阪急・阪神の百貨店と、近所のスーパーを持つ会社
大阪・梅田の阪急本店と阪神梅田本店を中心に百貨店を営み、関西で食品スーパーも広く手がける持株会社です。百貨店のお客さんは、高級ブランドや高額品を求める人と、海外からの旅行者です。スーパーのお客さんは、今夜の夕飯の材料を選びに来る近所の人です。
私は埼玉に住んでいて、この会社の店には縁がありません。なので書類の側から追っていきます。
売上高はほぼ横ばいで、純利益は2倍を超えました
2026年11月4日に出た、4月から9月までの中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,333億3,800万円 | 3,330億2,400万円 | +0.1% |
| 営業利益 | 137億2,500万円 | 118億5,500万円 | +15.8% |
| 経常利益 | 148億1,200万円 | 124億1,300万円 | +19.3% |
| 純利益 | 148億9,000万円 | 69億900万円 | +115.5% |
純利益が経常利益を上回っています。本業の外で何か起きた形です。まず本業から追いました。
増益を作ったのは百貨店で、食品は減益です
売上高が動かなかったのは、スーパーの減少を百貨店が埋めたからです。
| 事業 | 売上高(前年同期) | 売上高(今回) | 利益(前年同期) | 利益(今回) |
|---|---|---|---|---|
| 百貨店 | 866億5,600万円 | 924億8,300万円 | 82億3,500万円 | 115億6,400万円 |
| 食品 | 2,047億4,200万円 | 1,973億1,300万円 | 46億2,800万円 | 32億8,700万円 |
| 商業施設 | 218億900万円 | 231億1,900万円 | 23億7,300万円 | 28億4,400万円 |
| その他 | 179億9,700万円 | 184億2,400万円 | 85億7,600万円 | 61億5,200万円 |
| 調整額 | 18億1,700万円 | 19億9,800万円 | △119億5,900万円 | △101億2,200万円 |
| 合計 | 3,330億2,400万円 | 3,333億3,800万円 | 118億5,500万円 | 137億2,500万円 |
表の売上高は、外部顧客への売上高です。
百貨店の利益は33億2,900万円増えました。連結の増益は18億7,000万円なので、その2倍近くを百貨店だけで稼いだことになります。
その他事業の減益は、親会社が子会社から受け取る配当が減ったためだと説明会資料にあります。グループ内の配当なので、連結の利益にはほとんど響きません。
売上高がほぼ同じなのに、売上総利益は1,485億7,000万円から1,535億9,500万円へ増えています。ここまでは損益計算書の数字です。粗利の厚い百貨店が伸び、薄い食品が減った結果だと私は考えています。
純利益を押し上げたのは、保有株の売却と軽い税負担です
損益計算書の特別利益に、投資有価証券売却益51億6,200万円があります。前年同期には計上がありません。純利益の増加は80億円ほど、経常利益の増加は24億円ほどなので、その差の大半はこの売却益です。
税金も純利益を押し上げています。税引前の利益は増えたのに、法人税等は44億7,800万円から33億5,800万円へ減り、負担率は4割近くから2割弱へ軽くなりました。
なぜ軽くなったのかは、短信にも、私が読んだ説明会資料の21ページまでにも書かれていません。純利益が2倍を超えたという結果は、そのまま受け取らないことにしました。
上期に37億円上回ったのに、通期は10億円しか増やしていません
いちばん引っかかったのはここです。前回の予想は説明会資料から引きます。
5月の時点で、会社は上期の営業利益を100億円、通期を325億円と見込んでいました。上期の実績は37億2,500万円の上振れです。
ところが通期の予想は335億円で、10億円しか増えていません。差の27億2,500万円が、下期の見込みから削られた額です。……上方修正と呼んでいるが、下期だけなら引き下げだ。
百貨店も同じ形です。上期は予想の91億円を24億6,400万円上回りました。それなのに、通期の予想は269億円から270億円への修正です。増えたのは1億円だけです。下期から23億6,400万円を削った計算で、連結で削られた分のほとんどを占めます。
通期の270億円から上期の実績を引くと、百貨店の下期に残る利益は154億3,600万円です。前年の下期は155億4,800万円でした。上期に4割増やした事業が、下期は前年並みという計画です。
一方で、売上は伸ばす前提のままです。百貨店の総額売上高は、下期が3,657億4,300万円、前年の下期が3,344億5,900万円です。1割近く増やして利益は増えない組み立てで、なぜそうなるのかは説明会資料の21ページまでには書かれていません。
キャッシュ・フロー計算書が、この短信には載っていません
私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで行くのですが、この短信の添付資料には載っていません。仕方がないので、貸借対照表から追いました。
