NIPPON EXPRESSホールディングス(9147)中間決算分析――営業利益は56.7%増えたのに、売上総利益は前年を下回っていた

NIPPON EXPRESSホールディングス(9147)中間決算分析――営業利益は56.7%増えたのに、売上総利益は前年を下回っていた 決算を読む

はじめに

日本通運を傘下に持つ持株会社です。引越のトラックを思い浮かべる人が多いと思いますが、あれは仕事のほんの一部で、実際は陸・海・空の全部を使ってモノを運ぶ会社です。工場から出た部品を船に載せ、空港で飛行機に積み替え、海外の倉庫で仕分けて届ける。荷主は自動車メーカーだったり、アパレルだったり、医薬品の会社だったりします。ほかに、現金を運ぶ警備輸送、風力発電の羽根のような巨大なものを据え付ける重量品建設、石油の販売までやっています。国内の事業は再編の途中です。

2026年8月7日に、2026年12月期の中間決算が出ました。1ページ目は文句のない数字です。ただ、参考資料まで読むと、利益が増えた場所が思っていたのと違いました。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上収益1,356,6141,271,989+6.7%
営業利益44,79628,589+56.7%
純利益24,2828,467+186.8%

(単位は百万円。IFRSなので経常利益の行はありません)

増収6.7%に対して営業利益が5割以上増え、純利益はほぼ3倍。同じ日に通期予想も引き上げています。営業利益の予想は100,000百万円から120,000百万円へ、2割の上乗せです。強い決算に見えます。

増えた利益は、どこから来たのか

引っかかったのはここです。損益計算書を見ると、売上総利益は113,716百万円で、前年の115,961百万円より減っています。参考資料の印字で1.9%の減です。

売上が846億円増えて、粗利は減った。では営業利益はなぜ162億円増えたのか。答えは販売費及び一般管理費です。前年の84,244百万円から66,948百万円へ、2割減っています。参考資料の増減欄には△17,295百万円と印字されていて、営業利益の増加分16,207百万円とほぼ同じ大きさです。……つまり、本業の儲けの層が厚くなったのではなく、販管費が薄くなった決算だ。

さらに参考資料の18ページには、費用の内訳が印字されています。

人件費の置き場所今回前年同期増減率
売上原価の中271,622240,264+13.1%
販管費の中34,09748,305△29.4%
総人件費305,720288,570+5.9%

販管費の人件費は3割近く減っていますが、総人件費はむしろ6%近く増えています。人件費が減ったのではなく、販管費の側から売上原価の側へ、置き場所が動いているように読めます。国内事業を再編中の会社ですから、組織が変われば費用の分類も変わる。ただ、この付け替えが何をどう変えた結果なのか、決算短信には具体的な説明は書かれていません。

もう1つ。現金及び現金同等物は期首の283,394百万円から223,464百万円へ減りました。差し引き599億円の減少です。営業活動によるキャッシュ・フローは76,028百万円の収入で、前年の88,523百万円を下回っています。財務活動では前年にあった長期借入による収入118,156百万円が今回はゼロで、社債の償還や自己株式の取得15,242百万円が出ていった形です。借金を減らしながら自社株を買っている。財務としては締める方向で、これ自体は悪い話ではありません。

会社はどう説明しているか

短信の2ページ目の説明文で、会社は増益の理由を「航空貨物、海運貨物の取扱いが堅調に推移したことに加え、料金改定や事業再編・機能統合による効果等」と書いています。セグメント別に見ると、たしかに海外は強い。欧州は売上収益2割増、南アジア・オセアニアは3割増で利益は2倍以上です。荷動きが良かったのは事実だと思います。

ただ、粗利が前年割れしている以上、営業増益の主役は「取扱いの堅調」ではなく「事業再編・機能統合による効果等」の側、費用の側にあるはずです。その中身──何を統合して、どの費用がどこへ動いたのか──までは、短信には書かれていません。

通期予想の引き上げについても、6ページ目の修正理由に注意書きがあります。荷動きの回復に加えて、「低収益不動産の処分促進による売却益を見込み」と書いてある。上乗せされた営業利益20,000百万円の全部が本業というわけではありません。いくら分が売却益なのかは、短信には書かれていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想上期実績
売上収益2,750,0001,356,614
営業利益120,00044,796
純利益70,00024,282

営業利益は、私が割り算すると4割弱の位置です。半分に届いていないのに予想を引き上げたということは、会社は下期に厚みを置いている。そしてその下期には不動産の売却益が入る予定です。下期の本業がどれだけ走る前提なのかは、この短信からは切り分けられませんでした。

私はどう読んだか

私は、割り引いて読む側に寄せています。理由は、営業利益の増加分と販管費の減少分がほぼ同じ金額で、粗利は前年割れだからです。荷動きが良いのは本当でしょうし、料金改定の効果も嘘ではないと思います。ただ「56.7%増益」という数字の見た目ほど、稼ぐ力そのものが変わったとは、この短信だけからは言えません。費用の付け替えが一巡した来期に、同じ増益率は出ません。

読み違いかもしれません。再編で本当に固定費の構造が変わったのなら、この販管費の水準が新しい平常になります。それは次の決算で分かることです。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260806513462.pdf

販管費から売上原価へ人件費が動いた具体的な中身と、上方修正に含まれる不動産売却益の金額は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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