AREホールディングス(5857)2027年3月期 中間決算分析――借入金の増え方が気になる

AREホールディングス(5857)2027年3月期 中間決算分析――借入金の増え方が気になる 日本株

金属のかけらを集めて、もう一度金属に戻す会社

歯の詰め物、古い指輪、工場から出る電子部品のくず、車の排ガスを浄化する触媒。こうしたものに残っている金やパラジウムを回収し、精錬して金属に戻している会社です。

もう一本の柱はアメリカにあります。鉱山から届く原料から金や銀を取り出す精錬と、その金属の加工、保管、トレーディングです。ほかに産業廃棄物の処理も手がけています。

前年同期より、利益がほぼ倍になった半年

11月4日に出た中間決算です。4月から9月までを前年同期と並べます。

項目今回前年同期増減率
売上高3,651億6,400万円2,382億3,900万円+53.3%
営業利益287億2,900万円153億3,200万円+87.4%
経常利益———
純利益209億3,300万円108億4,900万円+92.9%

国際会計基準の会社なので、短信に経常利益の欄はありません。

売上の20分の1で、営業利益の4割超を稼ぐ事業

売上は5割増えましたが、金の回収量は減っています。説明会資料の数字で、前年同期の15.9トンから14.0トンへ。金の上期平均価格は1グラム15,845円から22,557円になりました。売上の伸びの大きな部分は、量ではなく金属の値段によるものだと考えています。

短信のセグメント情報は貴金属事業を1本にまとめていて、内訳までは分かりません。そこで説明会資料を開くと、売上収益3,652億円のうち、北米精錬事業は181億円でした。20分の1ほどです。

ところが営業利益287億円のうち、125億円を北米が稼いでいます。4割を超える大きさです。リサイクル事業は回収した金属の値段がそのまま売上に載り、北米は手数料が中心なので売上が小さく出る、と私は受け取りました。

261億円の包括損失は、半年前に増えた分が戻った形でした

損益計算書の次の表に、中間包括利益△261億5,800万円とあります。主因はキャッシュ・フロー・ヘッジの△436億6,800万円です。親会社所有者帰属持分比率も37.5%から32.2%へ低下しました。

一瞬ひやりとしましたが、持分変動計算書で残高を並べると様子が変わります。

時点キャッシュ・フロー・ヘッジの残高
2025年9月末△113億7,200万円
2026年3月末399億6,000万円
2026年9月末△37億4,800万円

前期の下期に大きく増え、この半年でその大半が戻っています。説明会資料によると、これは貴金属価格の変動に伴うヘッジ評価の影響です。

純利益には入らず、資本の中で動いた金額です。3月末の資本は、この評価の分だけ膨らんでいた、と私は考えました。

借入金を返したのに、社債及び借入金は798億円増えました

私がいちばん引っかかったのは、添付資料の10ページ、キャッシュ・フロー計算書の財務活動です。短期借入金の純減が250億円、長期借入金の返済が410億7,100万円でした。長期借入れによる収入は164億9,800万円です。純減と返済を足して収入を引くと495億7,300万円の返済超過、というのが私の引き算です。

一方、貸借対照表の社債及び借入金は、この半年で798億2,400万円増えています。返したのに増えている。……これは変だ。

負債と債権の行を、2つの計算書で並べました。

科目貸借対照表の増減キャッシュ・フロー計算書の増減
営業債権及びその他の債権590億5,400万円増326億9,900万円増
営業債務及びその他の債務735億6,800万円減629億7,100万円増
社債及び借入金798億2,400万円増約495億7,300万円減

約の付いた数字は、財務活動の借入金3行を私が足し引きしたものです。キャッシュ・フロー計算書の営業債務の行には「等」が付いていて、範囲は完全には一致しません。

借入金の開きを出すため、798億2,400万円に495億7,300万円を足します。結果は1,293億9,700万円です。これだけの増加が、現金の出入りとして財務活動に出ていないことになります。

説明会資料には、北米で鉱山会社等との取引が増え、営業債権と社債及び借入金が両建てで増えたとあります。ただ、2つの計算書の数字がここまで開く理由は、短信にも、私が読めた説明会資料の29ページまでにも書かれていません。

