イオン(8267)2027年2月期 中間決算分析・続報――食品の減益は広がったと読みました

イオン(8267)2027年2月期 中間決算分析・続報――食品の減益は広がったと読みました 日本株

はじめに

イオンは、スーパーとショッピングモールを全国に持つ小売のグループです。食品スーパーやディスカウントの店に、ドラッグストア、クレジットカード、銀行が加わります。夕飯の材料を買う人も、週末にモールで映画を見る人も、処方薬を受け取る人も、同じグループにお金を払っています。

今年の1月には、ドラッグストアのツルハを連結子会社にしました。ツルハはその前月に、ウエルシアと経営を一つにしています。食べ物と薬を同じ店で売る形を広げる、という筋です。

8月に、7月10日に出た第1四半期の決算を読みました。引っかかったのは、増えた利益のほとんどがツルハの分で、食品を売る事業が軒並み落ちていたことです。食品の3事業が下げ止まるかを追う、と前の記事に書きました。現金の減り先も、追い切れていませんでした。

この決算で何が起きたか

10月13日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

項目今回前年同期増減率
営業収益5兆9,041億5,700万円5兆1,899億7,000万円+13.8%
営業利益1,307億4,300万円1,181億2,900万円+10.7%
経常利益1,082億9,200万円1,064億6,800万円+1.7%
純利益133億2,100万円40億4,800万円+229.1%

営業利益は中間期として過去最高だと、会社は書いています。経常利益まで下りると、前年とほぼ同じです。

食品の3事業は、後半の3か月でさらに削れました

事業今回の営業利益前年同期前年からの増減
GMS△126億3,100万円△2億2,500万円124億600万円の減益
スーパーマーケット△1億7,600万円128億8,600万円130億6,300万円の減益
ディスカウントストア4億5,500万円36億9,700万円32億4,100万円の減益
ヘルス&ウエルネス596億9,000万円227億700万円369億8,200万円の増益
ディベロッパー・エンターテイメント542億4,700万円410億1,100万円132億3,600万円の増益

上の3つの減益を足すと、287億1,000万円です。これは私の足し算です。第1四半期の時点では109億8,500万円でした。そこを差し引くと、6月から8月の3か月だけで177億2,500万円になります。下げ止まるどころか、後半のほうが大きく削れています。

反対側のヘルス&ウエルネスの増益は、グループ全体の営業利益の増加126億1,400万円の3倍ほどあります。第1四半期では、この2つはほぼ同じ大きさでした。

首都圏のスーパーは、客数が想定に届きませんでした

減益の理由は子会社ごとに書かれています。値下げを強めたこと、前年の米の特需の反動、人件費の増加で、第1四半期と同じ顔ぶれです。

引っかかったのは、首都圏のスーパーを束ねるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの一文でした。価格施策と販促を強めたうえで、「客数及び買上点数が想定を下回った」と書いています。

第1四半期に減益の説明で何度も出てきた「先行投資」という言葉は、今回の食品の節には見当たりませんでした。

フジは販売費及び一般管理費を前年同期の97.3%に抑え、荒利益率も改善基調だと書いています。それでも営業利益は前年の半分ほどです。

営業キャッシュ・フローの反転は、仕入れの支払いと銀行の貸出でした

第1四半期の短信にはキャッシュ・フロー計算書がありませんでした。今回は添付資料の16ページにあります。

項目前年の中間期今回
仕入債務の増減3,270億7,800万円△1,636億6,200万円
銀行業における預金の増減3,084億6,000万円△432億4,400万円
銀行業における貸出金の増減△359億4,100万円△1,707億5,200万円
営業活動によるキャッシュ・フロー8,162億6,800万円△2,625億4,400万円

