大阪瓦斯(9532)2027年3月期 中間決算分析・続報――時間差でない減益が気になります

大阪瓦斯(9532)2027年3月期 中間決算分析・続報――時間差でない減益が気になります 日本株

大阪瓦斯は、大阪・京都・神戸を中心に、道路の下に張りめぐらせた導管で都市ガスを送っている会社です。家のコンロや給湯器、工場のボイラー、病院の空調がその先にあります。原料は、海外から船で運んでくる液化天然ガスです。

いまはガスだけの会社ではありません。電気も売っていて、兵庫県の姫路では新しい火力発電所を動かし始めました。米国や豪州では、天然ガスの採掘や液化の事業に出資しています。国内では都市開発も手がけています。この会社の決算には、毎回同じ時間差が混じります。原料の買値は毎月動き、売値は制度に沿って遅れて追いかけるからです。

7月30日に出た第1四半期の決算短信を読んで、9月3日に記事を書きました。そのとき引っかかったのは、減益よりも、借りて積み上げたように見える現金でした。次の短信では流動負債の「その他」を先に開く、と書いています。経緯は前の記事にあります。

売上は増えて、利益は3割減りました

10月29日に出た、2027年3月期の中間決算です。4月から9月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
売上高1兆253億1,900万円9,591億6,700万円+6.9%
営業利益602億7,900万円896億6,900万円△32.8%
経常利益827億400万円1,054億6,100万円△21.6%
純利益666億1,900万円948億5,500万円△29.8%

純利益の減りには、別の理由も入っています。前年同期には関係会社株式の売却益と受取保険金が特別利益にありましたが、今年はありません。

国内のガスと電気は、7月から9月に赤字でした

短信の10ページ目のセグメント表では、国内エネルギーの上期の営業損益が赤字に変わっていました。第1四半期は黒字でした。つまり、7月から9月の3か月で、その黒字を上回る赤字を出したことになります。

国内エネルギーの営業損益第1四半期7月〜9月上期累計
前年256億4,400万円約130億1,300万円386億5,700万円
今年45億7,100万円約△46億2,000万円△4,900万円

約の付いた数字は、上期累計から第1四半期を引いて私が出したものです。

前年は、7月から9月も黒字でした。……この3か月だけで、国内は約46億円の赤字だ。海外エネルギーとライフ&ビジネス ソリューションは、上期でも増益です。

ここで、前の記事の外れを一つ書いておきます。第1四半期の家庭用のガス販売量の減少を、時間差では戻らない数字だと書きました。上期の短信では、家庭用は前年より2%ほど増えています。あの減少を長く続く話として扱ったのは、早すぎました。

電力は、時間差を除いても利益が減っていました

短信には、電力の利益がなぜ減ったのかまでは書かれていません。説明会資料には、時間差の影響を除いた内訳が載っています。そこでは、電力だけがほかと逆に減っています。同じ資料では、時間差を除いた電力の利益が、前年同期の127億円から14億円になっています。

理由として挙げられているのは2つです。一つは、姫路の発電所が動き始めたことで固定費が増えたことです。もう一つは、電力の市場取引で利益が縮んだことです。発電所は1号機が2026年1月に、2号機が5月に運転を始めています。

短信の4ページ目にも手がかりがあります。電力の販売量は、卸等が4分の1ほど増え、小売は減っています。会社は、売上が増えた理由として電力販売量の増加を挙げています。……売上を増やした電気が、利益は連れてきていない。

時間差による減益は、売値が追いつけば戻ります。発電所の固定費は、売値が追いついても残ります。前回の外れと入れ替わるように、今回は時間差の外にある減益が見つかった、と私は受け取りました。

流動負債の「その他」は、上期でさらに増えていました

前の記事で、確かめると書いた行です。

3月末6月末9月末
現金及び預金589億8,100万円1,786億3,700万円1,897億1,600万円
流動負債 その他3,556億8,300万円4,936億3,400万円5,705億6,000万円
自己株式△638億100万円△139億1,300万円△350億300万円

