日置電機(6866)2026年12月期 中間決算分析――受注が売上を追い越したと読みました

日置電機(6866)2026年12月期 中間決算分析――受注が売上を追い越したと読みました 決算を読む

日置電機は、電気を測る道具を作っている会社です。電気工事の人が配電盤に挟んで電流を確かめるクランプメータ、電子部品メーカーが出荷前に抵抗の値を確かめる抵抗計、電池の生産ラインで一つずつ安全性を試す試験器、スマートフォンやサーバーの基板を量産するときに不良を自動で見つける検査装置。どれも店頭には並びません。買うのは、現場で電気を扱う人と、何かを大量に作って出荷前に検査しなければならない工場です。

いま増えているのは、データセンターの電源設備の点検と、電力を貯めておく蓄電システムの検査だと短信にあります。電気を使う場所が増えれば、電気を測る場面も増える。そういう位置にいる会社です。

この決算で何が起きたか

7月15日に出た、2026年12月期の中間決算です。売上が2割強増えて、利益はそれより速く増えました。

今回前年同期増減率
売上高241億2,900万円195億3,800万円+23.5%
営業利益50億5,300万円32億9,300万円+53.5%
経常利益52億8,300万円32億7,300万円+61.4%
純利益39億9,000万円22億9,700万円+73.7%

営業利益率は前年同期の16.8%から20.9%へ上がりました。売上総利益は126億100万円でした。前年の100億4,300万円から、25億5,700万円の増加です。販売費及び一般管理費は67億5,000万円から75億4,700万円へ増えました。増えた額は7億9,600万円です。粗利の増えた分に対して、費用の増えた分は3分の1で済んでいます。ここまでは損益計算書の引き算です。

受注が、売上を追い越しています

1ページ目の業績表に、受注は載っていません。4ページ目に製品群ごとの受注高と売上高の表があって、ここで引っかかりました。半年間の受注高は272億5,008万円で、前年同期から4割近く伸びています。売上の伸びが2割強ですから、受注のほうが速い。受注高から売上高を引くと、およそ31億円の注文が売上より先に積み上がった半年だと分かります。

製品群受注 前年同期受注 今回受注の増減率売上の増減率
自動試験装置13億9,738万円31億7,683万円+127.3%△6.0%
記録装置30億5,557万円33億3,400万円+9.1%+12.1%
電子測定器99億5,211万円143億2,491万円+43.9%+34.9%
現場測定器41億8,528万円52億1,667万円+24.6%+22.1%
合計196億7,302万円272億5,008万円+38.5%+23.5%

記録装置と現場測定器は、受注と売上がほぼ同じ速さで伸びています。電子測定器は受注のほうが1割ほど速い。そして自動試験装置だけが、受注が2倍を超えたのに売上は減っています。

自動試験装置は、注文が来たのに売上が減っています

自動試験装置は、基板の量産ラインで不良を見つける装置です。受注高は13億9,738万円から31億7,683万円へ増えました。一方で売上高は17億5,958万円から16億5,356万円へと減っています。減り幅は6%です。

会社の説明は4ページ目に1段落あります。データセンター向けにサーバーやネットワーク機器が増えて、電子部品メーカー向けの検査装置の注文が大きく伸びた。ただしこの装置は作るのに時間がかかるうえ、顧客の指定する納期の関係で、受けた注文の多くが半年末より後の納入になった、というものです。

……注文は先に来て、品物はまだ工場の中にある、ということか。

貸借対照表もそれに合っています。商品及び製品が14億1,069万円から18億1,984万円へ増えていて、会社は総資産が増えた理由にこれを挙げています。作って、まだ納めていないものが積み上がっている、と受け取りました。

地域の表でも同じ形です。台湾の受注が5億9,825万円から18億2,283万円へ増えました。3倍です。売上のほうは9億9,737万円で4割強の増加にとどまります。台湾は受注の進み方が他の地域を大きく上回っている、と会社側も書いています。どの地域でも、注文が売上より先を走っている半年でした。