中身は2種類です。1つは銀行業の貸出の増加と預金の減少で、店の商売の現金とは性質が違います。

もう1つが仕入債務、取引先にまだ払っていない代金です。前年は増えて現金を残し、今年は減って現金を使いました。なぜここまで振れたのかは、短信には書かれていません。

……ひょっとして、曜日か。期首の2026年2月28日は土曜日です。前年の中間期末、2025年8月31日は日曜日でした。月末が休みに当たると、その日に払う代金は翌営業日に回り、未払いが膨らんだまま締めることになります。経理にいた10年、毎年どこかの月でこれを見ました。

前年は膨らんだ状態で半年を終えました。今年は膨らんだ状態から始めて、月曜日の8月31日に払い終えています。両端で曜日が逆向きに効いている、と私は考えました。貸借対照表でも、支払手形及び買掛金は期首の1兆4,759億6,300万円から1兆3,190億8,500万円へ減っています。

現金及び現金同等物は、半年で1兆2,631億2,300万円から8,791億100万円になりました。設備などには2,490億200万円を使いました。その穴を、社債を1,164億1,000万円、短期借入金を993億2,400万円増やして埋めています。

営業利益の増加は、利息でほとんど消えています

営業利益は126億1,400万円増えましたが、経常利益の増加は18億2,400万円です。差の大部分は支払利息です。前年同期の236億4,100万円から、今回は340億4,800万円になりました。増えた額は104億700万円です。

総合金融も、第1四半期の増益から、半年では8億9,200万円の減益に回っています。短信は理由に、政策金利の上昇で預金金利などの金融費用が増えたことを挙げています。借りる側と預かる側の両方を抱えているので、金利の上昇が2か所に効いている、と受け取りました。

熊本の事故の損失は、まだ確定した額ではありません

今回の短信の説明文は、熊本の地震に伴う事故へのお詫びから始まっています。イオンモール熊本とイオンモール宇城で爆発事故があり、亡くなった方がいます。

損益計算書には災害による損失として41億9,800万円が載っています。短信はこれを、中間期末に手に入った情報に基づく額だとしています。外部の専門家による事故調査委員会の報告書は、まだ出ていません。

会社はどう説明しているか

会社の筋は第1四半期と同じです。ディベロッパー・エンターテイメント、ヘルス&ウエルネス、アセアンが引っぱって、営業利益が過去最高になりました。ツルハとウエルシアの統合効果は計画を上回った、とも書いています。

前半は受け取ります。モールの専門店売上もベトナムの伸びも、数字で確かめられます。食品には留保を付けます。トップバリュの売上が伸びた、総労働時間が減った、という取り組みは並んでいますが、それがいつ利益に表れるのかは決算短信には書かれていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は、4月9日に出したものから変わっていません。

項目通期予想中間期の実績進み具合
営業収益12兆円5兆9,041億5,700万円約49%
営業利益3,400億円1,307億4,300万円約38%
経常利益2,900億円1,082億9,200万円約37%
純利益730億円133億2,100万円約18%

約の付いた数字は、半年の実績を通期予想で割ったものです。

半年なら半分が目安ですが、利益は4割に届いていません。営業利益は、通期予想から上期の実績を引くと、下期に2,092億5,700万円が残ります。上期の1.6倍ほどを、残り半年で稼ぐ計画です。純利益は下期に596億7,900万円で、上期の4倍を超えます。

下期に何を見込んでいるのかは、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに理由があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

私はどう読んだか

前回は、買収が食品の減益を隠している、という見方をしました。半年分を確かめた今も、私は同じ見方をしています。理由は、食品の3事業の減益が後半の3か月で広がったからです。

営業キャッシュ・フローの支出は、曜日の巡り合わせが大きいと考えています。気になっているのは、利息が営業利益の伸びをほぼ打ち消していることのほうです。

上がるかは知りません。下期からツルハ側で商品政策の統一が始まると、短信にはあります。第3四半期では、食品の3事業の減益がまだ広がるのかを、もう一度確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

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仕入債務の振れのうち、月末の曜日で説明できるのがどこまでかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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