6月末の数字は、第1四半期の短信から持ってきました。

7月から9月で、「その他」は約769億円増えました。同じ3か月で、現金は約111億円しか増えていません。どちらも9月末から6月末を引いた、私の引き算です。前の四半期は借りた分がほぼ現金として残っていましたが、この3か月は残っていません。

出ていった先の一つは、自己株式です。発行済株式数は6月末から変わっておらず、自己株式が約211億円分増えています。7月から9月も、取得を続けていたことになります。

今回の短信にも、キャッシュ・フロー計算書はありません。中間決算なので載っているかと思い目次を開きましたが、貸借対照表、損益計算書、注記だけでした。お金の出入りは、貸借対照表の差から推し量るしかありません。

前の記事の読みも、一つ直しておきます。第1四半期のときは、「その他」の増えた分をそのままコマーシャル・ペーパーだと受け取りました。今回、社債は約400億円、長期借入金は約255億円減っています。1年以内に返す社債や借入金は流動負債の側へ移るので、「その他」にはそれも混じっているはずです。丸ごとコマーシャル・ペーパーと決めたのは、早かったと思います。

会社の説明は、中東情勢と時間差

短信の4ページ目で、会社は減益の理由を、原料価格の変動が販売単価に反映されるまでの時間差だと書いています。説明会資料はもう一歩踏み込んでいます。中東情勢による原油価格の上昇を挙げ、時間差を除いた経常利益は前年より増えたとしています。

時間差の説明は、前回と同じくそのまま受け取ります。理由は、原料費調整の仕組みがそうなっているからです。留保は2つあります。電力の固定費は時間差の外にあること。時間差を除いた利益は大阪瓦斯が独自に作った物差しで、私には検算できないことです。

原油の前提を上げて、利益予想は据え置き

短信の5ページ目で、通期の売上予想は2兆1,700億円から2兆2,540億円へ引き上げられました。売上だけを上げて利益は据え置く形は、第1四半期に続いて2回目です。下期の前提も変わっています。原油は1バレル80ドルから100ドルへ、為替は1ドル160円から155円へ見直されました。

通期予想上期進捗率下期に必要な額
売上高2兆2,540億円1兆253億1,900万円約46%1兆2,286億8,100万円
営業利益1,500億円602億7,900万円約40%897億2,100万円
経常利益1,900億円827億400万円約44%1,072億9,600万円
純利益1,450億円666億1,900万円約46%783億8,100万円

約の付いた進捗率と下期に必要な額は、通期予想と上期の数字から私が割り算と引き算で出したものです。

営業利益は、半分の目安に対して4割ほどしか来ていません。ここからは説明会資料の数字です。原油の前提を上げたことで、時間差の差損は前回の見通しより290億円深くなる、としています。それを埋めるのは、国内のガス事業の粗利と、米国の液化基地、豪州の採掘事業の上積みです。同じ原油の値上がりが、国内では差損になり、豪州では増益になります。

前年の下期と並べると、下期の数字の重さが分かります。

下期前年 実績今年 必要な額
営業利益約851億4,000万円897億2,100万円
純利益約578億9,600万円783億8,100万円

前年の数字は、短信5ページ目の前期実績から前年同期の上期を引いたものです。

営業利益は、前年の下期をわずかに上回れば届きます。純利益は、前年の下期より3割5分ほど多い額が要ります。前年の下期が上期よりかなり小さかったので、差が開いて見えます。

私はどう読んだか

通期の利益予想は無理な数字ではない、という見方をしています。理由は、下期に要る営業利益が、前年の下期を少し上回る水準にとどまるからです。時間差の差損が深くなる分を何で埋めるのかも、説明会資料の内訳で筋が通っています。

それでも頭に残っているのは、7月から9月の国内の赤字と、電力の固定費です。時間差は戻っても、発電所の固定費は来年も残ります。借入の動きは、キャッシュ・フロー計算書が無いまま、貸借対照表だけで半年分を追ってきました。心配性なので、次の短信でも「その他」と電力の内訳を先に開きます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.daigasgroup.com/ir/library/earnings/__icsFiles/afieldfile/2026/10/29/20261029_1.pdf

前年の下期の純利益が上期より小さかった理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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