イズミ(8273)2027年2月期 中間決算分析――現金が減った理由は、暦にあると読みました

イズミ(8273)2027年2月期 中間決算分析――現金が減った理由は、暦にあると読みました 日本株

中国・四国・九州で、ゆめタウンを営む会社です

イズミは小売の会社です。郊外の大きな商業施設「ゆめタウン」と、食品が中心のスーパーを、中国・四国・九州に出しています。平日の夕方に夕飯の材料を買い、週末には家族で服や雑貨を見て回る。そういう使われ方をする店です。

店の中には専門店も入っていて、その家賃や手数料も収入になります。グループには、自社のクレジットカード「ゆめか」の会社、店の設備を保守する会社、ミスタードーナツなどを運営する飲食の会社もあります。

今年7月28日、熊本で大きな地震がありました。翌日には県内の35店舗が休業しています。今回の決算は、その地震をまたいだ半年の数字です。

売上はほぼ前年並み、利益は5%前後伸びた半年

10月13日に出た中間決算です。期間は3月から8月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高(営業収益)2,834億3,700万円2,810億3,700万円+0.9%
営業利益132億7,100万円126億8,500万円+4.6%
経常利益132億9,300万円126億1,400万円+5.4%
純利益84億2,600万円80億8,400万円+4.2%

地震があった半年としては、表だけ見るとしっかりした数字です。

利益が130億円出た半年に、本業の現金は86億円出ていった

引っかかったのは、短信の12ページ目にあるキャッシュ・フロー計算書です。税金等調整前の中間純利益は130億8,600万円あります。それなのに、営業キャッシュ・フローは86億4,700万円のマイナスでした。前年の同じ半年は447億5,500万円のプラスです。

前年中間期今回
税金等調整前中間純利益126億1,500万円130億8,600万円
減価償却費93億5,600万円91億6,500万円
売上債権及び契約資産の増減△68億900万円△61億6,200万円
仕入債務の増減329億900万円△196億3,400万円
営業キャッシュ・フロー447億5,500万円△86億4,700万円

利益も減価償却も、前年とほとんど変わりません。大きく動いているのは仕入債務の行だけです。前年は329億900万円のプラス、今年は196億3,400万円のマイナスです。向きが逆なので、両方を足した約525億円が、この1行だけの差になります。

……スーパーの仕入代金が、半年でここまで振れるのは変だ。

2月28日が土曜日だった

答えは、短信の6ページ目にある財政状態の説明に書いてありました。支払手形及び買掛金が196億3,400万円減ったのは、「前期末日が銀行休業日であったため、決済が翌月初に持ち越された」からだそうです。2026年2月28日は土曜日でした。

2月末に払うはずだった仕入代金が、3月の頭に払われたことになります。期首の買掛金がふだんより多く残っていたので、半年たつと大きく減ったように見えるわけです。短期借入金が122億8,000万円から366億5,000万円へ増えたのも、その支払いに充てた借入と考えると筋が通ります。

前年は逆向きでした。説明会資料によると、2025年8月31日は日曜日で、8月末の支払いが9月に持ち越されています。前年の447億円は膨らんだ側、今年の△86億円は縮んだ側の数字です。並べると、ずれが二重にかかります。

目安を1つ置きます。今回の営業キャッシュ・フローは△86億4,700万円です。そこへ仕入債務の減少196億3,400万円を足し戻すと、約109億8,700万円のプラスです。会社の説明にも「等」が付いていて、全額が暦のずれとは限らないので、上限寄りの目安です。これは私の足し算です。

残りの差には、売上債権の増加61億6,200万円が効いています。こちらはクレジット取扱高の増加によるものと短信に書かれていて、カードの会社が伸びていることの裏側です。

ついでに暦を見ておくと、2027年2月28日は日曜日です。次の期末にもまた支払いの持ち越しが起きます。通期のキャッシュ・フローは、今度は膨らむ向きに振れるはずです。

地震の損失と、ほぼ同じ大きさの補償金

利益の表には出てこない動きが、特別損益にもう1つあります。損と得が、ほぼ打ち消し合っています。

特別損失には「災害による損失」4億2,600万円が入りました。一方、特別利益には公共工事に関する受取補償金3億1,600万円が入っています。補償金は、短信には公共工事に関するものとしか書かれておらず、地震の話ではありません。純利益が前年を上回れたのには、この補償金が地震の損失の大半を埋めたことも効いています。

気になるのは14ページ目の追加情報です。壊れた建物などの撤去費用は「現時点で合理的に見積ることが困難」で、修繕に伴う追加の復旧費用が出る可能性もある、とあります。8月末の時点で、イズミ本体の2店舗と、子会社のゆめマート熊本の4店舗がまだ閉まっていました。

会社は、客数が増えたと説明している

短信の説明はこうです。地震の影響はあったものの、新しい店の稼働、低価格の施策、付加価値の高い商品の売り込みで客数が増え、増収になった。経費は人件費が増えた一方で、水道光熱費などを抑えた。

この説明はそのまま受け取ります。ただ、半年をまとめた数字なので、後半の3か月が見えにくくなっています。説明会資料の数字ですが、イズミ単体の6月から8月の営業利益は前年の84.6%でした。地震による利益の目減りは、グループ全体で5.6億円と書かれています。上期の伸びは、第1四半期が稼いだ分に支えられています。

予想を変えなかった理由は、説明会資料の側にあった

短信の7ページ目には「2026年4月14日公表の予想数値に変更はありません」とだけあります。変えなかった理由は、短信には書かれていません。

理由は説明会資料にありました。上期が計画に届かなかったこと。震災の影響の大きさや続く期間、復旧の費用がまだ精査中で、通期への影響を見積もれないこと。そのうえでの据え置きです。上振れに自信があって変えなかったのではなく、下げ幅を測れないから変えていない、ということです。

通期予想まで、残り半年で営業利益157億円

通期予想上期実績進み具合下期に要る額
売上高5,871億円2,834億3,700万円約48.3%約3,036億6,300万円
営業利益290億円132億7,100万円約45.8%約157億2,900万円
純利益174億円84億2,600万円約48.4%約89億7,400万円

約の付いた数字は私の計算です。進み具合は上期実績を表紙の通期予想で割り、下期に要る額は通期予想から上期実績を引いて出しました。

営業利益は半分に届いていません。予想どおりに着地するには、下期に前年の下期より8%ほど多く稼ぐ必要があります。説明会資料では、9月のイズミの既存店売上高は前年を上回っていますが、休日が1日多かった押し上げを含んでいます。

私はどう読んだか

営業キャッシュ・フローのマイナスは、決済日のずれによるものだと私は読みました。理由は、仕入債務が前年は増えて今年は減り、その向きが2つの期末の曜日とそのまま合っているからです。商売が現金を生まなくなったわけではありません。

心配性なので悪いほうから先に見ると、引っかかりが残るのは予想です。復旧の費用はまだ金額になっておらず、下期は前年より多く稼ぐ前提のままです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.izumi.co.jp/corp/ir/pdf/2027/2702_2qkessan.pdf

熊本の店の撤去と復旧にいくらかかるのかは、短信からも説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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