注文住宅と建売を、どちらも手がける会社
タマホームは、価格を抑えた注文住宅の会社です。首都圏の郊外や地方で、初めて家を建てる若い家族が展示場を回り、間取りを決めて契約します。そうした家族が、主なお客です。
もう一つの柱が、土地を自分で仕入れて家を建て、土地付きで売る建売です。短信では「戸建分譲」と呼んでいます。ほかに、都心の中小ビルを区分けして売る事業や、中古マンションを買い取って売り直す事業もあります。
家は契約してから引き渡すまでに何か月もかかります。引渡しは決算期末の春に集まります。この会社の決算を見るときは、そこを頭に置いておく必要があります。
6月から8月の赤字は、前年と同じ形
2026年10月13日に出た、6月から8月までの第1四半期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 276億1,300万円 | 290億9,500万円 | △5.1% |
| 営業利益 | △45億5,900万円 | △44億3,500万円 | — |
| 経常利益 | △49億6,000万円 | △44億3,900万円 | — |
| 純利益 | △33億2,900万円 | △28億3,300万円 | — |
大きな赤字ですが、短信の5ページ目に、住宅の売上は第4四半期に偏る傾向があると会社自身が書いています。前年も同じ形でした。第1四半期の赤字は、この会社では毎年のことです。
配当が赤字より大きかった3か月
引っかかったのは損益計算書ではなく、貸借対照表のほうでした。自己資本比率が、前期末の34.3%から22.2%へ下がっています。
理由は短信の5ページ目に書いてあります。純損失33億2,900万円に加えて、前期の配当36億2,300万円をこの3か月で払ったからです。払った配当のほうが、四半期の赤字より大きいわけです。
では、何にお金が動いたのか。
| 前期末 | 第1四半期末 | |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 211億7,600万円 | 176億1,400万円 |
| 販売用不動産 | 135億7,000万円 | 170億8,400万円 |
| 仕掛販売用不動産 | 201億8,300万円 | 258億6,600万円 |
| 未成工事支出金 | 39億5,400万円 | 115億6,900万円 |
| 未成工事受入金等 | 95億9,900万円 | 230億1,600万円 |
| 短期借入金 | 123億6,500万円 | 159億7,500万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 12億6,600万円 | 57億7,000万円 |
| 長期借入金 | 14億6,400万円 | 101億7,000万円 |
出どころは短信の貸借対照表です。
注文住宅の建てかけ(未成工事支出金)は増えましたが、お客さんから先に受け取ったお金(未成工事受入金)がそれ以上に増えています。こちらは毎年この時期に起きることだと、会社も書いています。
違うのは建売の土地と建物です。販売用不動産と仕掛販売用不動産を足すと、3か月で約91億9,600万円増えました。こちらは先に払ってくれる客がいません。
借入金の3つを足すと、前期末の150億9,500万円から319億1,500万円へ。これは私の足し算です。……3か月で、借入がほぼ倍になっている。
いつもならここでキャッシュ・フロー計算書を開きます。ところが短信の10ページ目には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と注記がありました。営業活動でどれだけ現金が出ていったのかは、この短信では確かめられません。
前年には無かった手数料3億5,300万円
借入の増え方は、損益計算書にも跡を残しています。営業外費用に、前年は無かった「シンジケートローン手数料」3億5,300万円が載っています。複数の銀行がまとめて貸す融資の手数料です。
営業赤字は、前年同期より1億2,400万円増えました。経常赤字で比べると、その差が5億2,000万円になります。差のほとんどがこの手数料です。
何のための借入で、手数料が今期かぎりのものなのかは、短信にも説明会資料にも書かれていませんでした。時期が長期借入金の増えた3か月と重なっている、と言えるところまでです。
減った注文住宅、伸びた建売
土地を買った結果は、事業ごとの数字に出ています。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 注文住宅の受注棟数 | 1,640棟 | 1,568棟 |
| 注文住宅の引渡棟数 | 556棟 | 487棟 |
| 戸建分譲の引渡棟数 | 292棟 | 325棟 |
出どころは短信の13ページ目、受注及び販売の状況です。
本業の注文住宅は、受注も引渡しも減りました。建売は引渡しが1割増えています。説明会資料の数字ですが、建売の受注は505棟で、前年から3割以上増えたとあります。
短信の4ページ目には「土地仕入を積極的に進めたことで販売可能物件が増加し」と書かれています。借りたお金が土地になり、土地が建売の受注になっています。数字の並びは、会社の説明とつながっています。
会社の説明と、説明会資料にだけあったこと
短信の説明文は、住宅ローン金利の上昇と建築コストの高止まりで、家を買う人が慎重になっていると書いています。注文住宅の受注が減ったことと合っていて、私はそのまま受け取りました。
ただ、不動産事業の減益の理由は、資料によって書かれ方が違いました。短信が挙げているのはサブリースの物件売却と、前年の大型工事の反動です。説明会資料はそれに加えて、建売で前年に土地を売った反動があり、利益が2億8,800万円減ったと書いています。こちらは短信の説明文には出てきません。
もう一つ、説明会資料の貸借対照表は、前期末の列が短信と合いませんでした。資産合計が短信では864億6,800万円、資料では932億4,500万円です。この記事では短信の数字を使っています。
残り9か月で、前年より2割多く売る計画
| 第1四半期 | 通期予想 | 残り9か月に必要な額 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 276億1,300万円 | 2,300億円 | 2,023億8,700万円 |
| 営業利益 | △45億5,900万円 | 75億円 | 120億5,900万円 |
| 経常利益 | △49億6,000万円 | 67億円 | 116億6,000万円 |
| 純利益 | △33億2,900万円 | 40億円 | 73億2,900万円 |
予想は7月14日のまま変えていません。売上の進み具合は通期の1割強で、この時期の目安の半分ほどです。季節性を考えれば、驚く遅れではありません。
前年と比べると、求められている量が見えてきます。前期の営業利益は38億4,200万円、第1四半期は△44億3,500万円でした。通期の38億4,200万円は、第1四半期の赤字44億3,500万円を埋めたうえでの数字です。なので前年の残り9か月で稼いだのは、2つを足した82億7,700万円です。今年は同じ9か月で120億5,900万円が要ります。
配当の予想は1株130円です。純利益40億円の予想に対して、配当性向は94.2%になります。予想どおりに着地して、ようやく利益の中から払える配当です。
私はどう読んだか
借入が倍になった理由は2つ考えられます。赤字と配当を埋めるためか、建売の土地を仕入れるためか。
私は後者だと考えています。理由は、増えた資産の中心が建売の土地と建物で、その建売の受注と引渡しがそろって伸びているからです。会社自身も土地の仕入れを進めたと書いています。
それでも、赤字の四半期に、その赤字より多い配当が出ていったのは事実です。自己資本比率も3か月で12ポイント下がりました。本業の注文住宅の受注は減っています。心配性なので、建売が残り9か月で土地を現金に戻せるかを、次の決算で見ます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.tamahome.jp/company/ir/upload_file/m005-m005_02/20261013-1.pdf?e=5237
シンジケートローンで何のためにいくら借りたのか、その手数料が今期かぎりのものなのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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