ジーダット(3841)2027年3月期 第1四半期決算分析――残り9か月の置き方が引っかかる

ジーダット(3841)第1四半期決算分析――営業利益2.3倍の四半期のあとに、残り9ヶ月へ置かれた営業利益は33百万円 決算を読む

半導体の中には、回路が何万、何億と描き込まれています。あれを人の手で一本ずつ引くのは無理なので、設計者は専用のソフトの上で図面を描き、確かめ、直します。この種のソフトをEDAと呼びます。ジーダットは、そのEDAを自分で作って売っている会社です。

得意にしているのはアナログ半導体と、液晶パネルの設計です。デジタルの回路が0と1で片付くのに対して、アナログの回路は電圧や電流の細かな加減が要り、設計者の経験に頼る部分が大きくなります。そこにAIを持ち込んで手作業を減らそう、というのがいまの取り組みです。

買うのは半導体や電子部品のメーカーの設計部門です。一度入れると乗り換えにくい種類の道具です。ソフトを売るだけでなく、設計そのものを引き受ける仕事もしています。

7月31日に出た第1四半期の短信を読みました。お客の業界について、AI向けは堅調、スマートフォンやパソコンや産業機械向けは低迷が続いて二極化している、と書いています。主力ソフトの新しい版を6月に出した、ともあります。

この決算で何が起きたか

売上が2割増えて、営業利益が2.3倍になりました。

項目今回前年同期増減率
売上高7億200万円5億8,800万円+19.4%
営業利益2億5,700万円1億1,100万円+130.8%
経常利益2億6,100万円1億600万円+144.5%
純利益1億7,900万円7,600万円+134.2%

売上と利益の伸びの差がどこから出たのかは、1ページ目には書いてありません。

増えた利益は、原価と販管費の両方から出ている

損益計算書を開くと、売上が増えたのに、売上原価は逆に減っています。販管費も減りました。

項目今回前年同期
売上高7億255万円5億8,838万円
売上原価1億7,839万円1億9,553万円
売上総利益5億2,415万円3億9,284万円
販売費及び一般管理費2億6,655万円2億8,123万円
営業利益2億5,760万円1億1,161万円

営業利益の増え幅は1億4,600万円です。その内訳は、粗利の増加が1億3,100万円で、販管費の減少が1,500万円です。表の数字から引いた、私の引き算です。ソフトを売る商売なので、同じ製品が一本多く売れても原価はほとんど増えません。今回はそれが数字にそのまま出ています。

経常利益の上乗せは、為替差益より前年の差損が消えた分

説明文には「為替差益等により」とあります。ただ営業外の内訳を開くと、今回の為替差益は157万円です。前年の同じ時期には為替差損が492万円あり、その他の営業外費用も183万円ありました。今回はどちらもゼロです。

つまり、去年あった損が今年は無かった、その分の上乗せです。金額は数百万円で、営業利益の前では誤差に近い水準です。……いや、この大きさなら、わざわざ書かなくてもよかったのではないか。

前受金が増え、現金も増えている

貸借対照表で動いたものを並べます。

項目3月末6月末動き
現金及び預金27億4,432万円28億4,237万円9,800万円増
受取手形及び売掛金2億6,017万円3億5,435万円9,400万円増
電子記録債権1億2,832万円6,197万円6,600万円減
前受金3億9,370万円4億5,352万円5,900万円増
賞与引当金9,940万円4,845万円5,000万円減

「動き」の列は、短信の説明文に載っている増減額です。

売掛金は増えましたが、電子記録債権が減っているので、売り上げてまだ回収していない分の合計は2,800万円ほどの増加です。売上の伸びに対して、むしろ回収は進んでいます。賞与を払って、それでも現金は増えました。

私が目を止めたのは前受金です。保守や利用料を先にもらった分がここに積まれ、あとから売上に振り替わります。それが3か月で増えました。次の四半期以降の売上の種が、減っていないということです。

もう一つ、純資産の側で小さな確認をしました。純利益に対して、利益剰余金は2,500万円しか増えていません。差の1億5,400万円は前期末配当です。1株40円に期中平均の384万9,328株を掛けると1億5,397万円になり、ぴたりと合います。

なお、この短信にキャッシュ・フロー計算書はありません。第1四半期は作成していない、と注記にあります。現金が増えた中身は、この書類では営業と投資に分けて確かめられません。

会社はどう説明しているか

4ページ目に、増収の理由がはっきり書いてあります。5月に自社製品の大型案件を受注し、売り上げたこと。営業利益が伸びたのは、その案件が高粗利だったこと。会社が自分から「一件の話です」と言っているに等しい文章です。

これはそのまま受け取ります。理由は、損益計算書の形と食い違っていないからです。

ただ、同じような案件が続く見込みがあるのかは、短信には書かれていません。表紙には補足説明資料も決算説明会も「無」とあり、今回出た書類はこの短信だけです。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目第1四半期実績通期予想進捗率残り9か月に必要な額
売上高7億200万円22億円約32%約14億9,800万円
営業利益2億5,700万円2億9,000万円約89%約3,300万円
経常利益2億6,100万円3億円約87%約3,900万円
純利益1億7,900万円2億1,000万円約85%約3,100万円

約の付いた数字は私の計算です。進捗率は第1四半期実績を通期予想で割り、残りの額は通期予想から第1四半期実績を引きました。

売上は3分の1弱、営業利益は9割近くまで来ています。それでも会社側は、5月15日に出した予想を動かしませんでした。残りの9か月で営業利益3,300万円。ここで引っかかりました。

前期と並べると、この置き方の低さがはっきりします。今期の予想は前期比+11.3%と表紙にあるので、通期予想をこの増減率で割り戻すと、前期の通期営業利益が出ます。そこから前期の第1四半期を引くと、前期の残り9か月は約1億4,900万円稼いだことになります。今期の同じ9か月に置かれているのは3,300万円で、8割近く少ない数字です。

営業利益第1四半期7月から3月通期
前期 実績1億1,100万円約1億4,900万円約2億6,000万円
今期 会社予想2億5,700万円約3,300万円2億9,000万円

約の付いた数字は、表紙の増減率+11.3%から私が割り戻したものです。

大型案件が二度と来ないとしても、前期並みの商売が続くだけで、残り9か月の利益は3,300万円をかなり上回るはずです。……それでも動かさなかった。短信には理由が書いてありません。

私はどう読んだか

予想が古いのか、後半に悪い材料を見込んでいるのか。この二つのどちらかだと思います。

私は前者だと考えています。理由は、残り9か月を3,300万円まで押し下げる要因が、この短信の中に見当たらないからです。大型案件一件を織り込まないまま、5月15日の予想がそのまま表紙に残っている、と私は読みました。

それでも心配性なので、後者を捨て切れずにいます。主力ソフトの新しい版を出した直後ですから、開発費や販売の費用を後半に見込んでいるのかもしれません。それが本当なら、次の第2四半期の販管費の行に出るはずです。上がるかは知りません。私が待っているのは、11月に出る短信のその一行です。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260717596131.pdf

5月の大型案件がいくらで、どの分野の顧客向けだったのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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