はじめに
札幌を中心に、北海道で食品スーパーを33店営んでいる会社です。肉や魚、野菜といった生鮮品から、調味料やお菓子、日用品、衣料品まで並べています。平日の夕方、夕飯の材料をかごに入れに行く店です。
大手のチェーンと値段だけで競う戦い方ではありません。有機栽培や無農薬の野菜、品質を前に出した自社の商品で選んでもらおうとしています。食品スーパーは1回の買い物が小さく、利幅も薄い商売です。売上が少し動いたり、電気代が上下したりするだけで、利益の大きさが変わります。今回は、その薄さがよく見える決算でした。
売上はほぼ横ばいで、利益だけが消えた半年
10月9日に出た、2026年3月から8月までの中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 183億3,800万円 | 184億8,300万円 | -0.8% |
| 営業利益 | 700万円 | 5,700万円 | -87.3% |
| 経常利益 | △1,100万円 | 4,700万円 | — |
| 純利益 | △3,300万円 | 2,200万円 | — |
売上の減り方は1%に届きません。それでも営業利益は9割近く減り、経常利益から下は赤字に変わりました。
本業の稼ぎより、利息のほうが大きい
損益計算書を千円の単位まで見ると、営業利益は725万円です。そのすぐ下に支払利息が4,417万円あります。本業で稼いだ額の6倍の利息を払っている形です。
前年同期の支払利息は3,227万円でした。今回の4,417万円と比べると、1,190万円増えています。借入は短期で4億円増やし、長期で2億5,218万円返しているので、残高はそれほど膨らんでいません。それで利息がこれだけ増えるのは、借りている金利そのものが上がったからだと私は受け取りました。金利についての説明は、短信には書かれていません。
純損失の3,300万円には、店の設備の減損3,103万円も入っています。
営業キャッシュ・フローは、前年の側が膨らんでいた
キャッシュ・フロー計算書を開いて、引っかかりました。
| 前年の中間期 | 今回の中間期 | |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 15億8,786万円 | 3,923万円 |
| うち仕入債務の増減 | 9億2,018万円 | △1億3,407万円 |
| うち預り金の増減 | 1億7,927万円 | 8,649万円 |
| うち未払消費税等の増減 | 1億4,899万円 | 1,036万円 |
本業で入ってきた現金が、40分の1ほどに減っています。ただ、下の行を見ると、前年は仕入先への未払いが半年で9億円増えていました。……むしろ前年のほうが変だ。
前年の中間期末、2025年8月31日は日曜日です。月末の支払いが翌日に回れば、その分だけ買掛金が期末に残ります。今年は逆で、期首の2026年2月28日が土曜日、中間期末の8月31日が月曜日でした。買掛金が膨らんだ状態で始まり、払い終えた状態で締めた半年です。曜日の話は短信には書かれていません。カレンダーと突き合わせた私の見方です。
それでも、配当と返済は借りたお金で払っている
曜日のずれを差し引いても、残る事実があります。
| この半年の現金の出入り | 金額 |
|---|---|
| 営業活動で入った現金 | 3,923万円 |
| 配当金の支払い | △6,327万円 |
| リース債務の返済 | △1億6,582万円 |
| 長期借入金の返済 | △2億5,218万円 |
| 短期借入金の増加 | 4億円 |
本業で入った現金だけでは、配当にも届いていません。返済と配当の分を、短期の借入で埋めています。
もう一つ、設備のお金の出方が変わっています。有形固定資産の取得は2,050万円しかありませんが、貸借対照表のリース資産は半年で1億4,315万円増えています。設備はリースで入れていて、その支払いは投資ではなく財務の欄に返済として出てきます。投資の欄が小さく見えるのはそのためです。
会社の説明は経費の話で、粗利が減った理由は別の資料にあった
短信の説明文は、経費の内訳を丁寧に書いています。減価償却費が2,800万円増え、パートの給与にあたる雑給も1,000万円増えた、と。一方で水道光熱費は5,800万円減った、とも書いています。経費全体は前年とほぼ同じです。
経費がほぼ同じなので、営業利益が減った5,000万円は、そのまま粗利が減った分です。その理由は、短信には書かれていません。説明文の結びも、売上高のあと経常損失に飛んでいて、営業利益の数字は挙げられていませんでした。
会社のサイトにある中間決算補足資料に、手がかりがありました。ここからは補足資料の数字です。生鮮食料品の売上が前年の94.0%に落ち、加工食品などの一般食料品は104.5%に伸びています。既存店の客数は98.1%でした。他社との違いとして前に出している生鮮が、いちばん落ちています。
会社は重点の一つに「財務体質の強化」を挙げています。同じ半年に短期借入を4億円増やしているので、この項目はそのまま受け取れませんでした。
下期は、前年の下期と同じだけ稼ぐ前提
| 通期予想 | 中間実績 | 残り6か月に要る額 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 372億円 | 183億3,800万円 | 188億6,200万円 |
| 営業利益 | 1億8,000万円 | 700万円 | 1億7,300万円 |
| 経常利益 | 1億3,000万円 | △1,100万円 | 1億4,100万円 |
| 純利益 | 5,200万円 | △3,300万円 | 8,500万円 |
右の列は、通期予想から中間実績を引いた私の引き算です。営業利益は、残り半年で1年分のほぼ全部を稼ぐ計画になっています。その額は、前年の下期の実績とほとんど同じです。上期の落ち込みを下期に取り返すのではなく、下期は前年並みに戻る、という前提だと受け取りました。
予想は8月21日にすでに修正されていると短信にあります。修正前の数字は、その日の開示を開いていないので分かりません。配当は年50円の予想のままで、予想の1株利益41円43銭を上回ります。利益剰余金が45億7,135万円あるので、すぐに配当の原資が尽きる形ではありません。
私はどう受け取ったか
営業キャッシュ・フローの急落を、稼ぐ力が落ちたしるしと見るか、締め日の曜日のずれと見るか。私は後者の見方をしています。理由は、落ち方のほとんどが仕入債務と預り金という、支払いの日がずれるだけで動く行に集まっているからです。
気になるのは、そちらではありません。営業利益が利息の6分の1しかないことです。金利が上がる局面で、この薄さのまま短期の借入を増やしています。生鮮の売上が戻らなければ、下期も同じ形が続きます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.hokuyu-lucky.co.jp/system/wp-content/uploads/20261009_2.pdf
生鮮食料品の売上がなぜ前年の94%まで落ちたのかと、8月21日の修正前に会社が置いていた予想の数字は、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント