鎌倉新書(6184)2027年1月期 中間決算分析――16万8,000円で買った会社が引っかかる

鎌倉新書(6184)2027年1月期 中間決算分析――16万8,000円で買った会社が引っかかる 決算を読む

鎌倉新書は、お墓と仏壇と葬儀を探すためのサイトを運営しています。親を亡くした人が検索した先に出てくる紹介サイトの一つです。紹介した霊園や葬儀社から手数料を受け取り、掲載の広告料も収入になります。

数年前から、その周りに手を広げています。相続や不動産の相談、介護施設の紹介、自治体と組んで住民の終活相談を引き受ける事業。短信の説明文では、自分たちの仕事を「終活インフラ」と呼んでいます。

9月10日に出た中間決算です。私は表紙の表で一度読み違えました。そこから始めます。

表紙の表は、営業利益が3列目にあります

この会社の表紙の業績表は、売上高の次が「調整後EBITDA」で、営業利益はその右です。調整後EBITDAは、営業利益に減価償却などの現金の出ない費用を足し戻した数字だと、表の注にあります。私は最初、9億9,500万円を営業利益と取り違え、利益率が2割を超えていると感心しました。違いました。営業利益は7億9,900万円です。

項目今回前年同期増減率
売上高45億9,600万円40億1,700万円+14.4%
営業利益7億9,900万円5億9,000万円+35.3%
経常利益8億800万円5億9,000万円+37.0%
純利益5億3,100万円3億8,400万円+38.4%

利益の伸びが売上の伸びを上回ったのは、売上原価と販管費の伸びがどちらも売上より小さかったからです。純利益の手前には、非支配株主に帰属する利益が2,216万円あります。どの子会社の分なのかは、短信には書かれていません。

営業キャッシュ・フローが減ったのは、前年の売掛金回収の反動が大きい

キャッシュ・フロー計算書へ行くと、税引前の利益が2億2,000万円ほど増えたのに、営業活動で得た現金は減っています。差が出た場所を表にしました。

営業CFの中身前年上期今期上期
税金等調整前中間純利益5億8,219万円8億424万円
売上債権の増減+1億3,055万円△4,556万円
前払費用の増減△268万円△5,094万円
未払費用の増減+284万円△5,437万円
保証履行引当金の増減△2,334万円△6,419万円
法人税等の支払額△1億6,322万円△2億3,313万円
営業活動によるCF6億6,301万円4億7,302万円

前年は売掛金の回収が進んで現金が入る側にあり、今年は売上が伸びたぶん売掛金が増えました。ここは珍しくありません。保証履行引当金の減りは、何の保証なのかが短信に書かれておらず、分かりませんでした。

半年で減った現金の行き先は、配当でした

現金全体では、半年で5億7,901万円減って36億1,448万円です。無形固定資産の取得に2億4,324万円を使っていますが、それより大きな支出は、4月に払った配当8億2,389万円でした。

配当は年1回なので半期の利益と並べるのは公平ではありませんが、通期予想の純利益11億円と比べても4分の3ほどを配る計算です。利益剰余金は上期の純利益を積んでなお、2億9,248万円減りました。

配当の総額が増えた理由は、株数にあります。前年上期の平均株数は3,707万株、今年は4,119万株です。1割ほど増えた株数に同じ20円を払ったので、総額が7億4,150万円から増えました。株数がなぜ増えたのかは、この短信には書かれていません。

16万8,000円で買った会社に、1億1,620万円の負債が付いていました

ここがいちばん引っかかった場所です。注記に、7月6日付で株式会社366という樹木葬と納骨堂の事業者を100%子会社にした、とあります。払った対価は現金で16万8,000円でした。一社を丸ごと買う値段としては、ほとんどゼロです。

その理由は、同じ注記の数字にあります。受け入れた資産の合計は4,984万円、引き受けた負債の合計は1億1,620万円です。引き算をすると、負債のほうが6,636万円多いことになります。

発生したのれんは6,653万円です。6,636万円に対価の16万8,000円を足すと、ほぼ同じ金額になります。値段は16万8,000円でも、実際に背負ったのは6,600万円あまりの負債超過分です。

……いや、それだけではない。貸借対照表には、期首にゼロだった長期借入金3,871万円と長期預り金2,059万円が、期末に現れています。財務活動のキャッシュ・フローには借入の実行が無く、返済だけ5,792万円が載っています。366の帳簿にあった借入を連結で引き取った、と私は読みました。

流動資産にも、仕掛販売用不動産3,113万円などの科目が新しく載っています。樹木葬の区画かもしれません。のれんは5年で均等に償却するので、6,653万円を5年で割った1,330万円ほどが、毎年費用として乗ります。買った理由として短信に書いてあるのは、既存のお墓事業との相乗効果、という一文だけです。

伸びた3つの事業と、名前の出なかった事業

会社の説明文は、伸びた事業を3つ挙げています。

説明文に名前の出た事業売上の伸び(前年同期比)
介護事業+59.2%
官民協働事業+34.1%
葬祭事業+20.8%
全体+14.4%

3つとも全体の伸びを大きく上回ります。ということは、名前の出なかったお墓と仏壇の紹介は、全体より遅かったことになります。単一セグメントのため事業ごとの売上高は短信に載っておらず、遅かった側がどれだけ伸びたのかは分かりません。

通期予想の据え置きには、下期に4割近い増収が要ります

通期予想上期実績進み具合残り6か月に要る額
売上高105億円45億9,600万円約44%約59億400万円
営業利益17億円7億9,900万円約47%約9億100万円
純利益11億円5億3,100万円約48%約5億6,900万円

約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引いたり割ったりした、私の計算です。

利益は半分近くまで来ていて、この時期の目安どおりです。引っかかるのは売上です。

通期予想の増減率は+26.0%です。105億円を1.26で割ると、前期の通期は約83億3,300万円です。そこから前期上期の実績40億1,700万円を引いた前期下期は、約43億1,600万円です。残りに要る59億400万円は、それより4割近く多い金額です。

7月から連結した366は資産5,000万円ほどの規模で、この差を埋める大きさではありません。下期に何が乗る見込みなのかは、短信には書かれていません。予想は3月12日に出したものから据え置き、と一行あるだけです。

私はどう読んだか

下期に大きな売上を見込んでいるのか、期初の置き方が高かったのか。私は後者の見方をしています。理由は、介護が6割伸びても全体は1割半しか動かない構成だからです。その構成で下期だけ急に4割近く伸びる材料は、説明文にも注記にも見当たりません。

ただ、利益は目安どおりで、現金も36億円あります。心配なのは売上の置き方と、16万8,000円で連れてきた負債の中身です。表紙に、補足説明資料が有ると書いてあるので、そちらは別の夜に読みます。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信
株式会社鎌倉新書の決算短信をご紹介しています。鎌倉新書は、人と人とのつながりを感じる場面づくりのお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献します。

株式会社366の負債1億1,620万円の中身と、その返済がどこから出るのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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