| 科目 | 2026年3月末 | 2026年9月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 578億1,200万円 | 389億4,600万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 172億5,000万円 | 7億5,000万円 |
| 自己株式 | △202億6,900万円 | △299億7,100万円 |
現金は半年で188億6,600万円減りました。1年内返済予定の長期借入金が165億円減り、固定負債の長期借入金はほとんど動いていないので、借り換えずに返した形です。自己株式も97億200万円増えました。
この2つだけで現金の減少を超えます。資金繰りが苦しくなった動きではなく、手元の現金で借入金を減らし、自己株式を取得したのだと受け取りました。本業でどれだけ現金が入ったかは、11月12日に提出予定の半期報告書で確かめます。
個人情報の漏えいは、業績への影響が精査中です
短信の重要な後発事象に、阪急阪神百貨店とグループ会社への不正アクセスが書かれています。お客さまの個人情報の一部が漏えいし、10月に公表済みで、調査を続けている段階です。
業績への影響は「現在精査中」で、金額は短信にありません。説明会資料の21ページまでにも、この件は出てきません。精査中である以上、335億円の予想には入っていないと私は考えています。
改装と免税制度で説明し、食品の失敗も認めています
短信には業績を説明する文章がなく、理由は説明会資料に書かれています。百貨店は両本店の改装効果で、前年同期比は阪急本店が15%増、阪神梅田本店が13%増です。セグメント利益の伸びと合うので、ここはそのまま受け取りました。
食品については、前年の米の特需の反動と天候に加え、「検証・準備が不十分な中での商品・販促変更」でマイナスが出たと書いています。自分の失敗をここまで書く資料は、あまり見ません。
そのまま受け取れないのは下期です。百貨店の引き下げは「免税制度の変更影響等を織り込み」とありますが、いくら織り込んだのか、「等」に何が入るのかは、説明会資料の21ページまでには書かれていません。同じ日に出た業績予想の修正のお知らせは、私はまだ開いていません。
売上高は、下期に4%ほど伸ばす前提です
| 上期実績 | 通期予想 | 進捗率 | 残り6か月に必要な額 | 残り6か月の前年比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,333億3,800万円 | 6,950億円 | 約48.0% | 約3,616億6,200万円 | 約+4.2% |
| 営業利益 | 137億2,500万円 | 335億円 | 約41.0% | 約197億7,500万円 | 約-3.8% |
| 経常利益 | 148億1,200万円 | 340億円 | 約43.6% | 約191億8,800万円 | 約-13.2% |
| 純利益 | 148億9,000万円 | 235億円 | 約63.4% | 約86億1,000万円 | 約-62.6% |
約の付いた数字は、通期予想と今回の実績から私が計算したものです。
営業利益の進捗率は半分に届いていません。ただ説明会資料の四半期の表では、前年は第3四半期の営業利益が134億1,000万円といちばん厚いので、この遅れは珍しくありません。純利益の進捗率だけが高いのは、売却益が上期に入ったからです。
引っかかるのは食品です。説明会資料の総額売上高で、下期は2,162億9,200万円、前年の下期は2,131億5,200万円です。
上期に4%近く減った事業が、下期は増収で、利益も前年の下期を上回る計画です。会社が挙げる理由は店舗の業態転換の効果です。
下期の引き下げは、実際の鈍りを映していると考えています
百貨店の引き下げは、用心の上乗せとも、実際の鈍りの反映とも取れます。私は後者の見方をしています。理由は、説明会資料で連結営業利益の前年差が、第1四半期の17億7,300万円増から第2四半期の9,700万円増まで縮んでいるからです。
百貨店の国内売上の伸びも、第1四半期の10.5%から第2四半期は7.3%に落ちました。9月は5.9%でした。前年には阪神タイガースのセールの実績があるので、その分は割り引く必要があります。それでも、百貨店の強さが食品の減益を埋める余裕は、上期の後半に小さくなっています。
百貨店が強いことは疑っていません。ただ、下期は百貨店の利益を増やさず、食品の反転を見込む組み立てです。心配性なので、上方修正という言葉より、削られた27億2,500万円のほうを覚えておきます。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://data.swcms.net/file/h2o-retailing/ja/news/auto_20261026556099/pdfFile.pdf
免税制度の変更を下期の百貨店利益にいくら織り込んだのか、不正アクセスの影響がどこまで及ぶのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント