はじめに
親を施設に入れるかどうか、という話は、たいてい急に来ます。退院の日が決まった、夜中に転んだ、介護をしている母のほうが先に倒れそうだ。そのとき家族は、施設の種類も費用の目安も知らないまま、数日で決めることになります。
笑美面は、その場面に相談員を出す会社です。家族と対面で「家族会議」と呼ぶ相談をして、条件に合う施設を紹介します。家族の側は無料、と短信にあります。働きながら介護する人や、高齢者が高齢者を看る家庭の負担を減らす仕事だ、というのが自社の説明です。
もう一つ、施設を新しく開こうとする事業者や土地の持ち主に向けたコンサルもあります。建物を丸ごと借り上げて介護事業者に貸す仕組みも、この期に始めました。家族に施設を紹介する側と、施設を増やす側の、両方に立っています。
この決算で何が起きたか
2026年9月14日に出た、第3四半期の決算短信です。2025年11月から2026年7月までの9か月分になります。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(営業収益) | 17億6,500万円 | 12億9,600万円 | +36.2% |
| 営業利益 | 9,200万円 | 1,800万円 | +400.5% |
| 経常利益 | 8,900万円 | 1,700万円 | +409.6% |
| 純利益 | 4,800万円 | 1,400万円 | +235.3% |
売上が4割近く増えて、営業利益は5倍になりました。売上の伸びより利益の伸びがはるかに大きい。費用の伸びが売上の伸びに追いつかなかった、という形の数字です。中身は次の節にあります。
損失だった主力が、利益に変わっていた
売上の大半は、家族に施設を紹介するシニアライフサポートです。前年の同じ9か月、この主力は5,687万円の損失でした。それが今回は3,355万円の利益です。営業利益が5倍になった中身は、ほぼこれ一つだと分かります。
| セグメント | 営業収益(今回) | 増減率 | 利益(今回) | 利益(前年同期) |
|---|---|---|---|---|
| シニアライフサポート | 14億8,638万円 | +35.7% | 3,355万円 | △5,687万円 |
| シニアホームコンサルティング | 2億7,928万円 | +38.9% | 5,892万円 | 7,531万円 |
出どころは短信の10ページと11ページ、セグメント情報の注記です。
件数のほうも載っています。対面相談の「家族会議」が7,975件で2割強増え、成約にあたる「スマイル数」が4,556件で3割半増えました。相談より成約のほうが速く伸びている、ということです。相談員が慣れて、決まる率が上がった数字だと受け取りました。
一方のコンサルは、売上が4割近く増えたのに利益が2割減っています。新規開設につながった居室数は728件で、前年より1割減りました。建物の借り上げ転貸は6棟・300室を受注していますが、「多くの収益の計上は来期以降」と自分で書いています。今期の利益を支えたのは主力のほうです。
現金は増えていますが、借入はもっと増えています
貸借対照表に引っかかりました。現金及び預金が9億1,555万円で、期首から2億5,829万円増えています。ただ、同じ期間に短期借入金が新しく4億5,000万円立っています。前の期末にはゼロだった科目です。
| 科目 | 期首(2025年10月末) | 今回(2026年7月末) |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 6億5,725万円 | 9億1,555万円 |
| 短期借入金 | ― | 4億5,000万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 2,818万円 | 1億110万円 |
| 長期借入金 | 9,734万円 | 2億3,365万円 |
使い道は注記にあります。ケアミックスという会社を買った現金が3億48万円、自分の株を買い戻した分が1億2,466万円です。自己資本比率は59.0%から38.6%へ落ちました。支払利息も102万円から305万円へ増えています。
第3四半期なのでキャッシュ・フロー計算書は作られていません。ですから、本業でいくら現金を稼いだかは、この短信からは分かりません。借りて、買って、残りが積み上がっている、という形までしか読めません。
買った会社は、去年の営業利益が170万円でした
ケアミックスは首都圏で約30名の相談員を抱える、同じ入居紹介の事業者です。買収額は3億4,535万円です。このうち現金で払ったのが3億48万円です。残りは自己株式を4,487万円分渡しています。そして、直近1年の数字が短信の15ページに載っています。
| ケアミックス 2025年5月期 | |
