タマホーム(1419)2027年5月期 第1四半期決算分析――借りて土地を買う四半期と読みました

タマホーム(1419)2027年5月期 第1四半期決算分析――借りて土地を買う四半期と読みました 日本株

注文住宅と建売を、どちらも手がける会社

タマホームは、価格を抑えた注文住宅の会社です。首都圏の郊外や地方で、初めて家を建てる若い家族が展示場を回り、間取りを決めて契約します。そうした家族が、主なお客です。

もう一つの柱が、土地を自分で仕入れて家を建て、土地付きで売る建売です。短信では「戸建分譲」と呼んでいます。ほかに、都心の中小ビルを区分けして売る事業や、中古マンションを買い取って売り直す事業もあります。

家は契約してから引き渡すまでに何か月もかかります。引渡しは決算期末の春に集まります。この会社の決算を見るときは、そこを頭に置いておく必要があります。

6月から8月の赤字は、前年と同じ形

2026年10月13日に出た、6月から8月までの第1四半期決算です。

今回前年同期増減率
売上高276億1,300万円290億9,500万円△5.1%
営業利益△45億5,900万円△44億3,500万円—
経常利益△49億6,000万円△44億3,900万円—
純利益△33億2,900万円△28億3,300万円—

大きな赤字ですが、短信の5ページ目に、住宅の売上は第4四半期に偏る傾向があると会社自身が書いています。前年も同じ形でした。第1四半期の赤字は、この会社では毎年のことです。

配当が赤字より大きかった3か月

引っかかったのは損益計算書ではなく、貸借対照表のほうでした。自己資本比率が、前期末の34.3%から22.2%へ下がっています。

理由は短信の5ページ目に書いてあります。純損失33億2,900万円に加えて、前期の配当36億2,300万円をこの3か月で払ったからです。払った配当のほうが、四半期の赤字より大きいわけです。

では、何にお金が動いたのか。

前期末第1四半期末
現金及び預金211億7,600万円176億1,400万円
販売用不動産135億7,000万円170億8,400万円
仕掛販売用不動産201億8,300万円258億6,600万円
未成工事支出金39億5,400万円115億6,900万円
未成工事受入金等95億9,900万円230億1,600万円
短期借入金123億6,500万円159億7,500万円
1年内返済予定の長期借入金12億6,600万円57億7,000万円
長期借入金14億6,400万円101億7,000万円

出どころは短信の貸借対照表です。

注文住宅の建てかけ(未成工事支出金)は増えましたが、お客さんから先に受け取ったお金(未成工事受入金)がそれ以上に増えています。こちらは毎年この時期に起きることだと、会社も書いています。

違うのは建売の土地と建物です。販売用不動産と仕掛販売用不動産を足すと、3か月で約91億9,600万円増えました。こちらは先に払ってくれる客がいません。

借入金の3つを足すと、前期末の150億9,500万円から319億1,500万円へ。これは私の足し算です。……3か月で、借入がほぼ倍になっている。

いつもならここでキャッシュ・フロー計算書を開きます。ところが短信の10ページ目には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と注記がありました。営業活動でどれだけ現金が出ていったのかは、この短信では確かめられません。

前年には無かった手数料3億5,300万円

借入の増え方は、損益計算書にも跡を残しています。営業外費用に、前年は無かった「シンジケートローン手数料」3億5,300万円が載っています。複数の銀行がまとめて貸す融資の手数料です。

営業赤字は、前年同期より1億2,400万円増えました。経常赤字で比べると、その差が5億2,000万円になります。差のほとんどがこの手数料です。

何のための借入で、手数料が今期かぎりのものなのかは、短信にも説明会資料にも書かれていませんでした。時期が長期借入金の増えた3か月と重なっている、と言えるところまでです。

減った注文住宅、伸びた建売

土地を買った結果は、事業ごとの数字に出ています。

前年同期今回
注文住宅の受注棟数1,640棟1,568棟
注文住宅の引渡棟数556棟487棟
戸建分譲の引渡棟数292棟325棟

出どころは短信の13ページ目、受注及び販売の状況です。

本業の注文住宅は、受注も引渡しも減りました。建売は引渡しが1割増えています。説明会資料の数字ですが、建売の受注は505棟で、前年から3割以上増えたとあります。

短信の4ページ目には「土地仕入を積極的に進めたことで販売可能物件が増加し」と書かれています。借りたお金が土地になり、土地が建売の受注になっています。数字の並びは、会社の説明とつながっています。

会社の説明と、説明会資料にだけあったこと

短信の説明文は、住宅ローン金利の上昇と建築コストの高止まりで、家を買う人が慎重になっていると書いています。注文住宅の受注が減ったことと合っていて、私はそのまま受け取りました。

ただ、不動産事業の減益の理由は、資料によって書かれ方が違いました。短信が挙げているのはサブリースの物件売却と、前年の大型工事の反動です。説明会資料はそれに加えて、建売で前年に土地を売った反動があり、利益が2億8,800万円減ったと書いています。こちらは短信の説明文には出てきません。

もう一つ、説明会資料の貸借対照表は、前期末の列が短信と合いませんでした。資産合計が短信では864億6,800万円、資料では932億4,500万円です。この記事では短信の数字を使っています。

残り9か月で、前年より2割多く売る計画

第1四半期通期予想残り9か月に必要な額
売上高276億1,300万円2,300億円2,023億8,700万円
営業利益△45億5,900万円75億円120億5,900万円
経常利益△49億6,000万円67億円116億6,000万円
純利益△33億2,900万円40億円73億2,900万円

予想は7月14日のまま変えていません。売上の進み具合は通期の1割強で、この時期の目安の半分ほどです。季節性を考えれば、驚く遅れではありません。

前年と比べると、求められている量が見えてきます。前期の営業利益は38億4,200万円、第1四半期は△44億3,500万円でした。通期の38億4,200万円は、第1四半期の赤字44億3,500万円を埋めたうえでの数字です。なので前年の残り9か月で稼いだのは、2つを足した82億7,700万円です。今年は同じ9か月で120億5,900万円が要ります。

配当の予想は1株130円です。純利益40億円の予想に対して、配当性向は94.2%になります。予想どおりに着地して、ようやく利益の中から払える配当です。

私はどう読んだか

借入が倍になった理由は2つ考えられます。赤字と配当を埋めるためか、建売の土地を仕入れるためか。

私は後者だと考えています。理由は、増えた資産の中心が建売の土地と建物で、その建売の受注と引渡しがそろって伸びているからです。会社自身も土地の仕入れを進めたと書いています。

それでも、赤字の四半期に、その赤字より多い配当が出ていったのは事実です。自己資本比率も3か月で12ポイント下がりました。本業の注文住宅の受注は減っています。心配性なので、建売が残り9か月で土地を現金に戻せるかを、次の決算で見ます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.tamahome.jp/company/ir/upload_file/m005-m005_02/20261013-1.pdf?e=5237

シンジケートローンで何のためにいくら借りたのか、その手数料が今期かぎりのものなのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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