AI CROSS(4476)2026年12月期 中間決算分析――利益倍増の中身を、分けて読みました

AI CROSS(4476)2026年12月期 中間決算分析――利益倍増の中身を、分けて読みました 決算を読む

スマートフォンに、銀行やアプリから短い番号が届くことがあります。本人確認のための番号です。電話番号だけで、相手がアプリを入れていなくても届く。この仕組みがSMSで、企業がSMSを大量に送るための土台を貸しているのがAI CROSSです。

借りる側は、金融や人材紹介のように、確実に届けたい連絡を持つ企業です。SMSの次の規格として、画像やボタンを載せられるRCSという方式も扱っています。ほかに、予測のためのAIを専門家でなくても使えるようにした道具と、昨年秋に子会社にした広告企画・制作の会社があります。

8月14日に出た中間決算です。表紙の営業利益が前年の2倍になっていて、何が起きたのかを確かめたくて、最後まで読みました。

この決算で何が起きたか

表紙の数字だけなら、文句のつけようがありません。

項目今回前年同期増減率
売上高25億5,500万円19億2,100万円+33.0%
営業利益3億3,900万円1億6,600万円+104.0%
経常利益3億3,800万円1億6,800万円+101.7%
純利益2億2,600万円6,800万円+231.3%

説明会資料には上場来最高と書いてあります。ただ、この会社は昨年10月に子会社を1社増やしていて、前年の数字にはその分が入っていません。そこから分けていきます。

増えた営業利益の3分の1強は、本社の費用が減った分でした

損益計算書を見ると、売上総利益は1億7,301万円増えています。一方で販売費及び一般管理費は、ほぼ動いていません。粗利の増えた分が、そっくり営業利益に落ちた形です。

その1億7,300万円がどこから来たかは、9ページ目のセグメント情報で分かります。

内訳前年同期今回増減
スマートメッセージング事業5億955万円5億5,960万円約+5,005万円
AIトランスフォーメーション事業△2,636万円196万円約+2,832万円
マーケティングソリューション事業3,352万円約+3,352万円
調整額(本社の費用)△3億1,659万円△2億5,517万円約+6,142万円
営業利益1億6,659万円3億3,992万円約+1億7,333万円

約の付いた数字は、短信のセグメント表から私が引き算したものです。

いちばん大きいのが調整額、本社の管理部門の費用です。6,142万円減っていて、増えた営業利益の3分の1強に当たります。主力のメッセージング事業の利益は1割の増加で、売上の伸び(+16.8%)より低い。ここに引っかかりました。

なぜ本社の費用が減ったのか。貸借対照表には、前期末に8,727万円あった株主優待引当金が、6月末には無くなっていると載っています。説明会資料には、前年の同じ時期に株主優待の関連費用が乗っていて、優待の廃止でそれが減った、とあります。……去年払っていたものが消えた分が、倍増の土台の1つになっている。

粗利率は、2.6ポイント下がっています

売上が33%増える間に、売上原価は38%増えています。粗利率で言えば37.7%から35.1%へ下がった計算で、これは私の割り算です。

理由は2つ考えられます。1つは子会社のロウプの分です。制作や広告の請負なので、利益率は1割ほどにとどまります。もう1つは主力の中身で、メッセージング事業の利益率も27.2%から25.5%へ下がっています。短信の説明文には「収益性の改善を進めております」とありますが、セグメントの数字はまだそちらを向いていません。

現金は本物です

営業キャッシュ・フローは2億2,252万円で、前年同期の479万円から大きく増えました。税引前利益が倍以上になったことに加え、法人税の支払いが1億3,491万円から7,527万円へ減っています。株主優待引当金の取り崩し8,727万円は、現金が出た側に載っています。

半年で現金が1億9,376万円増え、6月末で20億944万円です。借入金は半年で4,600万円返しています。利益の増え方が紙の上だけでないことは、ここで確かめられます。

会社はどう説明しているか

短信の説明文は「概ね当初計画どおり推移」で、通期予想は2月に出した数字から動かしていません。各事業については、メッセージングは国内顧客への注力と用途の拡大、AIは契約社数の増加、子会社は既存案件の深耕、と書いてあります。

説明会資料は、もう少し踏み込んでいます。第2四半期の3か月だけを取ると、売上は前四半期比で8%減、営業利益は27%減。前四半期に一時的なSMS配信の増加があったこと、AIの受託案件の獲得が遅れたこと、子会社の新規受注が計画を下回ったこと、の3つを挙げています。

さらに、2025年2月に出した中期経営計画に対して、今期の予想は売上で2億円、営業利益で1億5,000万円低く置いてある。RCSの法人利用が、計画時の見立てより時間を要しているから、と。ここまでは説明会資料の数字です。

私は、この最後の一点が気になります。理由は、短信の説明文がRCSを市場の伸びしろとして書いている一方で、説明会資料では同じRCSを中期計画の遅れの理由に挙げているからです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目今回通期予想進捗率残り6か月に必要な額前年の下期比
売上高25億5,500万円53億円48.2%27億4,500万円+23.1%
営業利益3億3,900万円6億円56.5%2億6,100万円+27.7%
純利益2億2,600万円3億6,000万円62.8%1億3,400万円+38.1%

進捗率と残りの額は、表紙の予想から私が引いた数字です。

営業利益は目安の5割を超えていて、残り6か月に要る2億6,100万円は前年の下期比で3割弱の増加です。上期が2倍だったことを思えば、低い置き方に見えます。

売上のほうは、前年の下期比で2割強の増加が要ります。残りの27億4,500万円を半分ずつ稼ぐとすると、第2四半期の3か月分12億2,400万円(説明会資料の数字)より1割ほど多い額が、四半期ごとに要る計算です。子会社が下期は丸ごと乗るとはいえ、主力の配信数の戻り方次第です。

私はどう読んだか

稼ぐ構造が変わった半期、と受け取るか。前年にあった費用が消えて、2倍に見えている半期、と受け取るか。

私は後者に近い見方をしています。理由は、増えた営業利益の内訳で本社費用の減少がいちばん大きく、主力の利益は1割しか増えていないうえ、粗利率も下がっているからです。

それでも、AI事業が赤字から黒字に変わったことと、営業キャッシュ・フローが本物であることは、退けられません。上がるかは知りません。心配性なので、次の短信では調整額の行を最初に開きます。去年の優待の費用は上期に乗っていたものなので、下期の比較にはその効果が出ません。そこで本業の伸びが裸で出るはずです。

出典:決算短信(会社発表)

https://aicross.co.jp/corporate/uploads/2026/08/45c0e512dddeca73ee153fe3af517a12.pdf

メッセージング事業の利益率が1.7ポイント下がった理由が、単価なのか、国内向けに絞った途中の費用なのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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