手がかりは営業債務の行です。貸借対照表の735億6,800万円の減少と、キャッシュ・フロー計算書の629億7,100万円の増加は向きが逆なので、足します。開きは1,365億3,900万円で、借入金の開きと規模が近くなります。ここまでは短信の数字です。

支払う相手が取引先から金融機関へ替わるような形で、現金を動かさずに負債が営業債務から借入金へ移った、と私は読みました。

631億円の営業キャッシュ・フローは、利益が現金になった額とは別物です

項目前年同期今回
税引前中間利益138億6,900万円286億7,500万円
棚卸資産の増減△239億5,000万円164億200万円
営業債権及びその他の債権の増減△1,555億4,300万円△326億9,900万円
営業債務及びその他の債務等の増減798億9,800万円629億7,100万円
営業活動によるキャッシュ・フロー△490億7,400万円631億6,800万円

営業キャッシュ・フローは631億6,800万円のプラスで、税引前利益の2倍を超えます。前年同期のマイナスからプラスへのこの振れを作っているのは、利益よりも債権と債務の行です。営業債務等の行にある629億7,100万円の増加がなければ、プラスはほとんど残りません。

財務の仕事をしていると、この種の行は真っ先に確かめます。資金が入ったのではなく、支払いが先に延びただけのことがあるからです。

説明会資料は、換金性の高い資産を除いた自己資本比率として80.5%という数字も出しています。短信の32.2%とは別の、会社独自の物差しです。除く資産の大半は北米の営業債権等の3,393億円で、その換金のしやすさを私は書類から確かめられませんでした。

短信の説明文に、金属の値段の話は出てきません

会社の説明は、添付資料の2ページにあります。電子は金の回収量増加、宝飾は回収量が減っても採算性向上、デンタルは市場シェアの向上、触媒はパラジウムの回収量増加。北米は原材料の入荷増と製品の販売量増に加え、トレーディングで「裁定機会を適切に捉えた」としています。

並んでいるのは量と採算の話です。説明会資料の増減要因には「貴金属価格の上昇」が入っているので、短信だけを読むと、自力の分が大きく見えます。

宝飾の採算改善はそのまま受け取ります。裁定機会には留保を付けます。説明会資料によると、トレーディングは期初に減益を計画していた分野です。同じ機会が次も巡るかは見通せません。

営業利益の予想は520億円へ増額、下期は上期より控えめです

項目通期予想上期実績進捗率残り半年の必要額前年の下期
売上高7,000億円3,651億6,400万円約52%約3,348億3,600万円約3,317億5,300万円
営業利益520億円287億2,900万円約55%約232億7,100万円約217億5,600万円
純利益360億円209億3,300万円約58%約150億6,700万円約135億9,200万円

約の付いた数字は、短信の通期予想、上期実績、前期実績から私が引き算と割り算で出したものです。

営業利益の予想は、5月の410億円から520億円へ増額されました。下期に必要な額は上期より55億円ほど少なく、前年の下期を少し超える程度です。

差の大きな部分は北米にあります。説明会資料の数字で、通期210億円から上期125億円を引きます。残る下期は85億円です。上期より3割ほど少ない見込みです。年間配当の予想は155円へ増額され、説明会資料によると、上限75億円の自己株式の取得も決まっています。

利益の強さは認め、現金の数字には留保を付けます

金属の値段と一度きりの裁定機会に乗っただけの半年なのか、稼ぐ力そのものが増えた半年なのか。私は後者の見方をしています。理由は、金の回収量が減った分野でも増益を確保し、金の上期平均価格が期初の前提を下回るなかで予想を増額しているからです。

ただ、心配性なので、631億円をそのまま稼いだ現金とは数えません。北米の取引が大きくなるほど、貸借対照表も一緒に大きくなる商売です。次の決算でも、まず借入金の行を2つの計算書で並べます。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信・決算説明資料|AREホールディングス

現金の出入りを通らずに増えた借入金の内訳と、ヘッジが何の価格をどちら向きに固定しているのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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