はじめに
ブルドックソースは、とんかつやコロッケにかけるソースの会社です。スーパーの調味料の棚で、中濃ソースの瓶を見たことがある人は多いと思います。関東の家庭では定番のソースで、関西では傘下のソース会社が地元の味を受け持っています。
作っているのは家庭向けだけではありません。スーパーの総菜売り場で揚げ物にかかっているソースや、飲食店の厨房で使う業務用のソースも手がけています。ほかにはドレッシングを家庭向けに広げていて、欧州の日本食レストラン向けの輸出や、上海の現地法人での販売もあります。
毎日使うものではありません。それでも冷蔵庫か戸棚には、たいていあります。そういう品物を作っている会社の、半年分の決算です。
売上は前年並みで、4つの利益の向きがそろわない
2026年10月23日に出た中間決算です。対象は4月から9月までの半年です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 74億円 | 73億7,500万円 | +0.3% |
| 営業利益 | 2億8,400万円 | 3億200万円 | △5.9% |
| 経常利益 | 10億4,200万円 | 8億1,000万円 | +28.6% |
| 純利益 | 7億200万円 | 20億6,900万円 | △66.0% |
売上は前年とほぼ同じです。営業利益は少し減り、経常利益は3割近く増え、純利益は3分の1ほどになりました。同じ決算の数字なのに、利益の向きがばらばらです。
経常利益を増やしたのは、持ち株の売却益
営業利益2億8,400万円に対して、経常利益は10億4,200万円あります。その差は、短信の8ページ目にある営業外収益から来ています。
| 営業外収益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 受取配当金 | 1億5,200万円 | 1億8,700万円 |
| 投資有価証券売却益 | 3億8,800万円 | 5億6,700万円 |
| 受取保険金 | ― | 2,500万円 |
| 営業外収益合計 | 5億4,500万円 | 7億9,700万円 |
いちばん大きいのは、持っている株を売って出た利益、投資有価証券売却益5億6,700万円です。本業で稼いだ営業利益の2倍近くを、株の売却で得たことになります。
純利益が3分の1になったのも、本業とは別の話です。前年の中間期には、固定資産売却益21億5,000万円という特別利益がありました。今回はそれがありません。前年が特別に大きかったので、比べると大きく減って見えます。
本業の利益を削ったのは、販管費の増加
営業利益の減り方を、損益計算書の上から見ていきます。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上原価 | 49億9,500万円 | 50億800万円 |
| 売上総利益 | 23億8,000万円 | 23億9,100万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 20億7,700万円 | 21億700万円 |
| 営業利益 | 3億200万円 | 2億8,400万円 |
粗利は1,100万円増えています。営業利益を減らしたのは、販売費及び一般管理費が3,000万円増えたことです。ここまでは損益計算書の数字です。
原価の負担は値上げや生産の工夫で吸収できていて、そのぶんを販売や管理の費用が食った、と私は読みました。
営業キャッシュ・フローのマイナスは、税金の払い込みだった
キャッシュ・フロー計算書(短信の10ページ目)を開いたところで引っかかりました。営業キャッシュ・フローが1億7,200万円の流出です。前年同期は5億6,700万円の流入でした。
2023年に、増収増益なのに営業キャッシュ・フローがマイナスの会社を見たことがあります。同じ形かと思って、上の行から順にたどりました。……いや、これは違う。
| 営業キャッシュ・フロー | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 小計 | 5億8,000万円 | 5億6,600万円 |
| 法人税等の支払額 | △1億3,600万円 | △8億8,800万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 5億6,700万円 | △1億7,200万円 |
小計は前年とほとんど同じです。商売で現金が入ってくる力は落ちていません。違うのは、法人税等の支払額が8億8,800万円に膨らんだことだけです。貸借対照表でも、まだ払っていない税金を示す未払法人税等が、9億2,000万円から3億3,600万円へ減っています。
前年に計上した土地などの売却益にかかった税金を、この半年に払った、と私は受け取りました。短信には、どの利益にかかった税金なのかまでは書かれていません。
株主への還元と、その元手
本業の現金が税金でほぼ消えた半年に、会社は株主へ大きく返しています。お金の出入りを並べます。
| 出ていったもの | 金額 | 入ってきたもの | 金額 |
|---|---|---|---|
