薬の原料と、液体をきれいにする樹脂
室町ケミカルは、薬の原料を扱う会社です。錠剤やカプセルの中で実際に効いている成分を原薬と呼びます。この会社は原薬を海外から仕入れたり自社で製造したりして、製薬会社に納めています。今回の短信に名前が出てくるのは、てんかんの薬、ヘルペスの薬、胃腸薬の原薬です。
もう一つの柱は化学品です。中心はイオン交換樹脂で、液体に溶けている不要な成分を取り除くのに使います。半導体の工場のように、純度の高い水や薬液が要る現場で使われるものです。アミノ酸を精製する仕事も請け負っています。
以前は健康食品も手がけていましたが、前の期の終わりで撤退しました。今回は、撤退後に初めて出た決算です。
営業利益は、前年同期の2倍を超えました
10月15日に発表された、6月から8月の第1四半期決算です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 18億6,100万円 | 17億8,700万円 | +4.1% |
| 営業利益 | 1億8,200万円 | 7,400万円 | +144.8% |
| 経常利益 | 1億9,100万円 | 7,200万円 | +161.9% |
| 純利益 | 1億4,200万円 | 5,700万円 | +147.5% |
売上はわずかな増収ですが、利益はどの段階でも前年同期の2倍を超えました。この差がどこから来たのかを、添付資料で確かめました。
健康食品が抜けても、売上は増えていた
表紙の売上の伸びは4%ほどです。これだけだと、伸び悩んでいる会社に見えます。
短信の9ページ目のセグメント情報を開くと、印象が変わります。前年同期には健康食品の売上が3億342万円ありました。今回はそれが丸ごとありません。それでも合計が増えたのは、残った二つの事業がどちらも大きく伸びたからです。
| 事業 | 売上 前年同期 | 売上 今回 | 利益 前年同期 | 利益 今回 |
|---|---|---|---|---|
| 医薬品 | 8億7,806万円 | 10億6,863万円 | 8,797万円 | 1億4,160万円 |
| 化学品 | 6億565万円 | 7億9,248万円 | 822万円 | 4,104万円 |
| 健康食品 | 3億342万円 | ― | △2,158万円 | ― |
医薬品は2割、化学品は3割増えました。健康食品は、前年同期に2,158万円の赤字を出していました。
営業利益の増加は1億802万円です。医薬品の増益は5,362万円です。そこに化学品の増益3,281万円を足すと、8,643万円になります。残りの2,158万円が、健康食品の赤字が消えた分です。増益の8割は、残った事業が自分で稼いでいます。
損益計算書の側からも、同じ答えになります。売上総利益は6,820万円増え、販売費及び一般管理費は3,982万円減りました。足すと、ちょうど営業利益の増加分です。販管費が減った理由は、短信には書かれていません。健康食品をやめたぶん経費も消えた、と私は受け取っています。
売掛金は増えましたが、電子記録債権と合わせると減っています
引っかかったのは、貸借対照表の売掛金です。期首から1億8,418万円増えています。売ったのに回収が遅れている形にも見えました。
すぐ上の行に、電子記録債権があります。手形の代わりに使われる、電子化された売上の債権です。こちらは2億3,151万円減っていました。
| 売上の債権 | 5月末 | 8月末 |
|---|---|---|
| 電子記録債権 | 8億4,332万円 | 6億1,181万円 |
| 売掛金 | 11億1,994万円 | 13億413万円 |
| 合計 | 約19億6,326万円 | 約19億1,594万円 |
約の付いた合計は、上の2行を私が足したものです。
二つを合わせると、まだ受け取っていない代金はむしろ4,700万円ほど減っています。取引先の支払い方が、電子記録債権から売掛金へ移った、と私は読みました。
現金及び預金は4億3,272万円減りました。会社は、未払法人税等、買掛金、長期借入金、賞与引当金がそれぞれ1億円あまり減ったことを挙げています。納税、仕入れの支払い、借入の返済、賞与で出ていった現金です。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません。第1四半期は作成していない、と注記にあります。回収の速さそのものは確かめられませんが、債権の合計が増えていない以上、売掛金の増加を心配する理由は薄いと考えています。
会社の説明は、事業ごとの数字と合っています
短信の4ページ目で、会社は増収の理由を自分の言葉で書いています。
医薬品では、輸入原薬の販売が伸びました。とくにてんかんの薬とヘルペスの薬の原薬が大きく増え、前々期に売り始めた胃腸薬の原薬も堅調だったそうです。ヘルペスの薬の原薬については、通期にわたって需要の伸長を見込む、とまで書いています。
