればこの行が最初に動きます。

もう一つ、返済の近さを見ておきます。1年内に返す予定の長期借入金が105億1,331万円で、現金及び預金65億7,878万円を上回っています。在庫を持つ住宅会社では珍しくない形です。売った家の代金で返して、また借りる、が回っている限りは問題になりません。回らなくなるとすれば、家が売れなくなったときです。

会社はどう説明しているか

短信の5ページ目に、棚卸資産が増えた説明はあります。仕掛販売用不動産が25億2,933万円、販売用不動産が22億571万円増えた、と数字で書いてあるだけです。なぜ増やしたのかの理由は短信にはありません。

理由は説明会資料のほうにありました。「受注・販売を見込んで仕入を大きく増やした」と書いてあります。説明会資料の数字で言うと、受注高と受注棟数が中間期として過去最高で、分譲住宅の受注棟数は前年同期比で18%増えたともあります。言い分は、売れる見込みがあるから土地を買った、です。

売れているという裏付けは、短信の損益計算書にあります。売上総利益は41億5,239万円から53億610万円へ増えました。粗利率は18.2%から19.4%へ上がっています。私の割り算です。売上が伸びて、単価も上がって、粗利率も上がった。会社は「商品の付加価値を高めて販売単価が上昇している」と書いていて、粗利率の動きはその説明と合っています。

だから、この説明はいったんそのまま受け取ります。留保を付けるとすれば一点だけで、その土地が今の単価のまま売れるかどうかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。それは会社にも分からないことです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

上期実績通期予想進捗率残り6か月に必要な額
売上高273億7,100万円565億円48.4%291億2,900万円
営業利益25億1,300万円50億円50.3%24億8,700万円

進捗率は上期を通期予想で割ったもの、残りの額は通期予想から上期を引いたもので、どちらも私の計算です。

上方修正のあとで、ちょうど半分まで来ています。残り6か月に必要な売上は前年の下期に比べて13%増で、上期の19.7%増より低い置き方です。営業利益は23%増が要る計算になります。上期の45%増から見れば、後半は伸びを緩めた予想です。無理な数字には見えません。

会社が下期を上期より控えめに置いた理由は、短信には書かれていません。私は慎重さのほうだと考えています。理由は、残りの半年に要る伸びが上期より低いだけで、減るわけではないからです。悪い材料を見込んでいるなら、下期を前年割れに置くはずです。

私はどう読んだか

現金が27億円減った半年を、私は前向きに受け取っています。理由は、減った現金が土地と建てかけの家に変わっていて、その家が前年より高い単価で売れていることが損益計算書に出ているからです。売れていない在庫が積み上がったのなら販売用不動産だけが膨らむはずで、そうはなっていません。

引っかかったのは、支払利息の増え方です。営業利益と同じ速さで増えている費用は、営業利益の伸びが止まったときに一人で増え続けます。ここは心配性の私が、次の決算でも真っ先に開く行になります。

上がるかは知りません。半年で47億円分の土地を借金で仕入れた、ということだけを手元に置いておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://ir.arrplanner.co.jp/ja/ir/news/auto_20260909533539/pdfFile.pdf

注文住宅の受注残高が過去最高だと説明会資料にあるのに、貸借対照表の前受金がほぼ横ばいなのはなぜか――は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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