| 自己株式の取得 | 8億100万円 | 投資有価証券の売却等 | 9億6,100万円 |
| 配当金の支払 | 3億1,800万円 | 保険積立金の払戻 | 1億4,300万円 |
| 長期借入金の返済 | 3億800万円 | 現金及び現金同等物の減少 | 7億4,000万円 |
自己株式の取得と配当で、合わせて11億1,900万円を返しました。内訳は、自己株式の取得が8億100万円、配当金の支払が3億1,800万円です。手当てしたのは、持ち株の売却と手元の現金です。
短信の4ページ目には、総還元性向60%以上を踏まえて配当と自己株式の取得を行い、政策保有株式の売却も積極的に進める、と書いてあります。この半年の現金は、その方針どおりに動いたことになります。
持ち株そのものは減っていません。投資有価証券は134億2,400万円から149億円へ増えています。売ったのに14億7,600万円増えたのは、保有株の時価が膨らんだからだと短信の5ページ目にあります。総資産374億4,700万円のうち149億円、4割ほどが投資有価証券、というのが私の割り算です。
会社はどう説明しているか
売上について、会社は商品の種類ごとに説明しています。
| 区分 | 売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 家庭用ソース | 39億6,500万円 | △1.1% |
| 業務用ソース | 21億4,100万円 | +0.8% |
| 家庭用 ドレッシング・たれ等 | 5億9,900万円 | +2.2% |
| 家庭用 その他 | 2億7,000万円 | 前年同期並み |
| 輸出 | 3億2,400万円 | +2.9% |
| 現地法人(上海) | 9,800万円 | +44.4% |
家庭用ソースは、復刻版や辛口の新商品が好調だったものの、西日本での販売がふるわなかったとしています。業務用はスーパーの総菜向けが堅調、輸出は欧州の日本食レストランの増加が理由です。なお、今期から区分の一部を変えたと断りがあります。
売上の説明は、そのまま受け取ります。上海の伸びは目立ちますが、金額は全体の1%強です。
費用の説明には留保を付けます。会社は中東情勢による資材の一部高騰と電力費の上昇を挙げ、生産効率の向上や資材仕様の見直しに努めた、と書いています。ただ損益計算書では粗利が増えていて、営業利益を減らしたのは販管費の側でした。販管費のどこが増えたのかは、決算短信には書かれていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は5月15日に出したもので、今回も変えていません。
| 通期予想 | 中間期実績 | 進捗率 | 残り6ヶ月に必要な額 | 残り6ヶ月の前年比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 152億円 | 74億円 | 48.7% | 78億円 | +6.7% |
| 営業利益 | 6億2,000万円 | 2億8,400万円 | 45.8% | 3億3,600万円 | +7.9% |
| 経常利益 | 13億5,000万円 | 10億4,200万円 | 77.2% | 3億800万円 | △39.4% |
| 純利益 | 9億5,000万円 | 7億200万円 | 73.9% | 2億4,800万円 | △34.3% |
進捗率と残り6ヶ月の数字は、通期予想から中間期の実績を引いて私が出したものです。
売上と営業利益は、まだ半分に届いていません。下期は前年の下期より売上で7%ほど、営業利益で8%ほど上積みが要ります。
経常利益のほうは形が変わっています。下期に必要な経常利益3億800万円は、下期に必要な営業利益3億3,600万円より小さい額です。上期は、営業外収益が7億9,700万円、営業外費用が4,000万円でした。差し引きで7億5,700万円の上乗せがあったことになります。それが下期は、営業外の収支がマイナスになる前提です。
私はどう読んだか
経常利益の予想は、5月に出したまま古くなっているのか。それとも下期に、営業外で何か出ていくものを見込んでいるのか。考えられるのは、この2つです。
私は前者の見方をしています。理由は、短信の説明文に下期の営業外の出費の話が見当たらず、政策保有株式の売却は引き続き進めると書いてあるからです。上期の売却益は、5月の予想に入っていなかったのだと考えています。
ただ、心配性なので、目が向くのは本業のほうです。営業利益率は4.1%から3.8%へ落ちました。その状態で、下期は営業利益を8%ほど伸ばす必要があります。還元の元手が持ち株の売却である以上、本業の稼ぎが細ると、この形をいつまで続けられるのかという話になります。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
販管費が3,000万円増えた中身と、法人税等8億8,800万円がどの期の利益にかかった税金なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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