化学品では、半導体関連の市場が活発で、イオン交換樹脂の商品と自社加工品が伸びました。自社で製造した装置の売上計上も、事業全体を押し上げたとしています。2027年7月には化学品開発センターを開く予定で、建屋の改装は年内に着工するそうです。
第1四半期の説明は、そのまま受け取ります。理由は、事業ごとの売上と利益が、説明どおりに動いているからです。
留保は一つだけです。装置は毎四半期売れるものではありません。化学品の伸びのうちどれだけが装置の分なのかは、短信には書かれていません。仕掛品と契約資産が期首より増えているのは、次の装置を作っている途中だからかもしれません。
9月から11月の営業利益は、前年の4分の1ほどの見込み
| 項目 | 通期予想 | 第1四半期 | 進捗率 | 残り9か月に必要な額 | 残り9か月の前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 71億円 | 18億6,100万円 | 26.2% | 52億3,900万円 | △13.4% |
| 営業利益 | 5億5,000万円 | 1億8,200万円 | 33.1% | 3億6,800万円 | △45.0% |
| 経常利益 | 5億円 | 1億9,100万円 | 38.2% | 3億900万円 | △51.3% |
| 純利益 | 3億5,000万円 | 1億4,200万円 | 40.6% | 2億800万円 | +96.9% |
進捗率から右の3列は、表紙の予想と前期の実績から私が割り算と引き算をしたものです。
進捗率は、売上が4分の1をわずかに上回り、利益はどれも3分の1を超えました。それでも残り9か月の営業利益は、前年の同じ期間から半分近く減る予想です。
もっと短い期間で比べると、この予想の不自然さがはっきりします。表紙には、上期累計の予想も載っています。
上期の営業利益予想は2億5,000万円で、増減率は△28.5%です。28.5%減ということは、前年の0.715倍です。2億5,000万円を0.715で割り戻すと、前年の上期累計はおよそ3億5,000万円になります。そこから前年の第1四半期の7,400万円を引くと、前年の9月から11月は約2億7,600万円の黒字だったことになります。今年の同じ3か月は、2億5,000万円から1億8,200万円を引いた額です。6,800万円になります。
| 営業利益 | 6月〜8月 | 9月〜11月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 7,400万円 | 約2億7,600万円 | 約3億5,000万円 |
| 今年 | 1億8,200万円(実績) | 6,800万円(予想) | 2億5,000万円(予想) |
約の付いた数字は、増減率△28.5%から割り戻した私の計算です。
6月から8月に1億8,200万円を稼ぎ、次の3か月は6,800万円と予想しています。……いや、これは変だ。
しかも上期の予想は、10月15日に修正したばかりだと短信の5ページ目にあります。修正の中身は別の「業績予想の修正に関するお知らせ」に回されていて、決算短信には理由がありません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるかもしれません。ただ、私はまだ開いていません。
純利益だけは、通期で前期の2倍を超える予想です。前期の純利益が1億6,300万円と、営業利益7億4,200万円に比べて小さかったためです。前期に何があったのかは、この短信には書かれていません。
秋の減益は、会社が何かを見込んだうえでの数字だと考えます
予想が古いまま残っているだけなのか、具体的な悪い材料があるのか。このどちらかだと思います。
私は後者だと考えています。理由は、上期の予想が、第1四半期の結果を知ったうえで10月に出し直された数字だからです。放っておかれた古い予想とは違います。
第1四半期の中身は強いと受け取っています。残った二つの事業がどちらも伸び、健康食品の赤字も消えました。ヘルペスの薬の原薬は通期で伸びる、と会社自身が書いています。
それなのに秋の3か月を前年の4分の1ほどに抑えたのですから、何か悪い材料を見込んでいるはずです。それが装置の売上の一巡なのか、原薬の仕入れ価格なのか、私には分かりません。心配性なので、本業の強さより先にこちらが気になります。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

9月から11月の営業利益を前年の4分の1ほどと予想した理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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