純利益の7割増しには、本業の外の分が乗っています

営業利益は5割増し、純利益は7割増しです。この差は本業の外にあります。

営業外費用が2億1,644万円から1,142万円へ減りました。前年に2億1,086万円あった為替差損が今年は消えて、逆に4,235万円の為替差益が営業外収益に載っています。前年は円高で損を出し、今年は円安で益が出た。この差だけで、経常利益は営業利益より速く伸びます。

税金も軽くなっています。法人税等の合計は9億7,386万円から12億5,902万円へ増えましたが、税引前利益に対する割合で比べると、前年は約3割、今年は約4分の1です。税引前利益と法人税等の2行から、私が割った数字です。差の中身は法人税等調整額で、前年の5億4,814万円が今年は2億2,641万円でした。なぜ小さくなったかは、短信には書かれていません。

営業利益の5割増しが本業で、そこに為替と税金が上乗せされて7割増しになった、というのが損益計算書の筋です。

現金は、自社株と配当を払ってなお増えています

営業活動によるキャッシュ・フローは48億7,800万円の収入でした。前年同期の22億3,400万円から、2倍を超えています。利益が増えた分に加えて、仕入債務が5億7,200万円増えています。買った部材の支払いを、まだ済ませていない分です。逆に賞与引当金は6億2,400万円減っていて、前の期の賞与を払った分が出ていったことになります。

使ったほうも大きい。設備投資などに21億3,200万円を使いました。自社株の取得に10億7,659万円、配当に13億5,263万円も払っています。合わせると営業の収入に近い額です。それでも現金及び現金同等物は4億9,700万円増えて、172億2,000万円で半年を終えました。稼いだ現金の範囲で、投資と株主への支払いの両方をやっています。

会社はどう説明しているか

会社は、コンポーネント市場でデータセンター向けの受動部品の需要が急に拡大したこと、バッテリー市場で蓄電システム向けが急伸したことを増収の理由に挙げています。円安による換算の影響も増収に寄与した、と自分から書いています。増収のうち為替がいくらかは、短信には書かれていません。

受注の説明は疑っていません。理由は、受注の伸びと製品在庫の増加と自動試験装置の売上減が、同じ話を三方向から指しているからです。

一方で、6ページ目に気になる一文がありました。部品代が直近でわずかに上がる傾向にあり、今後の動向によっては通期の営業利益に影響を及ぼす可能性がある、というものです。上期の利益率は上がった。下期は部材が高くなるかもしれない。会社が自分で書いた心配を、そのまま受け取っています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

6月5日に上方修正した予想を、今回は動かしていません。

通期予想上期実績進捗率残り6ヶ月に必要な額残りの前年比
売上高477億円241億2,900万円約50.6%約235億7,100万円約+12.3%
営業利益95億円50億5,300万円約53.2%約44億4,700万円約+27.1%
純利益75億4,000万円39億9,000万円約52.9%約35億5,000万円約+12.4%

約の付いた数字は、表紙の通期予想と上期実績から私が引いたり割ったりしたものです。

売上は残り6ヶ月で235億7,100万円あれば届き、それは前年の下半期より1割強多い水準です。営業利益は44億4,700万円で、前年の下半期より3割近く多く要ります。上半期は5割増しでしたから、下半期は勢いが落ちる置き方になっています。部品代の一文とも合っています。

私はどう読んだか

売上は届くと考えています。理由は、半年の受注が売上をおよそ31億円上回っていて、そのうち自動試験装置の納入がはっきり下半期に回っているからです。注文はすでに手元にあります。

営業利益のほうは、上半期と同じ利益率のままでは届かないと考えています。受注が売上に変わるとき、部品代が上がっていれば利益率はその分だけ削られます。上半期の20.9%がそのまま続くとは、会社も見込んでいません。心配性なので、受注の表より部品代の一文のほうが頭に残っています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260715/140120260715594249.pdf

受けた注文のうち、6月末の時点でまだ納めていない分がいくら残っているかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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