井筒屋(8260)2027年2月期 中間決算分析――利益を削ったのは、本業の外だと読みました

井筒屋(8260)2027年2月期 中間決算分析――利益を削ったのは、本業の外だと読みました 日本株

北九州の百貨店が、店を二つに絞ったあと

井筒屋は、北九州市の小倉に本店を置く百貨店です。いま営業しているのは小倉の本店と山口店の二つです。ほかの店は閉め、人とお金をこの二つに集めています。

百貨店は、毎日の食料品より少し改まった買い物をする場所です。贈答品や手土産、季節の物産展、入学や冠婚葬祭の支度などがそうです。地方では、こうした用事を一か所で済ませられる場所は多くありません。

もう一つ、「友の会」という事業があります。百貨店の友の会は一般に、毎月お金を積み立て、満期に上乗せ分と合わせて買い物に使う仕組みです。地元の常連客を店につなぎとめる役目を持っています。

売上は少し減り、経常利益は4分の1まで減りました

2026年10月14日に発表された中間決算で、対象は3月から8月までの半年です。

今回前年同期増減率
売上高103億1,400万円105億1,000万円△1.9%
営業利益1億9,800万円2億700万円△4.5%
経常利益3,900万円1億5,000万円△73.7%
純利益3,600万円1億4,700万円△75.2%

売上と営業利益は、ほぼ前年並みです。大きく減ったのは経常利益から下で、前年の4分の1ほどしか残っていません。

百貨店の利益は、前年とまったく同じ2億2,600万円でした

短信の最後にあるセグメント情報まで行ったところで、最初に引っかかりました。

前年同期今回
百貨店業の利益2億2,600万円2億2,600万円
友の会事業の利益3,400万円3,600万円
事業間の取引を消す調整△5,400万円△6,400万円
営業利益2億700万円1億9,800万円

百貨店業の利益は、前年も今年も同じ額です。営業利益が900万円減ったのは、事業どうしの取引を消す調整が1,000万円大きくなったためです。店そのものの稼ぎは減っていません。

営業利益の下で、1億円あまりが消えています

では、経常利益はどこで減ったのか。損益計算書の、営業利益より下の行を前年と並べました。

前年同期今回
営業利益2億700万円1億9,800万円
持分法による投資損益700万円の利益3,900万円の損失
営業外収益の「その他」7,100万円3,300万円
支払利息1億3,600万円1億3,700万円
経常利益1億5,000万円3,900万円

持分法の損益は、700万円の利益から3,900万円の損失に変わりました。営業外収益の「その他」は、7,100万円から3,300万円に減っています。この二つの前年からの減り幅を足すと8,400万円ほどになり、経常利益の減少1億1,100万円の大半を占めます。ここは私の引き算です。

持分法の損益とは、出資先の会社が出した利益や損失のうち、井筒屋の持ち分を取り込むものです。どの出資先がなぜ損失を出したのかは、決算短信には書かれていません。会社の説明文にも「持分法投資損失の計上等により」とあるだけです。

変わっていない数字のほうが、重く感じます。支払利息は1億3,700万円で、前年とほぼ同じです。これを営業利益の1億9,800万円で割ると、7割近くになります。……稼いだ分の大半が、そのまま貸し手に回るのか。

百貨店らしい行もありました。「未回収商品券受入益」6,800万円と、「商品券回収損失引当金繰入額」6,400万円です。二つはほぼ打ち消し合っていて、今回の減益とは関係がありません。

現金は4億円減り、借入は短期のほうに残っています

前年同期今回
営業活動によるキャッシュ・フロー9億8,200万円6億8,400万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△2億6,400万円△2億6,600万円
財務活動によるキャッシュ・フロー△9億500万円△8億2,700万円
現金及び現金同等物の増減△1億8,700万円△4億800万円

営業活動で入った現金は、前年より3億円ほど少なくなりました。内訳を追うと、未払消費税の増減が、前年の1億2,800万円の増加から今年の6,200万円の減少に変わっています。消費税を納める時期のずれで、店の売れ行きとは別の話だと私は受け取りました。

借入の形も気になります。長期借入金は半年で11億7,400万円から5億900万円に減りました。一方で、短期借入金は113億3,100万円のまま、ほとんど動いていません。手元の現金及び預金は22億3,700万円です。短期借入金は、その5倍ほどあります。

貸借対照表には土地が240億1,100万円あります。純資産121億6,900万円のうち52億8,100万円は、土地を評価し直したときの差額です。短期の借入を毎期どう借り換えているのかは、決算短信からは分かりません。

会社の説明は、山口店の地階工事でした

会社は、売上が減った理由を「山口店地階改装工事の影響等」と説明しています。その地階には7月、山口県で初めての出店となる食品スーパー「ロピア」が入りました。来店客が増え、飲食のテナントにも効果が出ている、と会社の説明文にあります。

表紙の注記も、この説明と矛盾しません。取引先の商品を売り場で売った分を、手数料に当たる額ではなく、売り場で売れた金額のまま数え直すと252億1,100万円です。前年比で1%ほどの減少にとどまります。

工事が理由という説明は、そのまま受け取ります。ただ、工事でいくら減ったのか、ロピアの効果が7月と8月でどれだけ出たのかは、短信に金額がありません。

下期の営業利益は、前年の5割近く増しで置かれています

通期予想上期実績進み具合下期に必要な額
売上高210億円103億1,400万円約49.1%約106億8,600万円
営業利益8億円1億9,800万円約24.8%約6億200万円
経常利益5億円3,900万円約7.8%約4億6,100万円
純利益5億円3,600万円約7.2%約4億6,400万円

約の付いた数字は、通期予想と上期実績から私が割り算・引き算したものです。

売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は4分の1ほどです。表紙には、通期予想の営業利益8億円が前の期より+30.0%多い、とあります。つまり前の期の1.3倍です。そこから割り戻すと、前の期の営業利益は約6億1,500万円です。そこから前年の上期2億700万円を引くと、前年の下期はおよそ4億800万円になります。今年の下期は6億200万円ですから、5割近く多い利益を見込んでいることになります。

この予想は、7月10日に公表したものから変えていません。7月10日は上期の途中です。8月までの結果が出たあとも、会社は数字を動かしませんでした。下期になぜそこまで伸びるのかは、決算短信には書かれていません。表紙には、補足説明資料も決算説明会も「無」とあります。

本業は持ちこたえた、という見方です

私は、上期の減益は百貨店の商売が傷んだ結果ではないと考えています。理由は、百貨店業の利益が前年と同じ額だからです。経常利益の減少の大半も、持分法の損失と営業外の「その他」という、本業の外の行で説明が付きます。

心配しているのは下期のほうです。下期の伸びの理由として思い当たるのは、ロピアや、8階の催場を広げた効果です。それでも5割近い増益の中身は、短信からは組み立てられません。しかも利益が出たとしても、そのかなりの部分を先に利息が持っていきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算公告|IR情報|企業情報 | 井筒屋 IZUTSUYA

持分法投資損失3,900万円が、どの出資先の何から出たものかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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