はじめに
若い女性向けの服を自社で企画し、自社の店で売っている会社です。いちばん知られた名前は『MOUSSY』です。ショッピングセンターや駅ビルの中で、この会社の店を見かけた人は多いと思います。
お客さんの多くは、店で試着して、店員に相談してから買っていきます。そこに力を入れてきた会社です。通販もあります。海外では、米国で日本製の高いデニムを百貨店やセレクトショップに卸しています。
服を作るところから売るところまで一社で持っているので、売れ残りはそのまま自分の帳簿に返ってきます。今回の決算は、その返ってきた分がはっきり出た半年でした。
半年で、営業赤字の桁が一つ変わった
10月15日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 234億6,900万円 | 248億100万円 | △5.4% |
| 営業利益 | △9億400万円 | △7,700万円 | — |
| 経常利益 | △10億2,800万円 | △1,500万円 | — |
| 純利益 | △14億9,500万円 | 1,100万円 | — |
前年同期も営業段階では小さな赤字でした。今年は、その赤字の桁が一つ大きくなっています。
春は黒字で、赤字は6月から8月に集まっている
7月15日に出た第1四半期決算では、3月から5月の営業利益は7,600万円の黒字でした。それでも半年では9億400万円の営業損失です。春の黒字7,600万円を食いつぶしたうえでこの赤字なので、6月から8月の3か月だけで約9億8,000万円の営業赤字になります。これは私の計算です。
……半年の話じゃない。3か月の話だ。
半年の数字だけでは、ずっと苦しかった会社に見えます。実際は、春を越えたところで崩れています。6月に何があったかは、短信4ページ目の会社の説明に書いてありました。
6月に、新しいシステムが動き出していた
会社は、6月に入れた新システムの初期トラブルで、通販の出荷が遅れたと書いています。通販の売上は前年同期の89.4%でした。店舗の94.9%より落ち込みが大きくなっています。
貸借対照表にも、その跡がありました。前期末には、ソフトウエア仮勘定が30億1,800万円ありました。それが消え、ソフトウエアは5億700万円から33億2,500万円へ増えています。作っている途中の資産が、使い始めた資産へ振り替わったということです。
使い始めた資産は、ここから少しずつ費用になります。半年の減価償却費は4億5,800万円で、前年より3,100万円多い程度でした。何年で費用にするのかは短信には書かれていません。それでも下期は、6か月まるごと償却が乗ってきます。
売上ほど、原価が減っていない
損益計算書に戻ると、粗利のところで引っかかりました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 248億100万円 | 234億6,900万円 |
| 売上原価 | 97億2,500万円 | 96億9,000万円 |
| 売上総利益 | 150億7,500万円 | 137億7,900万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 151億5,200万円 | 146億8,300万円 |
売上が13億円あまり減ったのに、原価はほとんど動いていません。経費は4億6,900万円削りましたが、粗利の減り方には届いていません。
会社が挙げた理由は二つです。主力のショッピングセンター向けブランドで商品評価損が膨らんだこと、そしてサプライチェーン全体のコストが上がったことです。商品評価損とは、売れ残った服の値打ちを帳簿の上で下げた分のことです。それでも商品の残高は、50億300万円から51億3,000万円へ増えています。
現金が半年で34億円減った
キャッシュ・フロー計算書を開くと、こちらがいちばん大きな話でした。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2億4,200万円 | △7億7,200万円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 13億1,300万円 | △4億2,000万円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △14億500万円 | △24億700万円 |
| 現金及び預金の期末残高 | 112億2,100万円 | 78億5,400万円 |
本業で現金が出ていき、そのうえ配当で13億7,600万円、短期借入金の返済で差し引き10億円が出ています。前年は子会社株式の売却で18億3,600万円が入っていたので、ほぼ同じ配当を払っても残高は動きませんでした。今年はその入金がありません。
配当は資本剰余金を取り崩して払われました。今期の予想1株利益はマイナス19.30円ですが、配当予想は38円のまま変えていません。自己資本比率は45.1%から40.8%へ下がっています。
1年以内に払う原状回復費用が増えている
注記には、店を出るときの原状回復費用の見積りを変え、資産除去債務を4億6,700万円増やしたと書いてあります。流動負債の資産除去債務は1,700万円から6億500万円へ増えました。減損損失は7億6,500万円です。
1年以内に払う側の債務が増えたので、1年以内に退去する店が増える見込みなのだと私は受け取りました。どの店を何店閉めるのかは、短信には書かれていません。ニューヨークの直営店は6月に閉めたとあります。
会社はどう説明しているか
会社は、天候が不安定だったこと、物価高で客が買う服を選ぶようになったこと、夏場に需要が落ちたことを挙げています。一方で、FB・SBブランドは全ブランドで既存店売上が前年を上回り、RODEO CROWNS WIDE BOWLは二桁の伸びが続いているそうです。AZUL BY MOUSSYも期の後半から客数が戻ったと書いています。
原価の説明は、そのまま受け取ります。損益計算書の形と合っているからです。ただ、伸びたというブランドの伸び率は、短信には載っていません。全体の売上は5%ほど減っているので、伸びた分より、百貨店ブランドの落ち込みや通販の遅れのほうが大きかったことになります。
下期に、前年の2.5倍ほどの営業利益を置いている
通期予想は今回修正されています。詳しい中身は同じ日の別の発表に回されていて、私はそちらを読んでいません。
| 通期予想 | 上期実績 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 508億3,200万円 | 234億6,900万円 | 273億6,300万円 |
| 営業利益 | 1億1,100万円 | △9億400万円 | 10億1,500万円 |
| 純利益 | △6億9,600万円 | △14億9,500万円 | 7億9,900万円 |
前年と比べると、この予想の重さが分かります。表紙では、通期の営業利益予想が前期比65.4%減です。65.4%減ったあとに残る割合は0.346です。1億1,100万円をこれで割ると、前期の営業利益は約3億2,000万円になります。前期の上期は7,700万円の赤字でしたから、前期の下期は約4億円の黒字でした。これは私の割り戻しです。
前年に約4億円だった下期の営業利益を、今年は10億1,500万円と置いていることになります。売上は下期に前年より2.5%増える見込みです。
私はどう読んだか
夏の赤字は、システムの不具合と評価損による一度きりのもの。そう考えることもできます。もう一つは、粗利が削られる流れが下期も続くという見方です。
私は後者の見方をしています。理由は、粗利を削ったのが評価損だけでなく、サプライチェーンのコスト上昇でもあるからです。こちらはシステムが落ち着いても消えません。下期には新システムの償却も6か月分乗ってきます。
心配性なので、下期の10億1,500万円は重い置き方だと受け取っています。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
商品評価損がいくらだったのかと、下期に営業利益を戻す計画の中身は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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