北九州の百貨店が、店を二つに絞ったあと
井筒屋は、北九州市の小倉に本店を置く百貨店です。いま営業しているのは小倉の本店と山口店の二つです。ほかの店は閉め、人とお金をこの二つに集めています。
百貨店は、毎日の食料品より少し改まった買い物をする場所です。贈答品や手土産、季節の物産展、入学や冠婚葬祭の支度などがそうです。地方では、こうした用事を一か所で済ませられる場所は多くありません。
もう一つ、「友の会」という事業があります。百貨店の友の会は一般に、毎月お金を積み立て、満期に上乗せ分と合わせて買い物に使う仕組みです。地元の常連客を店につなぎとめる役目を持っています。
売上は少し減り、経常利益は4分の1まで減りました
2026年10月14日に発表された中間決算で、対象は3月から8月までの半年です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 103億1,400万円 | 105億1,000万円 | △1.9% |
| 営業利益 | 1億9,800万円 | 2億700万円 | △4.5% |
| 経常利益 | 3,900万円 | 1億5,000万円 | △73.7% |
| 純利益 | 3,600万円 | 1億4,700万円 | △75.2% |
売上と営業利益は、ほぼ前年並みです。大きく減ったのは経常利益から下で、前年の4分の1ほどしか残っていません。
百貨店の利益は、前年とまったく同じ2億2,600万円でした
短信の最後にあるセグメント情報まで行ったところで、最初に引っかかりました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 百貨店業の利益 | 2億2,600万円 | 2億2,600万円 |
| 友の会事業の利益 | 3,400万円 | 3,600万円 |
| 事業間の取引を消す調整 | △5,400万円 | △6,400万円 |
| 営業利益 | 2億700万円 | 1億9,800万円 |
百貨店業の利益は、前年も今年も同じ額です。営業利益が900万円減ったのは、事業どうしの取引を消す調整が1,000万円大きくなったためです。店そのものの稼ぎは減っていません。
営業利益の下で、1億円あまりが消えています
では、経常利益はどこで減ったのか。損益計算書の、営業利益より下の行を前年と並べました。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 営業利益 | 2億700万円 | 1億9,800万円 |
| 持分法による投資損益 | 700万円の利益 | 3,900万円の損失 |
| 営業外収益の「その他」 | 7,100万円 | 3,300万円 |
| 支払利息 | 1億3,600万円 | 1億3,700万円 |
| 経常利益 | 1億5,000万円 | 3,900万円 |
持分法の損益は、700万円の利益から3,900万円の損失に変わりました。営業外収益の「その他」は、7,100万円から3,300万円に減っています。この二つの前年からの減り幅を足すと8,400万円ほどになり、経常利益の減少1億1,100万円の大半を占めます。ここは私の引き算です。
持分法の損益とは、出資先の会社が出した利益や損失のうち、井筒屋の持ち分を取り込むものです。どの出資先がなぜ損失を出したのかは、決算短信には書かれていません。会社の説明文にも「持分法投資損失の計上等により」とあるだけです。
変わっていない数字のほうが、重く感じます。支払利息は1億3,700万円で、前年とほぼ同じです。これを営業利益の1億9,800万円で割ると、7割近くになります。……稼いだ分の大半が、そのまま貸し手に回るのか。
百貨店らしい行もありました。「未回収商品券受入益」6,800万円と、「商品券回収損失引当金繰入額」6,400万円です。二つはほぼ打ち消し合っていて、今回の減益とは関係がありません。
現金は4億円減り、借入は短期のほうに残っています
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 9億8,200万円 | 6億8,400万円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △2億6,400万円 | △2億6,600万円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △9億500万円 | △8億2,700万円 |
| 現金及び現金同等物の増減 | △1億8,700万円 | △4億800万円 |
営業活動で入った現金は、前年より3億円ほど少なくなりました。内訳を追うと、未払消費税の増減が、前年の1億2,800万円の増加から今年の6,200万円の減少に変わっています。消費税を納める時期のずれで、店の売れ行きとは別の話だと私は受け取りました。
借入の形も気になります。長期借入金は半年で11億7,400万円から5億900万円に減りました。一方で、短期借入金は113億3,100万円のまま、ほとんど動いていません。手元の現金及び預金は22億3,700万円です。短期借入金は、その5倍ほどあります。
貸借対照表には土地が240億1,100万円あります。純資産121億6,900万円のうち52億8,100万円は、土地を評価し直したときの差額です。短期の借入を毎期どう借り換えているのかは、決算短信からは分かりません。
会社の説明は、山口店の地階工事でした
会社は、売上が減った理由を「山口店地階改装工事の影響等」と説明しています。その地階には7月、山口県で初めての出店となる食品スーパー「ロピア」が入りました。来店客が増え、飲食のテナントにも効果が出ている、と会社の説明文にあります。
表紙の注記も、この説明と矛盾しません。取引先の商品を売り場で売った分を、手数料に当たる額ではなく、売り場で売れた金額のまま数え直すと252億1,100万円です。前年比で1%ほどの減少にとどまります。
工事が理由という説明は、そのまま受け取ります。ただ、工事でいくら減ったのか、ロピアの効果が7月と8月でどれだけ出たのかは、短信に金額がありません。
下期の営業利益は、前年の5割近く増しで置かれています
| 通期予想 | 上期実績 | 進み具合 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 210億円 | 103億1,400万円 | 約49.1% | 約106億8,600万円 |
| 営業利益 | 8億円 | 1億9,800万円 | 約24.8% | 約6億200万円 |
| 経常利益 | 5億円 | 3,900万円 | 約7.8% | 約4億6,100万円 |
| 純利益 | 5億円 | 3,600万円 | 約7.2% | 約4億6,400万円 |
約の付いた数字は、通期予想と上期実績から私が割り算・引き算したものです。
売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は4分の1ほどです。表紙には、通期予想の営業利益8億円が前の期より+30.0%多い、とあります。つまり前の期の1.3倍です。そこから割り戻すと、前の期の営業利益は約6億1,500万円です。そこから前年の上期2億700万円を引くと、前年の下期はおよそ4億800万円になります。今年の下期は6億200万円ですから、5割近く多い利益を見込んでいることになります。
この予想は、7月10日に公表したものから変えていません。7月10日は上期の途中です。8月までの結果が出たあとも、会社は数字を動かしませんでした。下期になぜそこまで伸びるのかは、決算短信には書かれていません。表紙には、補足説明資料も決算説明会も「無」とあります。
本業は持ちこたえた、という見方です
私は、上期の減益は百貨店の商売が傷んだ結果ではないと考えています。理由は、百貨店業の利益が前年と同じ額だからです。経常利益の減少の大半も、持分法の損失と営業外の「その他」という、本業の外の行で説明が付きます。
心配しているのは下期のほうです。下期の伸びの理由として思い当たるのは、ロピアや、8階の催場を広げた効果です。それでも5割近い増益の中身は、短信からは組み立てられません。しかも利益が出たとしても、そのかなりの部分を先に利息が持っていきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
持分法投資損失3,900万円が、どの出資先の何から出たものかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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