トランザクション(7818)2026年8月期 通期決算分析――増えた在庫は、身構えた分と読みました

トランザクション(7818)2026年8月期 通期決算分析――増えた在庫は、身構えた分と読みました 日本株

社名の入ったエコバッグを、企業の代わりに作る会社

トランザクションは、企業が配るノベルティや、イベント会場で売るグッズを作っている会社です。エコバッグ、ボトル、傘、ポーチといった品です。無地の品をアジアの工場にまとめて作らせて国内に置いておき、注文が来ると、自社の工場でロゴやキャラクターの絵を刷って納めます。

買い手は主に企業です。展示会で配る品を探す販促の担当者や、ライブ会場で売るグッズを頼むアニメ・ゲームの会社がそうです。注文の入口はウェブサイトで、少ない数でも早く届くのが売りになっています。今期は、フィギュアのメーカーを買収しました。

売上も利益も、過去最高を更新しました

10月15日に出た通期決算です。売上も、段階ごとの利益も、すべて過去最高でした。

今回前年同期増減率
売上高315億1,800万円274億5,300万円+14.8%
営業利益63億9,900万円57億600万円+12.1%
経常利益65億9,000万円60億1,100万円+9.6%
純利益45億2,900万円40億7,800万円+11.1%

経常利益の伸びが営業利益より鈍いのは、為替のせいです。前の期は為替差益が9,811万円ありましたが、今期は2,510万円の差損に変わりました。

増益の年に、営業の現金は8億円あまり減りました

キャッシュ・フロー計算書は、添付資料の22ページ目にあります。営業活動で入った現金は、前の期の42億4,741万円から、今期は34億2,926万円へ減っていました。純利益が4億円以上増えた年に、本業の現金が8億円あまり減っている。……ここで手が止まりました。

内訳を前の期と並べると、どこで現金が出ていったかが分かります。

営業活動の主な行前の期今期
税金等調整前当期純利益61億1,039万円66億8,269万円
棚卸資産の増減△6,487万円△10億3,397万円
前渡金の増減1,971万円△3億2,146万円
仕入債務の増減1億5,469万円5億4,806万円
売上債権の増減△2億285万円△3億9,487万円
営業活動によるキャッシュ・フロー42億4,741万円34億2,926万円

△は現金が出ていった向きです。出どころは連結キャッシュ・フロー計算書です。

いちばん大きいのは在庫で、今期はこれだけで10億円が出ていきました。前の期は6,487万円ですから、桁が違います。次が前渡金の3億円あまりです。品物が届く前に、仕入先へ先に払ったお金です。

買掛金の増加が5億円ほどを押し戻していますが、在庫と前払いの合計には届きません。

倉庫の製品は、1年で13億円ぶん増えました

貸借対照表でも同じ動きが見えます。

貸借対照表前期末今期末
製品50億7,985万円64億3,694万円
買掛金11億1,140万円20億4,203万円

買掛金がほぼ倍になっています。期末の近くに多く仕入れて、まだ払っていない分があるということです。製品の増え方は13億円ほどで、キャッシュ・フロー計算書の10億円より大きく、その差は買った会社が持ち込んだ在庫の分だと考えています。その内訳は、決算短信には書かれていません。

心配性なので、売れ残りの兆しも探しました。在庫の簿価を切り下げた額は、1,316万円から3,235万円へ増えました。特別損失には、棚卸資産廃棄損3,050万円が新しく出ています。増えてはいますが、この2つを合わせても6,000万円台です。64億円の製品に比べれば、1%ほどにとどまります。

利益率の下がり幅は、買ったフィギュア会社の分と同じでした

営業利益率は20.8%から20.3%へ下がりました。下がり幅は0.5ポイントです。これだけ見ると、稼ぐ力が落ちたようにも受け取れます。

ただ、短信の6ページ目に、会社自身が理由を書いていました。3月末に買ったサウザンドとその子会社1社を、第4四半期から連結に入れた影響で、営業利益率が0.5ポイント下がった、という説明です。下がり幅とぴったり同じです。

注記には、この会社が期首から連結に入っていたらという仮の数字も載っています。通年の売上15億2,295万円に対して、営業利益は5,590万円です。割ると約3.7%で、2割を稼ぐ本体に混ぜれば率は下がります。

買収の助言料8,200万円も、この期の費用に入っています。のれんは7億2,387万円で計上されていますが、取得原価の配分が終わっていない暫定の金額です。業績に応じて払う追加の対価も、まだ額が決まっていません。

会社は「中東情勢に備えた」と説明しています

会社の説明はこうです。中東情勢の緊迫化に備えて、為替予約をかけ、原材料を確保し、半製品を含めた在庫を積み増した、というものです。そのおかげで第3四半期以降の業績は堅調だった、とも書いています。生産の節にも、当面必要な原材料を適正価格で確保した、と書いてあります。

前渡金と買掛金の動きは、この説明と合っています。私はこの説明をそのまま受け取っています。

もともと、備えを厚くしておく会社でもあります。短信の事業上の危険を並べた節には、首都直下の地震で事業が止まった場合に備えて、57億円ほどの資金を確保していると書いてありました。

引っかかった点が1つあります。同じ説明文には、第4四半期も低価格帯の製品へ注文が移り続けている、とあります。積み増した在庫がどの価格帯の品なのかは、短信には書かれていません。

来期は、上期の営業利益をほとんど伸ばさない計画です

今期は通期決算なので、進み具合の話は終わっています。会社は10月8日に通期予想を修正したと書いていますが、その発表を私はまだ開いていません。修正前と比べてどうだったかは、ここでは書けません。

来期の会社予想はこうです。

2027年8月期 会社予想上期通期
売上高179億6,300万円(+21.0%)370億円(+17.4%)
営業利益32億8,900万円(+3.9%)71億7,000万円(+12.0%)

上期の売上は2割伸ばすのに、営業利益は4%ほどしか伸ばさない見込みです。理由も書いてあります。中期計画の1年目と2年目は人とシステムにお金を使う期間で、販管費の伸びが売上の伸びを上回る、という説明です。新しい専門サイト5つも、上期に順次動かす予定です。

通期から上期を引くと、下期は38億8,100万円の営業利益という計画になります。これは私の引き算です。前の期の下期と比べたかったのですが、前の期の上期の数字はこの短信には載っていません。

在庫は、売れ残りではなく買い置きだと考えています

私は、今期の在庫増を、中東情勢に身構えた買い置きだという見方をしています。理由は、前渡金と買掛金が同じ向きに動いていて、先に材料を押さえたという会社の説明と食い違わないからです。評価損と廃棄損も、在庫の大きさに比べれば小さいままです。

利益率の低下も、買収の分で説明が付きます。ただ、低価格帯へ注文が移る中で積んだ在庫が、来期どの値段で出ていくのかは分かりません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|IR情報|株式会社トランザクション
株式会社トランザクションの決算短信をご紹介します。

積み増した製品が、どの品目でどの価格帯なのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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