ローツェ(6323)2027年2月期 中間決算分析――現金の入り方が、少し気になりました

ローツェ(6323)2027年2月期 中間決算分析――現金の入り方が、少し気になりました 決算を読む

はじめに

半導体の工場では、シリコンの薄い円盤(ウエハ)が、たくさんの工程を渡り歩いてチップになります。その円盤を人の手を介さずに装置から装置へ運び、並べ替え、保管する機械を作っているのがローツェです。搬送ロボット、装置の入口で円盤を受け渡す機構、窒素で満たした保管棚などがあります。

買い手は二通りです。製造装置のメーカーが自社の装置に組み込むために買う場合と、チップを作る会社が自分の工場へ直接入れる場合です。液晶用の大きなガラス基板を運ぶ装置や、細胞を育てる研究用の機械もありますが、売上の大半は半導体向けです。本社は広島県の福山市で、主な工場はベトナムと中国にあります。

売上は2割増、利益はそれ以上に増えた半年

2026年10月8日に出た中間決算です。3月から8月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
売上高797億3,300万円656億200万円+21.5%
営業利益230億9,600万円162億1,400万円+42.4%
経常利益245億3,800万円145億7,200万円+68.4%
純利益158億3,900万円108億7,200万円+45.7%

営業利益より経常利益のほうが大きく伸びています。この差がどこで生まれたのかは、損益計算書の営業外の欄で分かります。

経常利益の上乗せは、為替の項目が入れ替わった分

営業外の項目前年同期今回
為替差益無し15億8,900万円
為替差損23億6,800万円無し
デリバティブ利益3億8,300万円無し
デリバティブ損失無し4億6,300万円

前年の上期は為替で損を出し、今回は益が出ました。損が益に入れ替わったので、前年と並べると経常利益だけが大きく伸びて見えます。説明会資料によれば、期中の平均レートは前年同期の1ドル149円から158円になっています。

為替はこの会社の商売そのものではありません。本業の伸びとしては、営業利益の4割増のほうを見ます。それでも十分に大きい数字です。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私は短信を、後ろのほうのキャッシュ・フロー計算書から開きます。利益が出ているのに現金が入っていなかった会社を、前に一度見たからです。ところがこの短信の添付資料の目次には、貸借対照表と損益計算書と包括利益計算書しか並んでいません。

現金の動きは、同じ日に出た説明会資料の14ページ目に図で出ていました。ここからは説明会資料の数字です。半年の営業キャッシュ・フローは87億3,000万円のプラスでした。同じ半年の純利益が158億3,900万円なので、利益の半分あまりしか現金になっていないことになります。

理由の一部は、短信の貸借対照表で分かります。半年で棚卸資産が58億7,000万円、売掛金が43億9,800万円増えています。受注が急に増えた時期は、部品の仕入れと未回収の代金が先に膨らみます。説明会資料も、受注増に伴う原材料と仕掛品の増加だと説明しています。

もう一つ、現金の増え方にも中身があります。現金及び預金は半年で120億3,600万円増えましたが、借入金も77億7,200万円増えました。説明会資料の図では、財務活動のキャッシュ・フローが45億8,500万円のプラスです。手元の現金は、稼いだ分だけで積み上がったわけではありません。

74億円の引当金が消えて、和解金21億円が載った

引っかかったのは負債の側です。前の期末に74億2,900万円あった訴訟損失引当金が、8月末には無くなっています。そして特別損失に、訴訟和解金21億5,800万円が新しく載っています。

説明会資料によると、川崎重工業から米国で起こされていた特許訴訟です。2026年3月に陪審評決が出たあと、8月3日に和解契約を結んでいます。和解の中身は、秘密保持義務を理由に公開されていません。

……引当金では足りなかったのか。前の期に74億円を積んでおき、それを超えた分が今回の21億円として出た、と私は受け取りました。会社は、これで訴訟は終わり、今後の事業への影響は無いとしています。懸案が片付いたこと自体は、良い知らせです。

ただ、和解金を払ったのなら、その現金はこの半年の流れのどこかに入っています。利益の半分あまりしか現金にならなかった理由が、仕入れの積み増しなのか、和解金なのか。説明会資料の図には内訳が無く、切り分けられませんでした。

1位の取引先が入れ替わっている

短信の最後の注記に、売上の多い取引先が2社載っています。

相手先前年同期の割合今回の割合
Applied Materials16.0%21.7%
TSMC18.1%14.6%

前年は半導体を作る側のTSMCが1位で、今回は製造装置メーカーのApplied Materialsが1位です。装置メーカー経由の売上が伸びたことが、ここに出ています。

会社はどう説明しているか

短信4ページ目の説明は短いものです。世界の半導体産業が好調で、データセンター市場が急に伸び、生成AIの需要が広がっている、という内容です。経常利益については「為替の影響も受け」と一言あります。

需要の話は、そのまま受け取ります。理由は、短信の受注実績の表が裏付けているからです。半導体関連装置の受注高は半年で1,205億4,000万円と、前年同期の2倍半を超えました。8月末の受注残は1,038億6,300万円です。

留保を付けるのは、作って納める側の話です。説明会資料の17ページ目で、会社自身が心配を挙げています。メモリ価格の高止まり、部品の長納期化、そして部材の取り合いが激しくなり始めたことです。分析装置ではすでに、顧客の検収のずれ込みと部品調達の長期化で売上が減りました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

同じ日に、通期予想を引き上げています。

上期実績通期予想進み具合下期に要る額
売上高797億3,300万円1,800億700万円約44%1,002億7,400万円
営業利益230億9,600万円530億7,800万円約44%299億8,200万円
純利益158億3,900万円377億7,900万円約42%219億4,000万円

進み具合は上期実績を通期予想で割ったもの、下期に要る額は通期予想から上期実績を引いたもので、どちらも私の計算です。

半年たって、まだ半分に届いていません。下期の売上は前年の下期より6割近く多く、営業利益は前年の下期のおよそ2倍という見込みです。数字だけを並べると、重い計画に見えます。

私はどう読んだか

受注残に支えられた計画なのか、受注の勢いに合わせた背伸びなのか。この2つのどちらかだと思います。

私は前者の見方をしています。説明会資料の修正後予想では、下期の半導体関連装置の売上は858億3,200万円です。理由は、これが8月末の受注残1,038億6,300万円より小さいからです。為替も上期と同じ158円の前提で、円安の上乗せを当てにしていません。

それでも、受注残が売上になるには、作って納めて検収を受ける必要があります。分析装置で起きたことが半導体関連装置で起きれば、売上は来期へずれます。心配性なので、次の決算では部品と在庫の欄から開きます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.rorze.com/wp_rorze/wp-content/uploads/2026/10/20271008_2027_Q2.pdf

和解金の支払いが、営業キャッシュ・フローの87億3,000万円の中にいくら含まれているのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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