|---|---|
| 売上高 | 5億4,890万円 |
| 営業利益 | 170万円 |
| 当期純利益 | 22万円 |
| 純資産 | 1億3,490万円 |
……いや、170万円は年間の数字だ。
のれんが2億7,880万円出ています。10年の均等償却なので、2億7,880万円を10で割って、年に約2,788万円が費用になります。日本基準では、のれんの償却は営業費用に入ります。去年170万円の営業利益しか出せなかった事業者を連結して、そこに年2,788万円の償却が乗るわけです。
第3四半期の損益計算書には、この分はまだ入っていません。みなし取得日が7月31日で、貸借対照表だけを連結しているからです。損益が乗るのは第4四半期からになります。売上は増えるはずですが、利益は、去年の数字を見る限り、ほとんど足しになりません。
さらに11月1日には、入居紹介の事業だけを親会社が吸収し、ケアミックスには看護師を活用した事業が残ります。その入居紹介がいくら稼いでいたのか、短信には「事業単位での業績は集計しておりません」とあります。5億4,890万円のうち、どれだけが本業と重なるのかは、これでは分かりません。
会社はどう説明しているか
主力が利益に変わった理由を、「入社歴の浅いコーディネーター人材の育成が進み、戦力化した人材の比率が上昇した」と書いています。これは受け取ってよい説明だと考えています。理由は、相談件数より成約件数のほうが速く伸びていて、人が育つと起きる形と一致しているからです。
コンサルの利益が2割減った理由は、短信には書かれていません。居室数が減ったことと、リースの収益が来期以降だということが、並んで書いてあるだけです。
そして通期予想は「2025年12月12日に公表した予想から変更はない」とだけあります。12月は、ケアミックスの買収を発表した5月より前です。いまの予想が買収後の形に置き直されたものなのかは、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらにあるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 項目 | 通期予想 | 9か月累計 | 進捗率 | 残り3か月に必要な額 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26億8,100万円 | 17億6,500万円 | 65.8% | 9億1,600万円 |
| 営業利益 | 2億1,800万円 | 9,200万円 | 42.2% | 1億2,600万円 |
| 経常利益 | 2億900万円 | 8,900万円 | 42.6% | 1億2,000万円 |
| 純利益 | 1億6,900万円 | 4,800万円 | 28.4% | 1億2,100万円 |
進捗率と残り3か月の額は、表紙の通期予想から私が引き算・割り算したものです。
9か月で75%が目安の時期に、営業利益は42.2%です。残り3か月に必要な1億2,600万円は、これまでの9か月で稼いだ9,200万円より多くなります。純利益はさらに開いていて、残り1億2,100万円は9か月分の2倍半です。
純利益の進み方が営業利益より鈍いのは、税金です。前年は法人税等調整額が2,624万円のマイナスで税負担を軽くしていたのが、今回は1,764万円のプラスに振れています。ここは損益計算書の数字で、本業の話ではありません。
第4四半期からはケアミックスの売上が乗ります。売上の残り9億1,600万円は前年の同じ3か月から6割近い伸びが要る計算ですが、買収分で埋まる部分があるはずです。ただし利益のほうに乗るのは、去年170万円だった営業利益と、年2,788万円の償却です。予想の利益に届くとすれば、主力が自力で稼ぐことになります。
私はどう読んだか
主力の改善は本物で、予想のほうが古い、という見方をしています。理由は、増えた利益が営業外でも特別利益でもなく、相談員が成約を積み上げた売上と、それを下回る費用の伸びから出ているからです。人が育った分は、3か月で消える種類のものではありません。
それでも、残り3か月の置き方は腑に落ちないままです。買収前に立てた予想を、借入で財務の形が変わったあとも動かしていません。第4四半期に1億2,600万円を稼ぐ根拠が主力にあるのか、それとも予想がそのままなのか。心配性なので、私は後者を頭の片隅に置いています。
出典:決算短信(会社発表)

今回わからなかったこと:第4四半期に乗るケアミックスの売上のうち、通期予想にいくら織り込まれているのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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