三和油化工業(4125)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置いた上期予想が腑に落ちない

三和油化工業(4125)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置いた上期予想が腑に落ちない 決算を読む

工場で使い終わった液を、もう一度使える液に戻す会社

三和油化工業は、工場で使い終わった溶剤や薬品を引き取っています。蒸留などで不純物を抜き、もう一度使える液に戻す会社です。洗浄に溶剤を大量に使うメーカーから見ると、廃液を処理してもらえて、戻ってきた液をまた買える相手になります。

最近の取引先で大きいのは、半導体や電池、電子部品の工場です。こうした工場は純度の高い薬品をたくさん使い、使い終わった分の行き先に困ります。この会社は、その廃液の引き取りと、高純度の薬品を納める仕事の両方を手がけています。

ほかに、廃液からの金属の回収や、汎用の化学品・加工油の販売もしています。化学プラントを解体するときの清掃や廃棄物処理も請け負っています。本社の工場は愛知県にあり、北九州市では新しい再資源化工場を建てている最中です。

売上は6割増え、営業利益は3倍を超えました

8月7日に出た、2027年3月期の第1四半期決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高64億8,300万円40億900万円+61.7%
営業利益6億9,100万円2億2,200万円+210.1%
経常利益6億9,400万円2億4,400万円+183.7%
純利益4億3,500万円1億3,800万円+215.3%

4行とも大きく伸びています。ここまでは表紙だけで分かる話です。

増えた売上の3分の2は、子会社を加えたリユース事業から

短信の4ページ目には、事業を5つに分けた売上が載っています。

事業今回前年同期増減率
リユース26億3,700万円約9億6,500万円+173.2%
リサイクル14億9,700万円約13億9,500万円+7.3%
ファインケミカル10億3,400万円7億8,900万円―
ベーシックケミカル7億9,900万円6億5,800万円―
エンジニアリング5億1,300万円約2億100万円+154.6%

約の付いた数字は、短信の増減率から私が割り戻したものです。ファインケミカルとベーシックケミカルは今期からの区分で、前年同期の欄は短信にある相当額です。

リユースの売上は、今回が26億3,700万円、前年同期が約9億6,500万円です。差し引くと、約16億7,200万円増えました。全体の売上は、前年同期の40億900万円から64億8,300万円になりました。増えた額は約24億7,400万円なので、その3分の2ほどがこの事業から来ています。

伸びた理由について、会社は2つ挙げています。昨年10月に大阪の金属リサイクル会社を完全子会社にして、貴金属やレアメタルの扱いが大きく増えたこと。それから、中東情勢でナフサの価格が上がり、再生溶剤の販売価格も上がったことです。

前者は、前年の4〜6月にはまだ無かった会社が加わった分です。後者は、原料の値段が動いた分です。どちらも、既存の工場で取扱量を積み上げた伸びとは性質が違います。地道に量を増やしているのは、7%増のリサイクル事業のほうです。

手元の現金は増えましたが、借りた額のほうが大きい

10ページ目まで行ったら、この短信にはキャッシュ・フロー計算書がありませんでした。注記に「作成しておりません」とあり、載っているのは減価償却費とのれん償却費だけです。現金の出入りは、貸借対照表の差から追うことになります。

現金及び預金は、3か月で9億5,300万円増えました。同じ間に、短期借入金が10億円、長期借入金が9億3,400万円増えています。借りた額が、増えた現金を上回っています。

使い道として見えるのは、まず在庫です。商品、仕掛品、原材料を足すと、3月末は15億8,400万円、6月末は21億2,100万円です。3か月で5億3,700万円増えました。設備の代金などの未払い分にあたる営業外電子記録債務も、4億9,000万円から2億2,200万円へ減っています。

支払利息は、前年同期の736万円から3,041万円に増えました。前年同期の4倍にあたります。建設仮勘定は32億円を超えています。借りたお金で工場を建てている時期の決算です。

5つの事業のうち3つに、中東情勢が効いている

会社の説明文では、中東情勢という言葉が3つの事業に出てきます。リユースでは再生溶剤の値上がり、ファインケミカルでは需要の増加、ベーシックケミカルでは原油価格の上昇による値上がりです。冒頭の景気の説明でも、中東情勢を「予断を許さない」と書いています。

説明は率直で、私はそのまま受け取ります。ただ、原料の値上がりで伸びた売上は、価格が下を向けば同じ道を戻ります。ここには留保を付けておきます。

エンジニアリング事業には、期限が書いてあります。PCB廃棄物の処理期限は2027年3月までで、会社自身が「伸長させることは厳しい」と書いています。今回の2.5倍は、解体や清掃の大型案件によるものです。PCBの仕事が期限で細っていく中、解体の仕事でそれを埋められるかは、この先の四半期で確かめる点になります。

上期予想から引くと、7〜9月の営業利益は前年の4割ほど

通期予想は5月15日に出たもので、今回は変えていません。

項目第1四半期通期予想進み具合残り9か月に必要な額
売上高64億8,300万円235億円約27.6%170億1,700万円
営業利益6億9,100万円17億円約40.6%10億900万円
経常利益6億9,400万円16億2,000万円約42.8%9億2,600万円
純利益4億3,500万円11億円約39.5%6億6,500万円

進み具合は、第1四半期を通期予想で割った私の計算です。3か月は1年の4分の1ですが、営業利益はすでに4割まで来ています。

引っかかったのは上期の予想のほうです。前年と並べると、この数字の変さがはっきりします。

表紙には、上期累計の営業利益予想が8億円、前年比+62.5%と載っています。前年の1.625倍という意味です。8億円を1.625で割り戻すと、前年の上期累計はおよそ4億9,200万円になります。前年の4〜6月は2億2,200万円でしたから、前年の7〜9月はおよそ2億7,000万円だったことになります。今年は、上期予想の8億円から4〜6月の6億9,100万円を引きます。残る7〜9月は1億900万円です。

営業利益4〜6月7〜9月上期累計
前年 実績2億2,200万円約2億7,000万円約4億9,200万円
今年6億9,100万円(実績)1億900万円8億円(会社予想)

売上は逆向きです。上期予想の116億5,000万円から第1四半期を引くと、7〜9月は51億6,700万円になります。同じように割り戻した前年の7〜9月は約42億7,700万円なので、2割ほど多く見込んでいます。売上を2割増やして、営業利益は前年の4割に落とす。……いや、これは変だ。

なぜそうなるのかは、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

5月に出した数字が、そのまま残っていると考えています

7〜9月に大きな費用や値下がりを会社が見込んでいるのか。5月の数字を動かしていないだけなのか。この2つのどちらかだと思います。

私は後者の見方をしています。理由は、子会社を加えた上乗せが7〜9月も続くからです。大阪の会社が加わったのは昨年10月なので、前年の7〜9月にはまだ入っていません。その分があるのに前年の同じ3か月を大きく下回るのは、短信の説明からは筋が通りにくいと考えました。

それでも心配はあります。第1四半期を押し上げたもう一方、ナフサや原油の値上がりは、会社が決められるものではありません。北九州の工場の立ち上げ費用がいつ出てくるのかも、短信には書かれていません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260805509914.pdf

上期予想で7〜9月の営業利益を前年の4割ほどに見込んだ理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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